DAWN BREAKER weblog~from Dusk till Dawnbreak~

ジャンル不問の音楽にまつわる独白集。
いわば「音楽百物語」。

WONGRAVEN「FJELLTRONEN」

2007-01-22 15:02:00 | CD
一つ前の記事のコメントで、のじーさんが言及して下さっている、SATYRICONのSatyrによるプロジェクトWONGRAVENのアルバム・ジャケを載せておきます。
ジャケの絵についても説明して下さっているので、どうぞ御参照下さい。

キーボードとSatyrのチャントや呪文?で構成される、シンフォニックなアトモスフェリック・ミュージック(95年作)。
前年の94年に元EMPERORのMORTIISがキーボード・オーケストレーションのみのアルバムを発表し、ブラックメタル・ファンを驚かせたが、このアルバムはそれに続いてシーンに登場した。MORTIISが以後コンスタントに作品を発表したのに対して、WONGRAVENはこの一枚しかないこともあってか、いまやあまり注目されることもないようだ。
しかし、個人的にはWONGRAVENの方が好みだった(勿論、MORTIISも好きですよ)。MORTIISが壮大ながらも繰り返しの多いサウンドなのに対して、WONGRAVENはこれでもかと言わんばかりの展開美を見せる。しかも、ダークで、妖しくて、荘厳なメロディと雰囲気が満載で、「これはホンマモンや~」と聴いていて仰天したことを覚えている。
途中(13分すぎあたり)でSatyrが呪文のようなものを唱え出すところは、おしっこちびりそうになりました。実際にちびる人もいるかも知れません。

さあ、SATYRICON好きの皆様、Satyrによる芸術作品とでも言うべきこのアルバムを早くゲットして下さい!
メタルじゃないからいらないや…なんて、まさか言いませんよね??





STORM「Nordavind」

2007-01-20 05:06:23 | CD
SATYRICONのライヴを見て、引っ張り出してきました。

SATYRICONのSatyr、DARKTHRONEのFenriz、そして当時The 3rd and the Mortalの歌姫だったKariによる、トラッド・メタル・アルバム。
ノルウェーのトラッド/フォークをアレンジしたものや、それっぽいメロディ全開のオリジナルが収録されている。
1994年の制作で、ヴァイキング・メタルの走りとも言えるが、当時こんなことをしている連中はあまりいなかった。
(当時ヴァイキングメタルと呼ばれていたENSLAVEDなんかも、ブラックメタルと大差ないサウンドだったし…。)
個人的には、当時かなり衝撃を受けたアルバムだったし、何よりもノルウェー人脈の密接さと連中の音楽性の幅広さに仰天した。

しかし、すごいメンツでしょ?
まあ、FenrizはソロプロジェクトのISENGARDでもこの方向性を実践していたし、KariもThe 3rd…脱退後のソロ活動ではトラッドっぽいアルバムを制作していた。
Satyrにしても、SATYRICONのセカンド(超名盤!)なんかとこのアルバムとでは、メロディの点でかなりの共通性がある。
要はみんなに共通した音楽的背景を音にしたって訳だな。

ヴァイキングメタル好きは必聴。
メンツもメンツで、歴史的にも重要なアルバムだから、ブラックメタル好きも必携でしょ。
買えるうちに買っておいたら?


余談。
携帯を機種変更しました。
Softbank、意味わからんぞ!
それはともかく、メモリカードも買って、初めて着うたフルというのをやってみました。
すごいねえ、全部入ってるやん。
目覚まし用に、IRON MAIDENの「Aces High(撃墜王の孤独)」、ワーグナーの「ワルキューレの騎行」、エンヤの「Carribean Blue」をダウンロードしました。
こんなところまで分裂しているでしょう???






AMORPHIS「ECLIPSE」

2007-01-15 04:19:37 | CD
AMORPHIS、大好き。
どのアルバムも好き。

とにかく、4th「TOUNELA」以降、メロデスじゃなくなったとか、プログレっぽくなっただとか言われて、人気が落ちた。
ジャンルの(狭い)枠からはみ出ると、とたんに興味をなくすのは日本のリスナーの悪いクセだ。

日本のファンの中では地味な存在となっている4th「TOUNELA」も5th「AM UNIVERSUM」も、個人的には大好きなアルバムだ。
いずれもロックの伝統に根差した深みのある作品であり、メロデスじゃないからと言って敬遠しだした人たちの音楽観は理解できない。

6th「FAR FROM THE SUN」では以前のスタイルに戻ったとも言われたが、それでも再ブレイクというわけにはいかなかった。
勿論、トラッド色の強い良質のメロディが炸裂するこのアルバムも私は大好きだ。
一曲目とかすごいやん。
でも、これもメロデスという狭い概念ではくくれないアルバムだろ?

まあ、AMORPHISは当初からメロデスの枠には収まりきらないバンドだったけどね。
スウェーデンのバンドなんかとは明らかにスタイルを異にしていたし、個性的だった。
2nd「TALES OF THE THOUSAND LAKES」を初めて聴いたときの強烈なインパクトと「なんじゃこりゃ?」という妙な違和感はいまだに記憶に鮮明に残っている。
こういうバンドが出てくるのがフィンランドなんだなあ。

で、昨年出た7th「ECLIPSE」。
ゴシックやテクノの要素も導入し、ややモダンなサウンド作りなれど、前作とのギャップはなく、すばらしい作品。
(テクノの要素は3rdにも散見するし目新しい訳ではない。)
相変わらずメロディもいいし、カッコいいロックアルバムだ。
①②⑦は特にすばらしい!
Voが替わったらしいが、この点でも違和感ないし、よく合っているVoだと思うよ。
今もi Podに入っているけど、こういう何回も聴けるアルバムって、最近ホントにないんだよなあ…。

AMORPHISと言えば、3rd「ELEGY」のときの初来日公演が忘れられない。
やや青臭いパフォーマンスだったものの、充実した楽しいライブだった。
私もまだ20代の半ばだった…いい思い出だ。
再び見ることは可能なのか??


GEHENNA「SEEN THROUGH THE VEILS OF DARKNESS」はすげえ!!

2007-01-12 01:50:20 | CD
先の記事を書いたついでに、GEHENNAの二枚目「SEEN THROUGH THE VEILS OF DARKNESS (THE SECOND SPELL)」をこちらも久々に聴いてみた。
やっぱりすごい。
超名盤。
たとえば、②を聴いてみてよ。
震えますよ、これ。
超名曲。

余談だが、このアルバムはかつてアナログ盤も出ていて、確かそのうちの66枚だったかがジャケットデザインに合わせてレッドビニールだった。
血の色みたいでめっちゃカッコよかった。


GEHENNA「MALICE」~引っ張り出して聴いたらかなり良かったシリーズ①

2007-01-12 01:44:38 | CD
GEHENNAは素晴らしいバンドだった。
結局彼らもデスメタルになってしまったけど(それでも出来は結構良かった)、最初の「THE FIRST SPELL」、そして続く「SEEN THROUGH THE VEILS OF DARKNESS (THE SECOND SPELL」は、個性的かつ充実した名盤であった。
とりわけ「SEEN THROUGH...」の方は、「基本中の基本」でも紹介している通り、必聴盤。
ミドル中心の曲調なれど、荘厳だが派手すぎないオルガン調のキーボードがドラマティックさを演出するブラックメタル。
憂いや泣きの色調を帯びたトラッド/フォーク調のメロディが要所要所で出てくるのもよかった。

その名盤の陰に隠れて(?)、今日棚を見るまでしばらく存在を忘れていたのが、三枚目の「MALICE」。
前作のサウンドを踏襲しながらも、より引き締まった曲作り、そしてよりタイトな音作りになっていて、素直にカッコイイ出来だ。
エッジの効いた明快なギターリフの導入により、よりヘヴィメタル的になっているとも言える。
が、やはりドラマティックなキーボードは活躍し、GEHENNA独自のサウンドになっている。
今回、久々に聴いて、しばらく放置していた自分を恥じました。
i Podに入れてしばらく聴きまくりたいと思います。

さて、キーボードを担当するSarcanaちゃん♀は、このアルバムを最後に脱退してしまう。
(4枚目にもゲスト参加していたが。)
その辺りの事情は寡聞にして知らないが、4枚目からサウンドが変化したことを思うと、初期のGEHENNAサウンドの鍵を握っていたのが、Sarcanaちゃんであったのは間違いないようだ。
今はどうしているのだろう、Sarcanaちゃん…。






BEHEMOTH「AND FORESTS DREAM ETERNALLY」ポーランド必聴盤②

2007-01-10 02:53:03 | CD
すいません、タイトルが入らないので、はしょってますが、「ポーランド産ブラックメタル必聴盤」の第2弾です。

ポーランド産ブラックメタル・バンドで、最もメジャーになったのはBEHEMOTHだろう。
アルバムをコンスタントにリリースし、ツアーも精力的にこなしている。
メンバーの“みてくれ”も垢抜けてきた。

でも、最近の変にデスメタル化したモダンなサウンドは、正直つまんない。
一応、トレイには乗せるが、ほとんど耳に残らない。
プロダクションが良くなっているのはわかるが、だからどうした!?と言いたくなるつまらなさ。
まあ、カッコイイところもあることにはあるんだけれど…。

話はそれるが、
元祖や老舗のブラックメタル・バンドが、フォロワーが溢れ出したとたんに次々とデスメタル化する現象が見られたが、気持ちはわかるものの、正直「やめてくれー」というのが多かった。
実際、その手のやつで、そんなにすごいアルバムはないでしょ?
あれで、シーンが変なデスメタルっぽいブラックと二番煎じのブラックばかりになって、結果としてシーン自体が沈滞していったと思うのだが。

で、BEHEMOTHに戻るが、
昔のアルバム、たとえばファースト・フルアルバム「SVENTEVITH(STORMING NEAR THE BALTIC)」なんて、トラッド/フォーク的な要素のある荒涼感たっぷりのブラックメタルで、めちゃくちゃかっこよかった。
これは「基本中の基本アルバム」であり、DAWN BREAKERとしてもオススメしてきた。

で、もう一つ私が大好きなのは、デビューミニにあたる「...AND FORESTS DREAM ETERNALLY」。
ファーストフルよりも前のリリースで、よりプリミティブ。
勢い、荒涼感(ジャケ通り!)、きちゃなさ加減のバランスが絶妙で、最高だ。
Tribute to BATHORYと記された曲もあるように(カヴァーにはあらず)、スラッシュの要素も感じられる。
とにかく、原初ブラックメタルのプリミティブなサウンドを堪能できるアルバムで(5曲入りでちょっと短いけれど)、ファーストフルともども必聴盤。
私もときどき聴きたくなって、引っ張り出して聴いては、興奮している。
もし聴いていない「ブラックメタル・ファン」がいるならば、最近のアルバムよりも優先的に手に入れるべきものだと言っておく。

オリジナル盤は悪名高きENTROPY PRODUCTIONSから。
METAL MINDから別音源とのカップリングで再発盤が出ている。


余談
先日書いた、PCの不具合はなんとか回復した。
元々は、i Tunesを使っていてCD-R作成ができなくなったのがきっかけ。
そのときに「4280」ないしは「4211」というエラー表示が出たのだ。

最初はi Tunes自体やCDドライブ本体を疑ったが、調べてみると、他のソフトでもCDへの書き込みができなかったので、どうやらDrag'n Dropがおかしくなっていたようだ。
Drag'n Dropを完全削除して、再インストールをしたら治った。
ただし、再インストール後に、「再起動」ではなく、一旦「終了」してから再度起動することがポイント。
「再起動」では、きちんとインストールされないようなのだ。
これに気づかなくって、えらい往生した。

PCは得意じゃないんで、本当に参った…。














GRAVELAND「CARPATHIAN WOLVES」~ポーランド産ブラックメタル必聴盤①

2007-01-06 01:53:05 | CD
最近、ブラックメタルを聴く頻度も減ったが、聴くとき選ぶのはどうしても古いものになりがち。
元祖の人たちの当時の音は、いま聴いてもめちゃくちゃカッコイイし、時に震えるほどのインパクトさえいまだに感じる。

で、最近はポーランドのブラックメタルを引っ張り出してきてはよく聴いている。
なので、しばらくはポーランドのブラックメタルの大好きなアルバムについて語ろうと思う。

まずは、Rob Darken(Vo, Gt, Key)率いるGRAVELANDだ。
間違いなくポーランド産では最重要のバンドである。
T.H.A.の浜崎氏は、元々はデモ音源である「IN THE GLARE OF BURNING CHURCHES」(93年)をベストに挙げ、ことあるごとに言及している。
確かに、聴き手に激烈なインパクトを与える、プリミティブ・ブラックメタルの極みとでもいうべきこのアルバムは、私も大好きである。
が、個人的には、最初のフルアルバムと数えるのであろう「CARPATHIAN WOLVES」(94年)の方を上に置いている。

彼らのサウンドが放つ狂気や暗黒性には凄まじいものがある。
そんなにファストなスタイルではないものの、ノイジーにわめき散らしながらも呪文のように聞こえるヴォーカル、チープなバンドサウンドに乗っかってくる荘厳なキーボード(これが独特の雰囲気を醸し出している)、犬の遠吠えや教会が燃える音なども含まれるあやしくダークなSEなど、真性ブラックメタルとしての体臭は、並ぶものがないほどの強烈さである。
音もチープ、演奏もヘタで、このバンドをonw of themと考えている人も多いだろうが、フォロワーには決して纏うことができない狂気や凄みを感じ取る(ないしは、聴き取る)べきなのである。
で、こうした要素を最も明確に感じられるのが、この「CARPATHIAN WOLVES」アルバムだと、私は考えている次第。

ブラックメタルとして本当に愛してやまないアルバムで、今でもよく聴きます。
冒頭のSEからして彼らの狂気に囚われてしまいます。

御存知の方も多いと思うが、彼らはネオナチと総称される極右勢力の一部である。
90年代初頭の頃、海外からとりよせたファンジンなどでも、よくバッシングされていたのが懐かしい。

このように長いキャリアや、シーンで占めてきたポジションなどの点でも、重要なバンドであることがわかると思う。
しかし、そんなことは別にしても、正しい手順でブラックメタルを聴いてきた人ならば、サウンドの点からだけでも、彼らのエピゴーネンがいかに多いかに気づくはずだ。

数年前にジャケ違いの再発盤が出たので、まだ入手できるのでは?
写真はオリジナル盤。
中のメンバー・フォトにはほんとしびれます。


余談、ふたたび三浪男による妹バラバラ殺人事件。
「東京都渋谷区の歯科医、武藤衛さん(62)方で長女の短大生、亜澄(あずみ)さん(20)の切断遺体が見つかった事件で、亜澄さんの遺体から頭髪と胸部、下腹部が切り取られていたことが分かった。死体損壊容疑で逮捕された次兄の予備校生、勇貴容疑者(21)は胸部などについて『流し台のディスポーザー(生ごみ処理機)で処分した』と供述している。性別などの判別を困難にする工作と取れる半面、激しい恨みを示す行為ともみられ、警視庁捜査1課は理由を追及している。
」(新聞記事より)

うひょ~、病んでるねえ。

ジョン・ハール「恐怖と壮麗」

2007-01-05 00:30:30 | CD
PCのCDドライブがイカれた!
読み込みはできるが、書き込みができない!
バックアップはスティックメモリやDVD-Rを使えばできるからいいけど、i Tunesを使ってのCD作成なんかができない…。
正月早々、マジ参った。
直そうと半日以上あれこれしたためか、体が疲れてガタガタだ…。体調わる…。

今聴いているのは、マイケル・ナイマン・バンドにも所属していたサックス奏者、ジョン・ハールのアルバム(96年作)。
邦題は「恐怖と壮麗」。
すごい邦題…。

このアルバムにはエルヴィス・コステロが参加していて、味のある歌声を聞かせている。
歌詞には、シェイクスピア、ギョーム・ド・マショー(!)、さらにはチューダー朝期の「詠み人知らず」などのテクストを採用している。

元ナイマン・バンドだし、レーベルはargoだし、基本的には現代音楽…と言うと誤解されるかな。
まあ、プログレです。
ジャジーな要素もあるし、音だけでなく、テクストもテクストだからイギリスのダークなドラッドとの繋がりも感じられる。
さらに、その暗黒臭からはヨーロッパのシアトリカルなゴシックを想起させるところもある。
たとえば、DEVIL DOLLとか、LACRIMOSAとか…。
また、誤解を恐れずに言えば、切ないヴォーカル・メロディーに、たゆたうサックスが絡んでくるところなんかは、初期のKING CRIMSONの切ない曲(=ロバート・フィリップの暴力的なギターのないメロウな曲)との近似を感じてしまう。

あ、ちなみに、エレキ・ギターやドラムは使われていなくて、サックスの他にはストリングスやホーン、パーカッションが中心的な役割を果たしている。
が、コーラスやカウンターテナーなども使われていて、劇性を高めている。

なお、コステロではなく、女声Vo(サラ・レオナルド)を擁した⑧「How should I my true love know?」は、トヨタのクラウンのCMにも使われており、耳にしたことがある人も多いはず。
推進力抜群の名曲だが、ピンで聴くより、⑥~⑧の三部作(Voはいずれもサラ・レオナルド)の展開がシブいので、ぜひ聴かれたし。
(昨年に国内廉価盤が限定でリリースされている。)


余談
驚くべきは、東京渋谷・歯科医師のバカ三浪息子による妹バラバラ殺人事件!
うら若い妹をバラバラって、ホラーですね、ホラー。
東野圭吾の「赤い指」もちょっと想起したけど。
ニュース記事に
「事件発覚を逃れるため、(武藤)勇貴容疑者は(父親の)武藤さんに『友達からもらった観賞用のサメが死んだ。部屋に置いてあるが、においがしても開けないで』と言っていたという」
ってあるけど、サメって…。
アホとしか言いようがない発言やなあ。
こんなアホ丸出しなヤツが歯大に受かるわけなかろうよ。




モンセラート・フィゲーラス「女声の光/LUX FEMINE (900-1600)」

2007-01-02 04:38:42 | CD
今夜見るのが初夢なら、今夜聴いた音楽が「初聴き」か?

ジョルディ・サヴァールのカミサンであり、エスペリオンXXIにも参加している、モンセラート・フィゲーラスの最新アルバム。
ダンナや娘も参加している。

フィゲーラスは、シビラの歌やセファルディの歌といった、中世・ルネサンスにおける地中海世界の歌をライフワークとしている。
で、当盤は女性というテーマで700年にわたる様々な作品を歌ったもの。
フィゲーラスの美しく、しかも深みのある声で、地中海世界独特のメロディが切々と歌い上げられる。
バックの演奏も悠久の時間の流れを感じさせるもので、フィゲーラスの歌にさらなる情感を加えている。
アルバムの最初と終わりが同じ曲という構成もうまい。

古楽のアルバムとしては、ディープな世界を扱っている割にはとっつきやすいものだと思うし、フィゲーラスのアルバムは基本的に残響が強く、ヒーリング的な要素も強いので、幅広い人たちが楽しめるものだと思う。
古楽初心者にもオススメ。
また、DAWN BREAKER的な観点からだと、THE 3rd and the Mortal、THEATRE OF TRAGEDY、WITHIN TEMPTATION、ELENDといった女声Voを擁するゴシックメタル・バンドのファンにもオススメだ。

さて、ジャンルの枠が崩壊している私なれど、特に愛してやまないのが古楽。
古楽演奏が発散する独特の空気感とフィジカルさ加減―これが私にとって古楽を聴く最大の魅力である。
と同時に、そうした要素は、プログレ、トラッド/フォーク、ゴシック…といった現代の音楽とも共通するものであり、はるかな時間を超えて脈々と受け継がれているとも言える。

よって、古楽アンサンブルを生で聴くと、あたかもロックバンドのライヴを見ているような錯覚を覚えることすらある。
そして、その音楽が、今日のあらゆるジャンルの音楽の要素を含んでいるようにも感じられる。
先日、日本が誇る「古楽器バンド」タブラトゥーラの実演に接したが、ハードロック、プログレ、トラッド、サイケ、ジャズ…といったありとあらゆる音楽の要素を放ちまくる、すさまじい「ライヴ」であった。
(おまけに、MCも下手な芸人よりはるかにおもろい。)
これだから古楽はやめられない、とさらに追求したくなった次第。
でも、歴史が長い分、深みにはまると絶対に浮かび上がらないので注意しなければ…。


ケーゲルの第九ライブ

2007-01-01 00:07:30 | CD
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い申し上げます。

昨夜の話ではありますが…
年末の気分がまったくないので、無理矢理に感じようとベートーヴェンの第九を聴く。
先日リリースされた、ヘルベルト・ケーゲル指揮ライプツィヒ放送響によるライヴ盤。

HMVサイトの記事やCDの解説で評論家の許光俊氏が言っているように、極めてユニークな演奏である。
一般的な第九像とは大きく異なる解釈があちこちに出てくる。
あまりに違うので、巷に流れている、または演奏されている第九というのは何なのだろうか?とまで思ってしまう。

そういう点でとにかく刺激的ではある。
しかし私には、それ以上に、とても感動的な演奏に聞こえる。
単なるお祭り騒ぎではなく、もっと真摯な感動を感じることのできる演奏。
大晦日の夜に聴いていて、刺激に震えると同時に、何度も胸打たれた。
(ライヴゆえのキズも散見するが、その点を非難する人は、音楽を聴く資格がない。首を縊って死んだ方がよい。)

「このような演奏に出会うことがクラシック音楽を聴き続ける理由でなくて何であろう」
という許氏の言葉には大変シンパシーを感じる。

だが、勿論、すばらしい音楽との出会いの追求ということは、クラシック音楽に限られることではない。
とりわけ、メディアの影響や巷での評価といったものから解放されたオープンな感性で、能動的に音楽を聴く姿勢というものが極めて大切だと思う。
(まあ、ケーゲルの復権自体は、評論家やメディアの力によるものだけれど。)
そうする中ですばらしい音楽に出会うことこそ、あらゆる音楽を聴く醍醐味であろう。
ましてや、それがすばらしいのに埋もれている音楽ならば、そのよろこびは何倍にも膨れることだろう。

そんなわけで、今年もいい音楽に、探し求め続けている音楽に出会えることを祈っている。
宝クジがかすりもしなかったので、その軍資金を稼ぐべく、今年も頑張って働くことにしよう。


平成19年(2667年) 元旦