サブプライムローンでバブルが崩壊した今、非常にいまさら感がありますが、
グリーンスパンの
「波乱の時代」を読みました。
上下巻になっていて、上巻は、グリーンスパンの伝記になっており、
グリーンスパンが意外に普通な人であったことがわかり面白いです。
下巻は、グリーンスパンの過去の政策の裏側を通して、
グリーンスパンの経済の考え方を教えてくれます。
グリーンスパンが、リバタリアンであることがよーくわかりました。
マクロ経済は勉強したことがないので非常に面白かったです。
・経済成長に必要な資本を蓄積する努力が行われるのは、
蓄積した資本を所有できるときである。
→なるほど、特許や、CO2排出権は、無から所有権を生み出した。
つまりBSの資産を作ったことになるので、それを元手に、経済活動ができ、
経済が発展するのでしょう。
・評判とそれがもたらす信頼は、市場資本主義の必要な要因の核心である。
法律は市場の活動のごく一部を規定しているに過ぎない。
信頼の文化が失われた国では取引を行う能力が眼に見えて低下する。
金融市場では、取引相手が信頼できるとかぎらないとによる不確実性の為に
信用リスクが高くなり、実質金利が高くなる。
・天然資源が豊富だと「オランダ病」をかかえて経済が低迷する危険がある。
オランダ病とは1970年代にエコノミスト誌が使った言葉であり、
天然ガスが発見された後、オランダの製造業が陥った苦境を表現したもの。
資源の輸出が好調になり、その国の通貨が高くなるためである。
香港、日本、西ヨーロッパなど天然資源が豊富でない地域が反映している一方
ナイジェリアなどの産油国では経済が低迷しているのはこのため。
天然資源で簡単に富が得られると、生産性が伸びにくくなる。
・資本主義の問題は、資本主義の特徴付ける力学=冷徹な市場競争の力学が
安定や確実性を求める人間の欲求と衝突することである。
残念なことだが、経済成長は永続する満足感や幸福を生み出すことはできない。
・成長によって所得が増えれば幸福度も上がるが、それは一時的であり、
それを越えると幸福度は相対的なものになり、長期的には経済成長と
無関係になる。人は幸福かどうかは、絶対的な物質的豊かさではなく、
対等と思われる周囲の人や同僚とくらべてどうかということに左右される。
個人の財やサービスの購入は、隣人に負けないように見栄を張るという感じ
に結びついている。
・ポピュリズムが目立つのは、中南米のような所得格差が極端に大きい経済である。
大衆の欲求を満たすため、不正をただし、土地を収用し再配分すると約束し、
万人に土地と住宅と食料をいきわたらせると約束する。
しかしそれが実際に実現した事例はひとつもない。
ブラジル、アルゼンチン、チリ、ペルーを見ればわかる。
土地を再配分する場合、往々にして土地を管理する準備ができておらず、
食料品生産は大幅に落ち込み、大規模な輸入が必要になる。
その結果、課税所得が大幅に落ち込むため、紙幣の増発がおき、
ハイパーインフレが起き、経済が破綻するのである。
波乱の時代(上巻)
波乱の時代(下巻)