虎(黄にゃんこ)と馬と猫

競馬とタイガースと時たまねこのお話

秋期限定栗きんとん事件

2009-03-10 13:08:12 | 読書日記(映画)
「秋期限定栗きんとん事件(上)」米澤穂積
「九杯目には早すぎる」蒼井上鷹

前者
大好きなシリーズで即買い即読み
作品の中心となる肝心のコンビが解消状態で、イレギュラーな語り手が入った分の戸惑いがあったが、まもなく慣れた
不満といえば…初の分冊化で続きがひと月待たされること!


後者
こちら不満だらけ
タイトルで手に取り、9編に仕掛けのある推理短編集という点で買ったのだが…

まず筋立てがザワザワする
悪意が漏れ出すような話の連発でいささかサスペンス寄り
平然と日常生活の中で、モノを捨てるような感覚で人を殺すとか、ひとつならともかく気持ちが悪すぎる
連作短編集と勘違いしたのを含め、このあたりは好みの問題としても

名前が開くと あおいうえたか でもじっていて遊び心を出しているつもりみたい

でも、同じ遊び心なら、徹底的に遊び尽くした泡坂妻夫や、鯨統一郎の短編集を知っていると、【チャチな】という感想がどうしても強くなる

泡坂さんは章のタイトルを全て回文にしたり、少なくともその労力を感じさせる仕掛けがしょっちゅうあったし、同じ「あいうえお」でも亜、井伊、上岡菊彦と並べたり…作中の仕掛けとペンネームの比較はフェアじゃないかな?

鯨氏は古今東西のトリックパターンを盛り込んだ『九つの殺人』という短編集がある
トリッキーだったり突飛だったりしても、意図や工夫が伝わるし、出来もそれぞれいい


しかし、これは…
そんなに酒場やバーで進む話ばかりなら、むしろ統一しろよ
同じ登場人物もいないのに場面が同じではいかにもマンネリ感が漂う
なにより! 人を突き落とし過ぎだろう?
手口も似たり寄ったりでは、九つ並べただけむしろアラになっている

そういえば表題作の「一時的な人付き合いと認識した関係では名前を間違えられても、あえて訂正しない」
これって北村薫の短編と同じワンアイデアものじゃないか

ああちくしょう無駄なもの買った

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