DAWN BREAKER weblog~from Dusk till Dawnbreak~

ジャンル不問の音楽にまつわる独白集。
いわば「音楽百物語」。

「犬神家の一族」2006年版

2006-12-23 02:25:23 | movie
話題の「犬神家の一族」リメイク版を見た。

この新版だが、76年オリジナル版の支持者を中心に、比較的辛口の意見が多いようだ。
「なるほど」と言わんとしていることがわかる意見も多い一方、「そこまで非難する必要はあるか?」と突っ込みたくなる盲目的な意見も目立つ。
ネットとは、誰もが何でも勝手なことを言える、便利な世界だなあといまさらながら思った次第。

個人的には、135分間、尿意に耐えながらも、またストーリーを完全に知っているにもかかわらず、飽きることなく楽しめたのだから、それはエンターテイメントとして十分に評価されるべきことだと思うけれど。
やたら豪華な出演陣も素直にすごいしね。
まあ、新版の公開を機に76年版のコレクターズエディションと銘打ったDVDも発売されたことだから、どちらとも楽しめばいいんじゃないでしょうか。
(えっ、もう品切れ?マジで??買っておいてよかった…。)

そもそも、76年版を見ていない人も今やたくさんいるんだしね。
だって、金田一耕助シリーズの原作は「金田一少年の事件簿」だと思っているような若者がいる時代だよ!
新版を機に金田一耕助が復権するのは(って、テレビドラマや映画は断続的に作られているけれども)、慶賀すべきことでしょう。

ちなみに、新版を見ていて、いろいろニヤニヤしてしまうところがあった。
一番ウケたのは、佐武が殺されて狂乱する竹子に突き飛ばされた小夜子が、転がって襖にぶつかり、その襖がボコっと小夜子の上に倒れるシーン。
(このシーンは予告編に収められているので、公式サイトなどで御覧あれ。)
あんな演出よく思いつくなあと、91歳の監督のキレ具合に感動。
まあ、変な演出は旧作にも散見したし、新版が作られたこの現代では、そうした点がかなり奇妙に映るのかもしれない。
でも、そんなところも含めて楽しむべきものなんじゃあないのかなあと思うわけです。

そうそう、上記の小夜子を演ずる奥菜恵の開き直りもグーだが、私は深田恭子の「はる」もかわいかったと思う。
彼女は女王姿よりも女中姿がよく似合う、と思う。


最後に余談かも知れないが…
新版を見ていて、画像がきれいすぎるのも、雰囲気が減ずることになるのだなあとあらためて思った。
そういう点で、新版に妖しさが欠けているという評価も首肯できる。
録音のきれいすぎるブラックメタルが退屈なのも、これと同じ理屈なのかも知れませんな。