DEBUO日記アジア情報

東北,東南アジアの政治,経済,音楽,食が中心です。

人々⑤カースト

2006-06-20 | フィリピン

クラス社会


フィリピンには,目に見えないカーストが存在するといいます。貧富の差が激しいために,自然と発生したものだと思われます。どうも,これはフィリピン社会を考えるのに重要なポイントのような気がしています。

レベルを私の推測で分けてみました。

上の上

日本だと,かつての堤氏みたいな存在。フィリピン全土に1000人くらいしかいないのでは(個人的推定)。この人たちがフィリピンの政治経済を担っています。

上の下

一年に一回は家族で海外旅行に行ける人たち。年収は楽に100万pをこえる。弁護士とか医者とか。日本の駐在員とか。総人口の1%位?

中の上

親も子も大卒。家族収が40~80万pくらい。総人口の15%くらい?

中の下

収入は中の上かそれ以上あるが,成り上がり的存在で上のクラスと認められない人たち。総人口の15%くらい?

下の上

高卒以下。毎日の生活に追われている。の家族収入が1万~2万pくらい。標準的なフィリピン世帯。総人口の50%くらい?

下の下

毎日の生活ができない。家は不法占拠。スクワッター。極貧。一日の収入が0~300p(不定期)。総人口の20%?

底なし

下の下より下があるそうです。

※ごく最近の統計はありませんが,2002年のフィリピン人家庭の平均年収は35万pでした。現在は45~50万pくらいになっていると思います。


おおむね,収入によりレベルを分けることができます。しかし,それだけではありません。例えば中の下が中の上へステップアップしたと認められるには,少なくとも親子2代にわたってそれなりの収入や暮らしをしてきたことが必要のようです。

フィリピンの身分差ができた一番大きい要因は,上のクラスは下のクラスにたかられたくない,ということだと思います。これは容易に想像できます。社会的ポジションと豊かさはフィリピンでは比例しています。清貧の思想は,日本ならでは。貧しい人たちへの施しの気持ちは忘れませんが,援助してもらうのに何らためらいのないのがフィリピン人。自分たちの幸せのためにできる限り商売や教育に投資したいのは当然です。ですので,下のクラスへの積極的な関わりは避けたいのでしょう。

もうひとつのポイントとしてお互いに話が合うかどうかで別れていると私は考えています。フィリピンは日本のような均質社会ではありません。貧富の差が極端に違います。収入が違うと,趣味,交際範囲,話題,暮らしぶり等当然違ってきます。フィリピン人は非常に話好き。話の合わない人はつまらない。フィリピン人特有の嫉妬に悩まされるかもしれない。だから,レベル差があると付き合いを避けるようになります。 そこから自然発生的に身分差ができたのでしょう。

それらが端的に表れるのは,結婚。フィリピンではレベルの違う人とは結婚を避けるそうです。ここでは結婚は家族同士の結びつきという側面が強い。両家にレベル差があると,本人だけではなく,相手の親や親戚にまで援助しなくてはならないかもしれないですし,家族同士が集まってパーティをしても話が合わないと楽しくありません。本人だけでなく,親や親戚も同じようなレベルでないと困るわけです差別というより,教訓とか経験とかそういう類のものです。

現在の収入面だけではフィリピンの目に見えない身分差はわかりません。親子2代にわたり云々というのはそういうことだと思います。レベルアップは簡単にはなされないわけです。

ただ,外国人だけはオールマイティらしく,それでフィリピンの人たちは日本人や西欧人との結婚にあこがれる面もあるそうです。


最新の画像もっと見る