書籍「
パイロットが空から学んだ一番大切なこと」を読みました。
旅行や出張で飛行機のお世話になる人だけでなく、
プロジェクトの仕事に関わる全ての人にお薦め出来る良本でした。
この本は、パイロットに求められる物と、ビジネスパーソンに求められる物は一緒である。
それは、「プロジェクトマネージメント」と「プロフェッショナル」です。
だから、パイロットが空から学んだ事が参考になるはず
というひと味違った視点の本です。
<プロジェクトマネージメント>
「飛行機を飛ばす」と言うことは、一つのプロジェクトです。
飛行機、距離、空港、ダイヤ、天候、乗客数、燃料などの様々な制約条件の中で、
乗客を予定通り安全に目的地に運ぶという目的のために
パイロットだけではなく、飛行機メーカー、整備士、ディスパッチャー、管制官、乗務員たちが
一人のプロフェッショナルとして取り組むプロジェクトと言えます。
そして、
機長はプロジェクトをマネージメントする責任と権限を持つのです。
<責任と権限>
例えば、安全を考えると出来るだけ多くの燃料を積みたいところですが、
実は、燃料を多く積み過ぎると、着陸の際、止るための滑走路の距離が余分に必要になってしまうのです。
だから、様々な制約条件を考え、多すぎず、少なすぎず搭載する必要があります。
機長は、燃料の量だけでなく、刻々と変化する天候などの制約条件に合わせ
柔軟に飛行ルートや飛び方、着陸方法を変えることが出来るのです。
これは、責任を果たすために、それだけの権限が与えられているということなのです。
<プロフェッショナル>
パイロットは、乗客の命を預かるという重大性から、
機長と副機長は、完全に別々の材料、別のコック、調理器具も別々で
食べる時間も別にして、食中毒によって、フライトに支障を来すリスクを減らしています。
此処まで徹底的に安全管理を行っているのです。
<マニュアル>
外国のマニュアルで感心するのは、
・マニュアルを作る前に管理規定をしっかりと決めていること。
・誰が読んでも1つの意味にしか取れないように書いてあること。
である。
いい仕事をするために、人は下記の2つの考え方に分けることが出来ます。
・マニュアルを絶対に守る派
・マニュアルは破るべき。(いい仕事をするために)
どちらも一長一短がありますが、海外では、マニュアルは基本的には絶対に守るが、
緊急事態にマニュアルを逸脱すること認めています。その代わり逸脱する基準が決まっているのです
<事前準備の大切さ>
パイロットとして長い間飛んできてつくづく思うのは
飛行機の操縦席に座ったときは仕事の9割終わっていなければならないのです。
そのために必要なのは近未来の予想能力と最悪の事態を想定してそれに対する対処を行う能力です。
重要なのは経験による勘です。これは山勘ではなく、年々もいろいろなことを勉強し経験してきたからこそ起こるカンなのです。
この力を身につけるには、マニュアルや教科書に書いていないことを日々勉強しなくてはならないのです。
この本を読むと、パイロットが伊達に年収が高いのではなく、真のプロフェッショナルであることが分かります。
飛行機に乗るとき、いつも以上に感謝できるようになるでしょう。