祈りを、うたにこめて

祈りうた(ウクライナ  私の想像力はまずしい  群死と個死)

私の想像力はまずしい

 

 

わたしの想像力はまずしい

遠い外国の戦争のこと

スーパーから消えた食べ物、水、日用品のニュース

―数年前の台風の前日 

近所のスーパーから消えたパン、レトルト食品、インスタントラーメン

それを重ねてみるだけ

 

わたしの想像力はまずしい

遠い外国の戦争のこと

地下鉄や防空壕に身を潜(ひそ)めている人びとのニュース

―数年前の台風の日

避難した体育館

見知らぬ人と身を寄せ合って過ごした一夜

それを重ねてみるだけ

 

わたしの想像力はまずしい

遠い外国の戦争のこと

砲弾で崩された病院で傷つき、亡くなった人びとのニュース

―映画でみた戦争

町が破壊され、兵士も市民も死んでいく場面

それを重ねてみるだけ

ただそれを重ねてみるだけ

 

 

 

 

群死と個死

 

 

群死と個死

そのことをどう考える?

 

集団自決はあるけれど

―君はいう

群死という死が そこに

あるのだろうか

みな個死

なのではないか と

 

集団虐殺はあるけれど

―あなたはいう

群死という死が そこに

あるのだろうか

みな個死

なのではないか と

 

みずから殺しても

人から殺されても

―われわれは考える

群死などという死が

あるのだろうか

あっていいのだろうか

 

―われわれは言う

そこにあるのは

個死

ただそれだけではないのか

 

大勢がいちどに死んでも

大勢がいちどに殺されても

死ぬのは

一人のきみではないのか 

一人のあなたではないのか

一人のわたし

ではないのか

その死だけがあるのではないか と

 

 

●ご訪問ありがとうございます。
3月に「私の想像力はまずしい」を投稿しました。それ以来、「一人の死」について考えてきました。
ニュースでは死者何名、何千名などと報道します。死者が塊の数になります。けれど、実は一人ひとりの、一つひとつの命が失われているではないかと、思ってきました。
それを「群死(または集団死)」に対して、「個死」と表現しました。


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