ISOWA(磯輪英之社長)は8月1・2日、本社工場で
フレキソグルア「ファルコン」とひと回り大きなケースに
威力を発揮する「アストロン」の公開運転を行った。両機
は納入実績を重ねるごとに使う側の声を反映させ、改良を
加えている新鋭機。この8月に出荷するが、ゲージロール
横移動やダムレスハイパーフレックスで精度、メンテナンス面
はより進化した。
また当日は2種類の段ロールを持つSF「ツインフェーサ」、
工場で実施した遮熱工事なども紹介した。参加者はのべ130余名。
“進化するFFG”と定評のあるファルコン。納入するたびに改良
を加え性能を高めている。導入先からは「正直キッカー方式では
300枚対応が限界であると考えていた。ファルコンは350枚でも
安定的に給紙が行え、振動も少ない。この給紙装置を見た時、
ISOWAの技術力は高いと感じた」との声も寄せられている。
セットアップ短縮への取り組みでは前オーダーが稼動中でも給紙部
は次オーダーのセットアップを始めるなど、連続通紙運転から機械停止し、
次オーダーの位置決め開始までの時間を短縮した。
各ユニットの位置決め速度も、サーボモーターとボールネジの組み合わ
せにより上下の刃物を噛み合わせることなく高速で行う。スロッター部の
最小シート位置より最大シート位置までの移動時間は、わずか30秒だ。
ファルコンを使用する6社のデータを見ても、3工場で3分を切り、
平均速度も300枚、しかも100を超えるオーダーをこなしている。
今回公開したマシンはメンテナンス面も考慮した。従来のインクダム方式では、
生産終了後にインクダムの清掃を行う必要があったため、インクロール両端部に
インク受け皿を設け、そこからインクを強制回収する「ダムレス」方式に変えた。
これにより週1回程度の清掃で済み、オペレーターの負担は軽減した。
またインク回収システム「ハイパーフレックス」には多くの採用先から
「インク使用量が旧機に比べて3割以上削減できた。インク優先の工程で生産すれば、
インク使用量は半減できるかもしれない」との評価が聞かれる。
ジョイント精度の向上については、もっとも基本的なシートの直進性を徹底した。
その検証方法として、各ユニット間にセンサーを設けてシートが機械の中をどのよう
に通過しているのか、シートの挙動を一目で追跡できるようにして検証する。
検証をもとに、印刷部のシート搬送に採用しているサクショントランスファー機構
のサクションボックス内の圧力を正確に把握し、給紙部のタッチパネル上でその圧力
をコントロールできるよう改良した。
フォールディング部では、ベルト接合部の強度を上げ、接合部でベルトが切れるなど
のトラブルを防ぐ目的で、エンドレス接着タイプを採用。シートの挙動を安定させるため、
サクションファンを追加し、下シートガイドもより強固にした。
更にジョイントギャップを矯正するゲージロールも改善。今までは幅決めの調整が
手動式だったが、電動化することで任意の位置に調整可能となり、ティーチング機能を
付けることで折り曲げの安定性も向上した。
適正な罫入れも、ジョイント精度向上の重要なポイントになるが、同社では各軸を
センター部にて軸受けで保持する方式を採用している。これにより、罫線を強く入れる
際にシートとの抵抗で発生する軸の振動によるタワミを防止、強い罫線を入れることが
できる。
なお、ファルコンの出荷台数は17台に達した。
(板紙・段ボール新聞 8月17日)