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ブログ版「泥鰌の研究室」

 信州飯田周辺の方言(飯田弁)を発信しながら、日本語について考えていきます。

はぁるかぶりに…

2014-12-07 | ノンジャンル


2012年7月31日のポストを最後に2年以上にわたって「放置」してきました。

もともとの飯田弁のホームページ「泥鰌の研究室」を整理し、閉鎖したため、このブログも同時に閉鎖しようと考えて「ひさしぶり」にブログページを開きました。
管理画面を覗いてみたら、なんと昨日の12月6日にもこのページを訪問・閲覧してくださった方が二桁もいらっしゃいました。ありがたいことです。

表題の「はぁるかぶり」というのは、飯田弁でいうところの「ひさしぶり」を意味するものです。
数年ぶりに再会した人、数日ぶりに再会した人、期間に関係なく、「はぁるかぶりだったなむ」と再会をよろこび、互いの安否を気遣う暖かみのあることばです。

きょうこのブログページを開き、まさに「はぁるかぶり」に今もわずかな数字ですがご訪問くださっている読者の方々にお会いできたような喜びに満ちています。

「信州下伊那郡方言集」(昭和11年刊行、私家版)に初めて出会い、飯田弁の不思議さなどに惹かれて、独学ながら方言(飯田弁)を追いかけてきた日々を思い出しました。私の原点はここにあったのです。


仕事や生活に追われて、なかなかブログを更新することはできないかもしれません。しかしながらわずかでもこのページを訪れてくださる方々がいらっしゃる以上、このままこのブログだけは残しておきたいと思います。


オカメス(めだかのこと)

2012-07-31 | 方言(飯田弁)一般
 今回、取り上げるメダカについて、『大言海』は、次のように述べている。

  めだか 小魚ノ名。淡水ニ産ズ。長サ一寸許リ。首、平タク大キク、目、大キクシテ高ク出ヅ。性、好ミテ水面ニ群遊ス。

 この記述どおり、メダカを「目高」と表記する辞書や方言解説書は多い。
 福沢武一先生は、「方言はふるさと」と題して『伊那』1991年7月号から1994年2月号まで14回にわたり、飯田・下伊那方言について解説された。
 メダカに関する方言については、「ウキス」・「メンパ」の二語を、『伊那』1991年10月号(連載その3)で取り上げている。この二語の鑑賞は、先生の書かれた文章によることとして、メダカの方言をもうひとつ、考えてみることにした。

  アカメス  目高(『下伊那方言集(中間報告)』)
  オカメス  メダカのことをこのあたり(筆者注 松川町旧大島村付近)ではオカメスという(『本多勝一のこんなものを食       べてきた!』朝日新聞社)

 近隣に類語が見当たらない。旧大島村は上伊那と接している。『上伊那の方言 ずくなし』・『上伊那方言集』ともにメダカの方言名称についての記述がない。第一、『松川町の方言』(松川町教育委員会)、『伊那谷の方言歳時記』(郷土出版社)といった松川町の方言を解説している文献にさえも登場しない。さて、これはどうしたらいいだろうと途方に暮れた。

  おかめっこ  丁斑魚、めだか  長野県南佐久郡(『全国方言辞典』)

 隣郡どころか遠く離れた佐久で類語が発見された。前述した「方言はふるさと(その3)」で、福沢先生が「ウキスコ」(山形の方言)の「コ」について解説しているが、この「オカメッコ」の「コ」も同様の「コ」と考えられる。

  ウキスコ  めだか  山形
       コは、ドジョッコ・フナッコのコであろう。で、ウキッコなら分かる。ウキスコでは分からない。

 では、「オ(ア)カメ」とはなにか、『日本国語大辞典』をあたってみた。

  おかみ(岡見) (中略)【語源説】うかがい見ることをいうウカミ(候見)を岡の上から遠くを見る意味に誤って考えた語        (塵袋)
  おかめ(傍目・岡目)(「おか」は傍、局外の意)他人の行為を脇から見ていること。局外者の立場から見ること。傍観。ほ   かめ。おかみ。(中略)【語源説】①ヲカメ(傍目)、ヲカミ(傍見)は同義。ヲカ(傍)は岡、陵の意から転じた(大言   海)。②ホカメ(外目)の転か(古今要覧稿・両京俚言考)。

 どうやら、「オ(ア)カメ」は、メダカとは関係ないらしいとあきらめかけたところ、福沢先生の『おいでなんし 東信のふるさと方言集』(郷土出版社)にメダカ(本文では「目高」と表記されている。)に関する記述をみつけた。

   私が伊那で少年時代に使ったのはメッチャでした。いずれも次のものに由来しています。
    メチャコイ  小さい  宮城・山形
    メチャッコイ  同  千葉東葛飾
  ここから「小さいもの」の意で目高名が導かれて来たのです。
    メチャ  目高  石川鳳至
    メチャコ  同  高知高岡
    メチャッコ  同  上水内
  使用地が東西に離れすぎているのではないか、といわないでください。類同の名称が各地に散在しています。
    メッチャイ  小さい  山形西置賜・福島中部
    メッチャコ  小さい物、ごく小さい物  山形村山・山口防府
    メッチャコイ  小さくてかわいい  青森三戸・宮城仙台
  次のものも縁者です。
    メメチャンコ  極めてわずか
    メメッチョ  同  富山下新川・出雲・岡山児島
  同じものを伊那でアカメメッチョと呼びます。アカは、アカの他人、アカ裸など、「全く」の意です。

 『下伊那方言集(中間報告)』に採録されている「アカメス」の「アカメ」は、福沢先生の前掲書によると上伊那で「アカメメッチョ」と呼ぶことから「メメッチョ」が省略されたもので、「オカメス」は、「アカメス」の「ア」が「オ」に転じたものと考えられる。しかしながら、「ス」がわからない。福沢先生も「ウキス」の解説で、「ス」が不明だという。今後の課題としておきたい。

 メダカに限らず、生物や植物の名称は、さまざまで、そのときどきの見方などからいろいろな異称が生まれた。明治36年の『下伊那郡方言調査書』に始まる飯田・下伊那の方言集には、一つの動植物のさまざまな異称でいっぱいである。それら一語一語の語源などを解明していくことで、父祖たちの生活の一端を思い浮かべることができるかもしれない。しかし、それらの語を知り得る人たちがどんどんといなくなっている。メダカのことを「ウキス」、「メンパ」、「オカメス」などと呼ぶ人に会えるのなら、ぜひお会いしてみたいと思う。

 ところで、『本多勝一のこんなものを食べてきた!』には、次のような記述があった。

   最初にとれたオカメスを生きたまま口に放り込み丸のみにする。これはオレたちの一種の強壮剤。そしてこれでその日の漁  がうまくいく気がするのだ。

 湖沼や小河川のコンクリート化、汚染などの理由からメダカは消えつつある。
「少年たちがメダカを生きたまま口の中に放り込む」、とても信じられない光景である。私が生まれるよりずっと以前の、ある意味では現代より「よき時代」、「のどかな時代」の光景かもしれないが、自然からメダカが消えつつある今、こうした光景に出会いたいと願ってもそれは到底叶わない。

すもも

2012-07-31 | 方言(飯田弁)一般
3年ぶりの投稿です。
長い間、放置していて申し訳ありません。
また、少しずつ書いていきます。


「すもも」

バラ科サクラ属の落葉高木。中国原産。日本への伝来は古く、万葉集などにも登場する。果実は生食するほか、ジャムや果実酒などにする。

語源
 「モモ」は、「スモモも桃も桃のうち、桃もスモモも桃のうち」という早口言葉があるように、果実が桃に似ていることによる。
 「ス」は、酸味が強いことから「酸っぱい」意味を表す「ス」が有力とされる。うぶ毛のない桃の意味で「素桃」を語源とする説もあるが、漢字で「酢桃」と表記されるように、この果実は毛のないことよりも酸味のほうが印象深いため、酸っぱい桃と考えるほうが妥当である。
 スモモの漢字「李」は、「木+子(実のこと)」で、果実がたくさん実る木を表している。

異称
「ハタンキョウ」(巴旦杏)
 方言と考えられる向きがあるが、スモモの一品種である。実は大形で先が尖ることから、トガリスモモ、牡丹杏(ぼたんきょう)ともいう。こちらが異称と言える。
 この「ハタンキョウ」、「ボタンキョウ」の転訛が各地にみられる。
    ハランキョ(広島、福岡)  ハザンキョ(淡路)  バタンキョウ(宮城)
    ハタンキョ(北海道)
    バタンギョ、バタンキョ、ハダンキョ、ワダンキョ、ワタンキョ(茨城、栃木)
    ハタンキ、ハッタンキョ(青森三沢)など
スモモが転訛したと考えられるのは、
 スモンボ(長野開田)、「~ボ」という表現は、「アカンボ」、「ハダカンボ」の「~ボ」と同じ。
   変わったところで、
    トウボウサク(島根、鳥取)、どうやら中国の故事「東方朔」とも関係がありそうな異称だ。
    イクリ、イグリ、イクリモモ、イクイ(九州各地)
     イクリを漢字で表記すると「郁李」、まさにスモモを意味する異称だった。
    スイメ、シーメ、スーメ、スンメ(鳥取) 「酸い梅」の転訛と思われる。
 梅のことを英語で説明するのに「plum」を使うことがあるが、plumは正しくは、セイヨウスモモのことであり、梅ではない。Japanese apricotと言い方もあるようだが、apricotは、杏。ハタンキョウ、ボタンキョウの「キョウ」は「杏」の漢字を当てることから、Japanese apricotが適当か?
 サンタロウ、これは、聴き慣れない。北原校長先生の口から出たということは、下伊那のスモモの異称か? 調べてみたら、スモモの品種に「サンタローザ」という品種があるらしい。どうやらそれが転訛して、サンタロウ(三太郎)になった?


Wikipediaより抜粋
すもも
 スモモ(酢桃、李、学名:Prunus salicina)はバラ科サクラ属の落葉小高木。また果実のこと。中国原産。
スモモの果実はモモに比べて酸味が強いことが、和名の由来となっている。火事では「李」と書かれる。英語では「prune(プルーン)」、「plum(プラム)」などと呼ばれる(ただしウメも「プラム」と呼ばれることがある。)。地域によっては、ハダンキョウあるいはハタンキョウ(巴旦杏)とも呼ばれる。古くから日本に伝わっており、和歌などにも詠まれる。農園で栽培される他、自生しているものもある。
特徴
 花期は初春で白い花が咲く。花芽分化は7~8月頃。果実はスモモ系が6月下旬から8月中旬、プルーンの系統は9月頃収穫できる。果実は紅や黄色、果肉は淡黄色や紅色など品種によって異なる。代表的な品種としては「大石早生」、「ソルダム」、「サンタローザ」、「メスレー」、「太陽」など。比較的新しい品種では「紫峰」、「月光」、「貴陽」、「秋姫」、「いくみ」などがあり、これらの品種は従来種より糖度が高く、生食用に品種改良されている。葉が紅色のハリウッドは受粉樹に向く。スモモは自分の花粉では結実しにくい自家不和合性なのでほとんどの品種で受粉樹が必要である。日本での主産地は山梨県など。
 「スモモも桃も桃のうち」という言葉があるが、桃とは異なる種である。同じバラ科サクラ属の梅、杏、桃の花粉を利用して人口授粉させることができる。長果枝は開花しても結実しにくいので、中短果枝および花束状短果枝を出させる剪定を冬季に行う。 開花期に霜にあたると、不完全花となり結実しないため、開花時期に晩霜に遭わない地域が適する。成木なのに収量が少ないのは受粉樹が近くにない、受粉樹との相性が悪い、低温晩霜にあたったのが原因と考えられる。発芽する前に石灰硫黄合剤を散布して葉や果実が膨れ上がるふくろみ病を防ぐ。アブラムシ、カイガラムシ、イラガ等がつく。

今年は心機一転、まじめに綴ります

2009-01-01 | ノンジャンル
 旧年中は公私にわたり、お世話になりました。本年もよろしくご指導のほど、お願い申しあげます。皆さまにとりまして、この1年が健康でよき年でありますよう、お祈り申しあげます。

 2007年度から下伊那教育会考古学委員会所属となり、2008年度の下伊那教育会郷土調査部研究発表会(1月31日、飯田市鼎文化センターで開催)の発表者ということで、仕事の合間にその準備をすすめてきました。そのため、昨年、福沢武一先生との約束を果たすべく、「方言はふるさと」(仮題)刊行に向けて取り組むことを決意しましたが、なかなか思うように準備がはかどらず、今日に至ってしまいました。今年こそなんとかしなくてはと自分自身を叱咤激励しているところです。
 今後ともより一層のご支援、ご教示を賜りますようよろしくお願い申しあげます。

謹賀新年

2008-01-02 | ノンジャンル
今年もよろしくお願い申しあげます。
あいかわらずの遅筆です。