おじさん日記 ~Okinawa Self-Diving Log~

セルフダイビングのブログ。ログや写真や器材が中心ですが、その他ダイビングに関係ないことも好き勝手書いています。

コーヒーと科学

2016-10-02 16:45:39 | コーヒー

沖縄コーヒーフェスティバルでの、食堂黒猫Black Cat Cafeのクリスさんによるワークショップ。内容は2つに分かれ、今回は「コーヒーの抽出方法と味の違い」というタイトルのレクチャー。

味を考える上で、抽出と焙煎のそれぞれで鍵になるキーワードがあります。

抽出では、OverextractionとUnderextraction。前回も扱いましたが、ここで復習です。
 ・Overextraction 過抽出→抽出しすぎ。えぐみや雑味が出てくる。
 ・Underextraction 抽出不足→抽出が足りない。成分を十分に引き出せず、酸味のみが強く出る。
というわけで、丁度よい抽出で止めることが大切。

焙煎でのキーワードはMaillard reactionとCaramelization。この2つは似て非なるもの。
 ・Maillard reaction メイラード反応→これは、糖とアミノ酸が結合し、新たな化合物ができるもの。多様な物質が生まれる。150℃前後で起こる。
 ・Caramelization キャラメル化→糖のみの反応。だんだん炭へと変化し、苦味を伴う。メイラード反応より高温で180℃を超えたあたりから起こってくる。

焙煎を始めるとまずはMaillard reaction メイラード反応でコーヒー独特の香ばしさや旨味が生まれてきて、さらに焙煎を進めて深煎りになると、Caramelization キャラメル化によって苦味が強くなってくる。豆の特徴や好みによって焙煎の深さが調節される。一般的なのはライトローストからイタリアンローストまでの8段階。


さて、今回のメインとなるフレーバーの話題に移ります。フレーバーに関わる要素は、甘味・酸味・苦味・塩味・旨味の5つは当然のこと、そこに口当たりと香りを加えて合計7つとのこと。ここでは、その7つそれぞれについて説明がありました。

【口当たり】
マウスフィールともいう。よく言われる「ボディ」もここに含まれる。
・コーヒーが溶けているか、溶けていないか:filtration 濾過がされているかどうか
・脂質:ペーパードリップだと多くが取り除かれる
・ガス:スチームミルクとか

【旨味】
ほとんどがタンパク質。Maillard reaction メイラード反応で糖とアミノ酸が反応し、新たな化合物が生まれる。焙煎によって旨味が生まれてくるわけです。焙煎しすぎるとその旨味の成分も破壊されて少なくなる。

【塩味】
ミネラルが塩味の元。コーヒーでは感じることは少ない。ミネラルは水にすぐ溶けるため、Underextraction 抽出不足の時に塩味を感じることがある。

【苦味】
・カフェイン→苦味のもと。そして美味しくない。ロブスタ種のカフェイン量はアラビカ種の2倍。これがロブスタ種が美味しくない理由の1つ。
・炭→糖はCaramelization キャラメル化で炭になり、苦くなる

【酸味】
多くの種類の酸があって、焙煎や抽出によって各々上がったり下がったりする。良い酸味と悪い酸味がある。良い酸味は、nice acidityとかbright(明るい)という言葉で表される。

・焙煎では酸を作り出すこともできるし、酸を消すこともできる。良い酸味を増やし、悪い酸味を消すように焙煎の深さを調整する。
・抽出では焙煎で残されている酸しか抽出することができない。ただ、その酸のうちどの酸をどれだけ抽出するかは、抽出の度合いで調整することができる。酢のような酸味はOverextraction 過抽出で出てくる。

・生豆に酸が含まれている
・精製の過程で発酵することによっても酸ができる
・クエン酸のように、焙煎することによってできる酸もある

ちなみに、スペシャルティコーヒーは酸とアロマできるだけ引き立つように浅煎りにすることが多いみたい。

【甘味】
糖分が甘味の元。糖分は焙煎においてMaillard reaction メイラード反応にもCaramelization キャラメル化にも関わってくる。

【香り】アロマともいう
香りは味に影響する。特に、口にものが入っている時に味と感じる。
焙煎によって、香りの元となる化学物質の種類が800種類(全てが良い香りではない)を超える。

以上、フレーバーに関わる7つの項目についてでした。それぞれがどのようにして増減するかが体系的に分かってより興味が湧きました。

・品種(ぶどうより多い)
・産地(エチオピア、ケニアなど)
・気候(標高、山)
・過程(水洗式かナチュラルか)
・焙煎(温度によっておこる化学反応が違う)複雑さ(分子の種類)
によって含まれる分子の種類と量が変わってきて、それが「Complexity 複雑さ」に繋がる。

「Complexity 複雑さ」があるからこそ、コーヒーはワインやウイスキーと同じく価値があるものなんだとクリスさんは言っていました。これ、とても良くわかる。自分が好きな3つの飲み物はまさにコレ。

今回のレクチャーを受講して、よりコーヒーが好きになった気がします。


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