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【現代思想とジャーナリスト精神】

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転載 リテラ 2019.02.01 賃金データ不正の主犯はやはり安倍首相と麻生財務相だった!? 消費増税のためにマイナスをプラスに偽装 

2019-02-01 21:17:01 | 転載
 写真 首相官邸ホームページより


 やはり「景気回復」は嘘だった──。厚生労働省による「毎月勤労統計」の不正データ問題で、2018年1〜11月の実質賃金の伸び率は野党の試算で前年比平均マイナス0.5%だと追及を受けてきたが、厚労省が来週にもマイナスになることを認め、再集計の結果を公表すると報じられたのだ。
 実質賃金は名目賃金から物価変動の影響を引いた数値であり、生活の実感を反映するものだ。それがマイナスだったのだから、安倍首相がしきりに“アベノミクスで景気が回復”と喧伝する一方、マスコミ各社の世論調査で景気回復を実感していない人が圧倒的だったのも当然の話だろう。
 しかし、事ここに至っても、安倍首相はその事実を認めようとしないのだ。
 たとえば、29日におこなわれた参院本会議の代表質問の答弁で、安倍首相はこう言い張った。
「毎月勤労統計の各月の伸び率の数字のみをお示ししてアベノミクスの成果を強調したことはない」
「連合の調査においては、5年連続で今世紀に入って最高水準の賃上げが連続しており、雇用・所得環境は着実に改善しているとの判断に変更はない」
 労働組合が勝ち取った賃上げを自分の手柄にするとは呆れるほかないが、そもそも連合の調査は全労働者のごく一部の結果にすぎない。さらに、安倍首相のこの主張に対しては、きょうの代表質問でも共産党の小池晃議員が「これ(連合の調査)は物価の上昇を織り込んでいない数字、名目の賃上げ率」「この5年間には消費税の増税をはじめ物価の上昇があり、その分を差し引いた実数にすると1%程度にすぎない。これは逆に、今世紀に入って最低になるのではないか」と追及。しかし、安倍首相は、こんなことを言い出したのである。
「実質賃金は再集計後においても、それ以前に公表されていたデータと同様、2017年にマイナス0.2%となったのち、2018年に入ってからは月によってプラスとマイナスに振れながら推移している」
 おいおい、ちょっと待ってほしい。2018年1〜11月の実質賃金の伸び率は、野党の試算だとプラスになったのは6月の1カ月だけ。しかも、この野党の試算に対し、30日の野党合同ヒアリングでは厚労省の担当者も「集計すれば(野党の試算と)同じような数字が出ることも予想される」と認めているのだ。来週にはその再集計結果が公表されるというのに、この期に及んでまだ「プラスとマイナスに振れながら推移」などと主張するとは……。
 その上、安倍首相はつづけて、こう強調したのである。
「これは賃金が増加するなかで、同時にエネルギー価格も上昇してきた等によるものであって、今回の再集計の前後でこの傾向に主だった変化はない」
「名目賃金について見れば、再集計後のデータにおいても増加傾向がつづいていることに変わりはない」
 つまり、電気代やガソリン代が上がるなど物価が上昇して実質賃金は下がったが、名目賃金自体は増加している。そうアピールしたのだ。
 だが、これはたんに物価の上昇率に対し賃上げ率が高まっていないことを指し示すだけで、結局は「実質賃金が上がらないどころかマイナスで、国民の生活は苦しくなる一方」という結論でしかない。よくもまあこんなことを堂々とアピールできたものだが、安倍首相は「名目賃金は増加」と連呼すれば国民が騙されるとでも考えているのだろう。

【安倍首相はなぜ偽装した賃金データを喧伝しなかったのか】

 しかし、ここで大きな疑問として立ち上がってくるのは、こうやって数字やデータをもち出してはこじつけや印象操作の「アベノミクスの成果」を猛アピールする安倍首相が、本人も言うように、2018年の異常な賃金伸び率を「成果」として強調してこなかったことだ。
 たとえば、公的年金積立金の2018年10~12月期の資産運用成績が14.8兆円の大損失になったことを本日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が公表したが、安倍首相は過去にGPIF が5.3兆円もの損失を出した際には「年金積立金の運用は中長期的な観点から評価すべき」と主張していたにもかかわらず、その後、四半期という「短期的」な段階で黒字になると、すぐさまそのことをアピール。国会でも、誰にも質問されていないのに「GPIFの運用がプラス6兆円!」などと大はしゃぎしていた(2018年2月5日衆院予算委員会)。
 このように、安倍首相は少しでも手柄が誇れる数字が出れば、それを必死になって自分のアピールに使ってきた。にもかかわらず、昨年8月、同年6月分の「毎月勤労統計調査」で名目賃金が前年比3.6%増(確報値は3.3%増)となり、マスコミが「賃金伸び 21年5カ月ぶりの高水準」「アベノミクスの成果」と大々的に報じたときも、またそのあとも、この数字をもち出してひけらかすことはなかった。賃金伸び率の上昇というもっとも食いつきそうな数字、しかも「21年5カ月ぶりの高水準」という実績を誇るにはバツグンのキャッチコピーがついた数字なのに、である。
 つまり、安倍首相にはどうしても、昨年の「毎月勤労統計」の結果をもち出して「アベノミクスの成果」とひけらかせない事情があった。そう考えるべきだろう。
 ここで重要になってくるのが、昨年1月から「毎月勤労統計」の作成手法が変更されていたことと、その変更を安倍首相が議長を務める会議で麻生太郎財務相が指示していた、ということだ。
 そもそも今回の「毎月勤労統計」不正調査問題は、2004年から2017年までは東京都分で従業員500人以上の事業所において全数調査ではなく約3分の1しか調査しないという不正をつづけ、それにより平均給与額が実際より低く算出されてきた、というもの。しかし、なぜか2018年1月からは東京都分を約3倍にして全数調査に近づけるデータ補正を開始し、その上、あきらかに賃金が“上振れ”するように統計の作成手法を変更していた。
 そして、この統計作成手法の変更は、2015年10月16日におこなわれた、安倍首相が議長を務める「経済財政諮問会議」において、麻生財務相が「毎月勤労統計については、企業サンプルの入替え時には変動があるということもよく指摘をされている」「ぜひ具体的な改善方策を早急に検討していただきたいとお願いを申し上げる」と言及。つまり、“下振れする変動をどうにかしろ”と指示していたのだ。


【安倍首相と麻生財務相は消費増税のために賃金伸び率を急伸させた?】

 この賃金偽装につながる統計作成手法の変更に麻生財務相が“関与”していることをいち早く指摘した西日本新聞の記事(2018年9月29日付)では、こう記述している。
〈アベノミクスの旗振り役として賃金の動きを注視していた麻生氏。見直しに向けた議論は、この「鶴の一声」に歩調を合わせるように始まった。数字が変動する事後的な補正を避けるため、サンプルは総入れ替えでなく段階的な部分入れ替えとする─。こうした厚労省方針は17年に政府の統計委員会に承認され、18年から実行に移された。
 これにより、統計上の賃金上昇率は急伸する。〉
 これは、たんに厚労省が麻生財務相に忖度し、ひそかに変更した結果なのだろうか。そうであれば、安倍首相は昨年8月にマスコミが「賃金伸び 21年5カ月ぶりの高水準」と報じた際に、自信満々に「これこそアベノミクスの成果」と胸を張ったはずだ。だが、それはけっしてしなかった──。
 その事実を踏まえると、安倍首相は、昨年1月から統計作成手法が変更されることも、その結果、賃金伸び率が急伸することも最初からすべて知っていた。だからこそ、この数字を根拠に「アベノミクスの成果」と誇ることのリスクも承知していたのではないか。それどころか、麻生財務相の指示も安倍首相と相談した上のことだった可能性もある。
 そして、安倍首相と麻生財務相が賃金偽装をおこなった理由は、無論、今年10月から予定どおり消費税を増税するためだろう。賃金が伸びないなかで消費税増税の今年10月からの実施を発表すれば、世間も野党も黙っていない。予定どおりに事を進めるためには、2018年はなんとしても賃金伸び率を急伸させざるを得なかったはずなのだ。
 これはあくまで推論にすぎないが、安倍首相が同席する場で麻生財務相が「アベノミクス偽装」につながる統計作成手法の変更を指示したことは事実だ。安倍首相は今年10月からの消費税増税実施のためにも、必死になって「賃上げされている」「所得環境は改善している」と言い張りつづけるだろうが、実質賃金がマイナスである以上、増税はあり得ない。野党は徹底的にその点と、安倍首相と麻生財務相の「アベノミクス偽装」への関与を追及してほしい。

(リテラ編集部)

転載【「毎月勤労統計」不正問題で暴かれた、アベノミクスの化けの皮】新恭(あらたきょう)著

2019-02-01 09:55:55 | 転載
2019.02.01

毎月勤労統計不正で暴かれた安倍政権の「実質賃金偽装」

2018年に賃金がめざましく上昇したかのように装った形跡のある毎月勤労統計調査。その不正操作に安倍官邸が関与したのかどうか、気になるところだ。
低迷する「実質賃金」の偽装ではないかと筆者は疑っている。
実質賃金は、安倍政権が誕生した2012年以降、インフレ誘導政策もあって顕著に下がり続けた。2016年だけインフレ率がマイナスにふれたことで前年比わずかに上昇したが、2017年も実質賃金は下落した。
翌年1月31日の参院予算委員会で小川敏夫議員はこう質問した。
実質賃金はアベノミクスが始まってから大体5ポイントぐらい下がっている。足下で微増しているが、下がっている状態には変わりない。家計調査の消費支出も落ち込んでいる。…アベノミクスによって国民生活は苦しくなったのではないか
安倍首相は反論した。
実質賃金については、16年に前年比プラスとなった後、17年に入って横ばいで推移している。名目賃金で見れば、中小企業を含め今世紀に入って最も高い水準の賃上げが4年連続で実現し、多くの企業で4年連続のベースアップを実施している
苦しい答弁だった。「実質賃金」の低下はアベノミクスにとって最も痛いところなのだ。
それだけに、2月中に確報値が出ることになっている2018年毎月勤労統計調査への安倍官邸の期待は大きかった。実質賃金はプラス0.3%ほどの高水準が見込まれていた。
算出のもととなる同統計調査で、昨年の1月以降、賃金が上昇曲線を描きはじめ、6月には名目賃金速報値で3.6%、確報値で3.3%もの上昇率を示した。21年ぶりの賃金上昇率と報じられた。
ところが、これは不適切な方法によって算出された数値であることが最近になってわかった。昨年1月から、“復元”という名の操作を厚労省が加えていたのが一因だった。
この統計、従業員500人以上の事業所に対しては全数調査をするのが決まりだ。なのになぜか厚労省は2004年以降、東京都だけ全数でなく3分の1の事業所を抽出して実施してきた。
給料の高い東京の事業所数が少ないため、平均賃金が実際より低めに出ていたが、厚労省は昨年1月調査分から、抽出した事業所数を約3倍にする補正をしはじめた。平均賃金額が実態に近くなった結果、前年同月比の伸び率が急に高く出るようになった。アベノミクスの成果と喧伝するには恰好の材料だ。

エコノミストらはこの不自然な数値の動きに疑問を抱き、メディアが報じた。そして、国会の閉会中審査で追及されるにおよび、厚労省は数値を修正した。
不正な調査が続けられてきた「毎月勤労統計」について、厚生労働省は23日、正しい数値に近づけるデータ補正が可能な2012年以降の再集計値を発表した。現金給与総額(名目賃金)は全ての月で修正され、18年1~11月の伸び率はすべて縮んで最大で0.7ポイント下方修正された。(1月23日朝日新聞デジタル)
昨年6月に3.3%とされた名目賃金の上昇率は再集計によって2.8%になった。
しかし、これでコトは済まなかった。国会の議論や、厚労省など関係省庁に対する野党合同ヒアリングで、毎月勤労統計調査の賃金変動は、前年と同じ事業所で比較する「参考値」で見るのが正しいことが、総務省の指摘で確認されたのだ。「参考値」なら、さらに伸び率は縮む。
1月24日の衆議院厚労委員会における質疑で、山井和則議員はこう質問した。
山井「再集計された名目賃金の伸び率は2.8%だが、参考値の伸び率は1.4%だ。日本の全体の統計を監視している総務省の統計委員会は、2.8%と1.4%のどちらが適切と考えるのか」
総務省大臣官房審議官「賃金の変化率は共通事業所(参考値)でみて、賃金水準は本系列(公表値)で見るのが適切だ」
つまり、1.4%のほうが適切な数値だと総務省が認めたのだ。
前年同月と共通した調査対象事業所のデータを用いて比べるのが「参考値」、抽出する調査対象事業所の一部を入れ替えて比較するのが「公表値」である。総務省は統計委員会の指摘などから、昨年1月以来、「参考値」を重視してきた。
参考値の名目賃金が1.4%の伸びなら、それに対応する実質賃金の方はどうか。山井議員によると、実質賃金伸び率の公表値は2.5%だったが、再集計で2%に修正された。この場合、参考値を計算すると0.6%になる。
ただしこれは最も伸びた6月の数字であり、参考値で昨年1月~11月の平均を出すと、実質賃金の伸び率はマイナス0.53%だという。この分だと、残念ながら2017年に続き18年もマイナスだった可能性が高い。

1月25日の野党合同ヒアリングで、野党議員らは「統計の不正が発覚するまで財務省はプラス0.3%で予算を組んだのか。実際にはマイナスだったことを財務省は知っていたのか」などと追及した。
これに対し財務省側は「昨年9月28日の統計委員会における指摘もあり、賃金変化率については参考値が重要であることを、われわれも認識していた」と答えた。
官僚たちは参考値を重視していた。ならば、麻生大臣はどういう認識のもとに予算編成の指揮をしたのだろうか。財務大臣が実態にもっとも近い数値を把握せず、公表された数値だけを信じていたとしたら、おかしな政策判断になりはしないか。
実は、麻生大臣には、毎月勤労統計調査の不正操作を官僚に忖度させたのではないかという疑惑がある。
昨年9月、厚労省政策統括官が出した文書に、毎月勤労統計をめぐって麻生大臣が経済財政諮問会議で発言した内容が次のように記述されている。
『基礎統計の更なる充実について』として「事業所サンプルの入替え時に「非連続な動き(数値のギャップ)」が生じているのではないか。」との問題提起あり。(平成27年10月16日:第16回経済財政諮問会議・麻生太郎議員提出資料)
厚労省が麻生発言を重く受けとめたことが、この文書で分かる。そこで、2015年10月16日の経済財政諮問会議議事録から麻生発言を拾ってみた。
麻生議員「私どもは気になっているのだが、統計についてである。(中略)毎月勤労統計については、企業サンプルの入替え時には変動があるということもよく指摘をされている。また、消費動向の中に入っていないものとして、今、通販の額はものすごい勢いで増えているが、統計に入っていない。(中略)ぜひ具体的な改善方策を早急に検討していただきたいとお願いを申し上げる」
要するに、麻生大臣は経済関係の統計データがアベノミクスの成果を示す内容になっていないのが不満なのである。
とくに賃金については、名目賃金こそ上がっても、物価上昇がそれを上回るため、実質賃金は下がる一方。ゆえに国内消費は低迷したまま。円安、株高の政策誘導で大企業だけがアベノミクスの恩恵にあずかってきたのが実情だ。
2012年と比較すると、2017年の実質賃金は4.1%も下がっている。第2次安倍政権下で、国民はそのぶん「貧困化」したといえる。

それでも、安倍首相は通常国会初日の1月28日、施政方針演説で消費増税について国民の理解を求め、次のように発言した。
アベノミクスはいまなお進化を続けている。GDP600兆円に向けて歩みを進めていく。…企業の設備投資は14兆円増加し、20年間で最高となっている。5年連続で今世紀最高水準の賃上げが行われた。経団連の調査ではこの冬のボーナスは過去最高だ
なんという認識の乖離だろう。いや、なんという欺瞞か。経団連の調査など、一部大企業の実態を示しているに過ぎない。
経団連は2018年の春季労使交渉の最終集計結果をまとめた。大手企業の定期昇給とベースアップ(ベア)を合わせた賃上げ率は2.53%で、1998年以来20年ぶりの高水準となった。(日経2018年7月10日)
安倍首相は、昨年10月30日の参院本会議でも、「五年連続で今世紀に入って最も高い水準の賃上げが実現し、この春の中小企業の賃上げ率は、過去二十年間で最高だ」と胸を張った。
中小企業の賃上げ率を調べたのは連合である。
連合が6日発表した2018年春季労使交渉の最終集計によると、定期昇給とベースアップ(ベア)を合わせた賃上げ率は平均2.07%で前年を0.09ポイント上回った。…中小企業の賃上げ率は20年ぶりの高水準になった。(日経2018年7月7日)
2018年12月28日公表の労働力調査によると、就業者数は6709万人。連合傘下の労組に加入する組合員は約700万人だ。
そのうち中小企業の組合員が何人かは知らないが、連合の調査をもって「中小企業は20年ぶりの高水準」と言って憚らないところが、いかにも安倍首相らしい。
景気判断のもととなる統計調査の信用が崩れ落ちたばかりというのに、テレビから「景気回復戦後最長」のニュースが流れ、茂木経済再生大臣が「今月で74か月、(景気回復は)戦後最長になったとみられます」とコメントする白々しさ。庶民の実感とかけ離れた景気回復PRは、何の効果ももたらさない。

新恭(あらたきょう)この著者の記事一覧
https://www.mag2.com/p/news/mag_author/0001093681
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