三都deドラマ

岩国・加古川・京都で演劇教育をすすめる3人の活動を報告します

ドラマの世界で生きる子ども

2010年08月15日 19時16分59秒 | 演劇教育

※画像と内容は必ずしも一致しておりません。 全劇研オプショナルツアー 東京タワーからみた富士山

「子どもが演劇教育にであう時」 第59回全国演劇教育研究集会シンポジウムに参加して〈その2〉平田オリザさん(劇作家)・泉山さん(中学)・平林さん(高校)・私キヨッチ(小学校)、コーディネーターが正さんそしてという5人でのシンポジウムでした。2つめに言いたかったことは・・・。

「子どもが演劇教育とであうとき」

〈その2〉ドラマの世界で子どもたちはいきいきと広がっていくのです。

全劇研に一昨年から当時東京学芸大の小林志郎先生のドラマ講座を2年続けて受講しました。「はじめましょうよ。」「来年度は、皆さんの実践を持ってきてください。」これが受講での最後の言葉でした。とにかくやってみなけりゃわからないよなあ。そこで5年生で道徳「阪神大震災」の授業を。

今年は1年生の国語で説明文の「どうぶつのはな」をドラマの手法で実践してみました。


どうぶつのはな


これはなんのはなですか。

これはカバのはなです。

カバはぬまやかわのそばにすんでいます。

かばのはなはみずがはいらないようもぐるときははなのあなをふさぎます。


※原文とかなりちがいます。すみません。教科書が学校においてあるもんで・・・


この場面の授業では、まず通常の読み取りを行います。カバはどこに住んでいるのか。泳ぐときには体をどのようにつかうのか。など言葉に即した読み取りを行います。
その後、その場面を実際に子どもたちで演じます。その場面に必要な役を決めます。カバ・かわ・ぬま・木・草・魚・ワニなどが出され、やりたい役にはまっていきます。もちろん基本的に人数の制限はないので全員がカバでもそれは構いません。
残りの子どもたちは、本文の音読役となります。

「立体絵はがき」それぞれが役になって教室の前にでてきてポーズをとります。ここで記念撮影です。カシャ!
そして音読役の子どもたちの音読。

         
            ぞうの場面                       カバの場面 

「サウンドスケープ」
子どもたちはそのポーズのままで聞こえてくる音を10秒間出します。カバやワニの鳴き声・魚の泳ぐ音・草のそよぎ・木の擦れ合う音これを2回間をあけて行います。この10秒間で教室は一気にサバンナに早変わり2回目のサウンドスケープでさらにその雰囲気がより高まります。

「ムーブメント」
ここから30秒間それぞれが動き始めます。「30秒間劇場」です。私の手の合図で30秒間この続きをはじめます。そして30秒後また止まります。さて、子どもたちは、カバは幸せそうに川に入り、鼻をふさいでもぐったりするわけです。魚も気持ちよさげに泳ぎ回ります。木と草は風になびきながら周りを見渡しています。ところがところが、ここからハプニング発生!先ほどからやる気満々だったワニたちが次々と川にはいりこみ川にすむ生き物をおそいはじめたのです。魚をくいつくし、ついにはカバまでターゲットに近づいてきます。カバたちはあわてて教室中をにげまわります。おいかけるワニ・・・。(おいおいどこまで行くネン)
そこで「ハイ パチン!ストップ!!」終了です。

「ホットシーティング」

カバくんやワニくん食べられた魚たちにインタビューします。
最後に音読係兼お客さんに感想を発表してもらい終わります。

ただ単に言葉を追いかけて読み深めることも大切です。言葉からのイメージを豊かに正確にとらえることも国語の学習として大きな意味を持ちます。でもね。ドラマで授業をしてみると、お互いの役になりきった子どもたちがお互いに絡み合いながらまた新たな世界を作り出してくれるのです。サウンドスケープで簡単教室は熱く乾いた風の吹くサバンナに早変わりし、(子ども達がサバンナの乾燥気候をしっているかはおいといて)ワニの登場でのどかな川辺は楽しく緊張感を増します。カバたちは逃げなければならないのです。(ワニがカバを襲うことはないらしいですが・・・)それぞれの役が関係を持ちながら、新たな世界を作り出すことにこのドラマの魅力があるように思うのです。そしてなにより子どもたちはドラマが大好きなんですよね。





1年生の国語で「おおきなかぶ」もドラマを使って


「おおきなかぶ」はげきあそびとしても様々な実践が展開されていますね。いまさらわたしがって思いますが、最後まで読み取りをおわってドラマでまとめてみました。


学習のテーマは「カブを抜いたおじいさん達のその後」です。


①おおきなかぶを抜いたおじいさん達はこのあとどうしたのかそれぞれで絵を描いてみる。
子どもたちはいろいろなその後を想像します。多かったのはやっぱりみんなでカブパーティ。大きなカブをきるために今度は大きな包丁をもって力を合わせて切ろうとするところやおじいさん達がつくった料理を動物たちにもっていってやるところなどおもしろい発想がいろいろと出てきます。

②班で自分のその後を交流。
班での交流は、絵を見せながら子どもたちが床の上で寝っ転がりながら、机の下にわざわざもぐりこんでそれなりに楽しんでいるようです。あまり発表の仕方などにとらわれずに、自分の考えたその後を「あんな、あんな・・・・」と語る楽しさと「ウンウン」「なんで?」など受け止めてもらえる心地よさを感じてくれればいいのです。受け止めることの大切さを実感します。


③役を決めたところから衣装選び。
役決めはその班の力関係や人柄がでますねぇ。(ひとがらというよりその役への思い入れといった方がいいのか)でも、あまりそれにじかんをかけていると、話し合いの途中できよっちが教室の前のつくえのうえにドンと積んだお気に入りの端布がほかの子にとられてしまいます。とりわけ女の子は、バーゲンセールよろしく売り場からなかなか離れてはくれません。いくつになってもねえ。こればっかりは・・・。首に巻いたり、頭にかぶったり、ふたりで見せっこしたり。ハイハイお客さんもう閉店です。お戻りください。


④班でその後のおおきなかぶごっこをして楽しむ。(10分)

さて、あとはじぶんたちですきなように遊んでください。さっき交流したストーリーでなくてもいいんです。ちょっとした見通しやイメージつくりだったんですから。「ああこんなふうになるのね」みたいなね。
ここで班の性格がでますね。すぐに始まる班。沈黙のなかで修行してるような班。でもね。あまりこちらは気にしない。声をかけないのね。まわりがだんだん没頭してくるとそれに引きずられるようにして「じゃあそろそろわたしたちもやりますかぁ」てな感じで始まるのだね。


⑤立体紙芝居をしてほかの班のその後を当てっこする。
だんだん熱を帯びてきた頃に「ハイ終了」
順番に班で1つの場面を立体紙芝居で紹介してもらう。
整列→立体紙芝居→当てっこ→ムーブメント(10秒間劇場)→整列(正解を発表)
大切なのはメリハリで→のところは簡単な幕が合った方がいいね。左右で持ち上げて顔を出すときは下に落とす。これでぐっと演じる側と見る側の緊張感が生まれます。
おもしろかったのは、ムーブメントで落ちが付くときね。立体紙芝居だとカブをやいて食べてるところなんだけど、ムーブメントするとその網からカブがころげおちるのね。それで大騒ぎになったって言うことなんだけどその意外性がとってもおもしろい。
このような流れでおおきなかぶのまとめをやってみました。


これもやっぱりお互いのコンテクストをすりあわせながら楽しくコミュニケーション力を高めていくことになるのではないのだろうか。

「キヨッチぃドラマしよう~」




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