語源をさぐることは、昔からあった。それは、人間が言語にたいして抱く好奇心のあらわれであった。ただ、語源をたずねる方法が確かでなく、拙劣であった。そのために、多くの人の共感を得ることがむずかしかった。時には、語源学への不信を招き、一種の道楽、ないしは言葉遊びのように考えられがちであった。
語源論ほど水掛論になりやすいものはない。
一方の人がこうだと言えば、他方の人がそうではないと言えるぐらいに、語源がわからなくなっている場合が少なくない。わかりそうな場合でも、誰もが納得して承認できる申し合わせが、語源論には不足していたのである。
(本書 解説「語源について」の冒頭から引用)
日常使われる言葉を中心に2290語を収め、独断的な語源解説や外国語による安易なこじつけをせず、語源の正確でないものは独断を避け語源説を紹介する。言語学者による本格的な語源辞典である。
福沢武一先生から、ただ一回限り直接、先生のお宅で指導を受けたとき、「ことばの成り立ちにまで迫って追求する」ことを強く求められたことを思い出す。「父祖が生活の中から生み出した知恵がことばである」と先生は説かれた。
方言にも語源がある。古語から方言となって、今もなお伝えられるものもある。本書を通じて、ことばの成立過程に思いをはせるのもまた楽しい。
東京堂出版 2,000円(税別)
語源論ほど水掛論になりやすいものはない。
一方の人がこうだと言えば、他方の人がそうではないと言えるぐらいに、語源がわからなくなっている場合が少なくない。わかりそうな場合でも、誰もが納得して承認できる申し合わせが、語源論には不足していたのである。
(本書 解説「語源について」の冒頭から引用)
日常使われる言葉を中心に2290語を収め、独断的な語源解説や外国語による安易なこじつけをせず、語源の正確でないものは独断を避け語源説を紹介する。言語学者による本格的な語源辞典である。
福沢武一先生から、ただ一回限り直接、先生のお宅で指導を受けたとき、「ことばの成り立ちにまで迫って追求する」ことを強く求められたことを思い出す。「父祖が生活の中から生み出した知恵がことばである」と先生は説かれた。
方言にも語源がある。古語から方言となって、今もなお伝えられるものもある。本書を通じて、ことばの成立過程に思いをはせるのもまた楽しい。
東京堂出版 2,000円(税別)