日本にグーテンベルクの活版印刷、正確にいうと鉛の活字を使って1字1字動かすことのできる印刷技法を持ち込んだのがアレッサンドロ・ヴァリニャーノでした。ダイナマイト・羅針盤と並んで世界三大発明の一つとされた活字を使う印刷が天正時代に日本に入ってきている、それがあまり知られていないというのが私がこの日本最初の活版印刷に取り組むようになったきっかけでした。
それも、長崎で天正遣欧少年使節の従者として彼らに同道したドラードという日本名のない日本人の少年がヴァリニャーノによって抜擢され見事にその任をはたしたというのです。ドラードに興味を持った私はドラードを追いかけることにして、2001年に『活版印刷人ドラードの生涯』を印刷学会出版部から上梓いたしました。
おかげさまで20年経った今日も読者に愛されていることはうれしい限りですが、20年間私がずっと温めていたのが、ドラードを日本最初の活版印刷人に起用し、日本に活版印刷をもたらすことを考えたヴァリニャーノなるイエズス会の巡察師がなぜ、どうして天正遣欧少年使節の派遣以外に「印刷」に取り組んだのかぜひ、解明したいということでした。
口之津や加津佐にふたたび足を向け、マカオ・ポルトガル・イタリアなどの再訪をすることからはじめました。
アレッサンドロ・ヴァリニャーノ
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