六月は雨の句が多いはずなのに、早めに梅雨明け、あれれっ、梅雨めく声で始まったと思ったら、凛ひとしづくが夕暮れを煮詰めたジャムにして、のほんん虹で終わりじゃが。連日猛暑で、七月は汗をかく句を書く予感。
6月30日
眼球を切子に削り虹の橋
首すぢの切子むらさきスカイツリー
6月29日
朝を抜けボート河口でキスをする
6月28日
考えに菊挿して花園を呼ぶ
6月27日
マシュマロが奇怪をしゃべる金魚草
寝ころべば愛慕のかたち金魚草
6月26日
天空のノコギリに育つ子蟷螂
6月25日
恋降る淵ぺらっと跳ねる囮鮎
6月24日
梅雨茸の思案めぐらす菌糸かな
遅延する鏡像をハンカチで拭く
6月23日
夏至の木は夜間飛行で夕陽追う
6月22日
山羊兄妹のほほんとして夏至の虹
6月21日
ネギを噛む夏至ふくよかな濁音で
6月20日
水門をのけぞりこゑる濁り鮒
6月19日
欄干を失語がこゑる桜桃忌
6月18日
夕暮れを煮つめてジャムに桑苺
6月17日
浜昼顔にカニが訊く君の名は
竹植ゑてを終ひに凛ひとしづく
6月16日
浜昼顔が運命を立ち泳ぐ
6月15日
水しづく弾む廃墟や苔の花
6月14日
人情をとうすみの燈が映写する
6月13日
銀月を挟む植田のミルフィーユ
6月12日
蛍火の対位法を2声で飛ぶ
6月10日
翡翠の艶ウサギのごと皐月闇
6月11日
梅雨出水流れこむ悲話で溺れる
6月9日
心穴をふさいでしまえ百足虫
6月8日
降る傷に十薬ひねる甘え声
十薬でねじまがる声苦い傷
6月7日
帰ったで梅雨めく声に傘さして
6月6日
夢の棘ことばが痒い芒種かな
6月6日
芒種から始める土手の早朝ジョグ
6月5日
麦の穂が青空に根を貸している
6月4日
塀沿いにエニグマを捻じる野茨
6月3日
落し文否定語のみを横断し
6月2日
佐渡いづこ山河を捩じる泥鰌汁
6月1日
甘藍がかうべめぐらす干拓地
甘藍を切るとのけぞる成層圏