活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

手に取って見る美しい本2

2012-11-18 11:40:23 | 活版印刷のふるさと紀行

 世界のブックデザインのつづきです。8ヵ国の出展作品はさまざまで面白かったのですが、しいて私が気にいった1冊をあげるとするとこれです。「カナダの優れたブックデザイン、アルクイン・ソサエティ賞2011」は今回で30回目で、252点の応募作から35点選ばれたなかの1点です。

 Wellinton's Rainy Day カナダからの出展作品です。カチッとした上製本で愉快で美しいイラストが秀逸の絵本でした。最近は日本でもユニークな絵本がたくさん出版されていますが、難をいうと製本が弱々しいのが多すぎです。こうした絵本ですと、親が幼児といっしょにページを繰りながら想像の翼をひろげる楽しみが膨らみそうですし、やがてその児が成長してこの本と親しみ終わったあとも書架の一隅を占めさせておけるりっぱな絵本と見ました。

 何をいいたいかといいますと、絵本の場合こそ、「電子本」だけだとあまりにも寂しいのではないでしょうか。その本が視界に入るたびに、紙の上に印刷された世界を思い描いた幼児体験私1人だけではないと思います。たとえ印刷本も電子本と同じようにこどもにとってヴァーチャル世界であっても、臨場感、実在感の重みが違うと思うのです。

 それはそれとして、台湾の出品作には装幀に凝ったものがたくさんありました。母体になったコンクールの傾向次第ですが、日本の造本装丁コンクールでも一時期、奇抜なものが入選する時期がありました。それを過ぎると、前回のドイツの「キリンの首」のようなオーソドックスな本作りが認められるようになるのでしょうか。下の写真はカナダの出品作について話すカナダ大使館の書記官です。

 

 

 

 

 

 

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