祈りを、うたにこめて

祈りうた(ウクライナ  暴虐―二〇二二年)

暴虐―二〇二二年



まさかそんなことは起こるまい!
そう あなたも私も予想した
そんなことがあってはならぬ!
そう 私もあなたも願った
―二〇二二年二月二四日
だが それは起こった、起こってしまった
あなたの予想私の予想
私の願いあなたの願い それらを踏みにじって
国境を越えたのだ 戦車が!


  『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』4*に、次のような一文があった。

だれかをきずつけることを楽しいと思いはじめたら、それはもう、人じゃござんせん。けものでござんす。(「ウルフまんじゅう」)

 ウルフ―オオカミ。
  いじめられっ子の主人公は、「ウルフまんじゅう」を食べた。強くなったが、今度は逆に、いじめっ子を傷つけるようになってしまう。しかも、それを楽しいと思うようにさえなってしまう。
 すると、全身に銀の毛が生え、キバまで出てきた。オオカミになる、というところまで化身(けしん)しそうになったのである。その主人公が、銭天堂の「おばさん」から言われたのが、初めに引用した言葉である。
だれかをきずつけることを楽しいと思いはじめたら、それはもう、人じゃござんせん。けものでござんす。
 ロシアのウクライナ侵略を宣言したときのロシア・プーチン大統領の顔。その眼。背筋がぞっとするような冷たい眼。かなしいかな「けもの」の眼をしていた、と思う。己の欲のために人々を威嚇する、思いのままに操る、いのちを尊いと思わず、冷たい眼のままで殺傷する。ウクライナの人々だけでなく、自らの国ロシアの人々をも。
 わたしは願う。わたしは祈る。
 ―「ウルフまんじゅう」の主人公が悔い改めたように、プーチン大統領が、「自分はたいへんな罪を犯してしまった、『けもの』のような最低の人間に堕(お)ちてしまった」と世界に告白し、今の暴挙をただちにやめることを。そのことを祈る。               
 *廣嶋玲子、偕成社




★いつも読んでくださり、本当にありがとうございます。
 ロシアがウクライナを侵略してから二年が経とうとしています。最近では報道も減ってきました。わたしたちの関心も「遠い国の戦争」という状態になってきているかもしれません。ロシアの「大統領選挙」も近づいています。冷たい眼をした人物の、当選確実の「選挙」です。
 もう一度「自分の国にも影響が及ぶ可能性がある戦争」(経済面ではすでに及んでいます)として、心に刻み付けたいと思います。



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