野宿であった

静岡県の日本平のロープウエイの駐車場で野宿をしたことがある。

アースホテルである。(笑）

今風に言えば、スローライフ。

本当のところは、貧乏旅行。

随分前のことなので、記憶が薄れているが

季節は夏であった。

警察官を辞めて、全国の窯場を訪ねて歩いていたころのことである。

貧乏旅行と言ってもお金はあった。（笑）

ただ仕事を辞めて先行き見えない状況だったので

移動はヒッチハイク。

泊まりは野宿が基本であった。

夕焼けの富士山を眺めながら

さてこの先どうなることやらと考えながら夕食をとり

今日のねぐらは、日本平だ～！と

よくわからん興奮をしていたものだ。

駐車場のすみの、あまり人目につかない所に寝袋を出し

もぐりこんだ。

・・・・

暑い！

・・・

ジッパーを開けて手を出した。

・・・

ぷ～～～ん・・・ぷ～～～ん

蚊だ！

しょうがないので暑いのをがまんしてもぐりこむ。


今度は顔が攻撃される。

たまらん。

リュックの中から、白いタオルを取り出した。

顔にかけて、また眠る。

蚊の音はするが、今度は刺されない。

寝ているうちに、体を動かしたはずみでタオルが落ちた。

又、蚊である。

しょうがないので、水でタオルを濡らし、顔に貼り付けた。

お！今度は動いても落ちない。

そうしているうち、オートバイが何台も入ってきた。

暴走族らしい。

からまれたらいやだなあ。と思いつつそのまま寝ていた。

なんだか話し声がする。

ライトが時折こちらを照らしている。

だまって、寝ていた。早く行ってくれ。

そのうち、轟音をとどろかして行ってしまった。

やれやれ、良かった。と思ってよく考えてみると

駐車場のすみに、寝袋があって、顔に白い布がかけてあり・・・動かない！

まるで死体じゃないか。

さすがに暴走族の連中も近寄らなかったわけだ。

これで線香でも立てていたら、完璧だったな。

などとつまらんことを考えながら

蚊取り線香すら無いことに気付いた。

四隅に香取線香を立てて

除虫菊でもそなえて、寝ていたらある意味快適だったかもしれない。（笑）

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