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砂蜥蜴と空鴉

ひきこもり はじめました

♯177 教えて神父さん

2006年11月07日 | ログ
ハロウ、ゲドー警部の「教えて神父さん!!」のコーナーです。

今日のおたよりは神奈川県アラスカ市にお住まいのラジオネーム

「核武装に関する議論はしちゃダメな自由の国」さんからの頂きました。

長すぎ。次のおたよりは略してくれると嬉しいなぁ。舌噛むから。マジで。

えーと、続きを読むよ。

ゲドー警部、こんにちわ。

突然な相談ですが僕は今、迷っています。

端的に言えば人と金、どちらを選ぶかという問題です。

僕は大学生活の傍ら、副業としてパートの殺し屋をやっているのですが

今回ターゲットになったのは僕が高校時代から聞いている

ラジオ番組のDJなのです。

当たり前の話ですが、僕がその人を殺したらもうラジオは聞けなくなってしまいます。

しかし報酬も魅力的で、放送中に殺せば2億円出すと依頼人さんは言っています。

世知辛い世の中、お金はとても大切です。

しかしラジオ番組も僕という日常を構成するかけがえのないものに思えます。

どうしたらいいでしょう、教えて下さい。

おーう。きたね。ようやく、コーナーに相応しい相談が。

先週の「三日以内に事件を解決しないと死ぬ探偵は一週間続く連続殺人事件を解決できるか」

とか、明らかに神父への相談じゃないよね。クイズ板いけっー話ですよ。

俺、今も答えが気になって眠れないからね。

さてさて、人か金か。昔からのある問題ですが実は簡単解決です。

お金か人で迷ったら、必ず人を選びましょう。これが正解です。

お金はなくなったら包丁持って銀行に行けばちゃんと無利子で貸してくれるからね。

だけど人はそーはいかない。

この前、鈴木さんに会いたくなって包丁持って「鈴木さんを出せ!!」

ってやったんだけどダメでした。田中はいたけどね。久しぶりの再会でした。

そーゆー訳で、2億円は諦めて、ラジオ番組を聞き続けましょう。

君の楽しい日常の一部が2億と引き換えに続くんなら安いものだよ。

さーて、ここでCMをはさまずに残念なお知らせです。

何と、5年間続いたこの番組は今日で最終回です。

いやー、プロデューサーの娘さんに手を出しちゃいまして。

何かクビだって。ひでーよなぁ。

まぁ、もしかしたら残り30分の放送時間内で奇跡が起きて

クビ取り消しになるかもしんねーし、リスナー諸君は期待と祈りをこめて

これからの30分間、最後までお付き合い下さい。

ゲドー警部の「教えて神父さん!!」

このコーナーは不特定多数の誰かの提供でお送りしましたー。



♯166 ぎゃーすぎゃーす

2006年11月05日 | ログ

就職活動を全くしていません(挨拶)

まだ大丈夫なのかもうダメな時期なのか、それすら分からず。

まだ周囲の友人はやってねーぽいんだけどにゃー。

猫語尾ってあるけど蜥蜴語尾ってねーですよね。

ぎゃーすとか?

まずいでぎゃーす。

自分が社長なら20歳でぎゃーすとか言ってるヤツは雇いたくないですね。

ぎゃーすぎゃーす。

砂蜥蜴と空鴉は語尾と敗北主義者に寛容な会社を応援しています。


♯165 血を吸わない吸血鬼

2006年11月03日 | ログ

例えば人を傷つけるのが嫌いな吸血鬼がいたとして

彼は誰の血も吸わずに死んだとして

人々は彼を褒め称えとして

それでも僕は彼を蔑もう

彼の生涯は血を吸わぬ吸血鬼であり

その生き様は飛ばない鳥であり

その生き様は牧草を食まぬ羊であり

その生き様は牙を誇らぬ狼であり

その生涯は人に迎合した惨めなものであったから。





♯164 あ、いいえがお

2006年10月31日 | ログ



朝が来て、目が醒めて。
いつものように朝食は抜いて
いつものように歯も磨かずに出かけることにする。
身だしなみは社会人として最低限のマナーだけど
この仕事は依頼人もこっちの姿形を気にしない人が多い。
ルーズな僕にとってはありがたい。

ポストを開くと水道、ガス、携帯電話。
各種督促状がオールスターで来日していた。
極東の島国の事なんて忘れて全米ツアーに行ってほしい。

隣に住んでるOLさんと鉢合わせ。
にっこりスマイル。
仕事柄、他人にとって最後の笑顔になる事が多い僕。
常日頃からいい顔で笑えるように訓練は怠らない。
ま、歯は磨いてないけどね。

月曜日は燃えるゴミの日で僕が一番殺す日だ。
統計的に見て月曜日は自殺者が多い。
寂しくないようにと、心ばかりのサービスだ。
ジャンプの発売日でもある。富樫先生の復活はまだかなぁ。

午前中は依頼人の所を回る。
本当に殺していいのか、その最終確認だ。
5人に1人はこの時に依頼をキャンセルする。
いいことだ。少子高齢化の時代だもの。
わざわざ殺さなくても、人は勝手に減っていく。

しかしながら今日の依頼人さんは僕と違う意見の持ち主らしく
気持ち変わらず、殺して下さいとのこと。
笑顔で契約書を取り交わす。消費税込みで20万円也。
青子は安すぎるというけれど僕はこの辺りが適正な価格だと思う。
人の死に、何千万なんて価値はないものだ。
米国大統領とかなら別だけど。
新米の僕が有名人を殺す日は遠い。業界にも序列ってものがあるのだ。

ゴルゴ13と違って僕が相手をするのは一般層。
中流階級、働くお父さんお母さんの心強い味方だ。
格差社会なんて言葉が流行って下流社会とか言っているけど
どう考えたって嘘だ。
たかが殺人の代行に20万も出せるのだ。
金と未来がない人間は、自分で殺すに決まっている。
そういう意味で日本の未来は明るい。
まだまだ余力に満ち溢れている。

まずは仕事道具を揃える。
スポーツ用品店に入って一番安い金属バットを購入。
凶器の指定がある場合は大抵、怨恨。それも復讐関係だ。
資料を確認して納得。
依頼人の娘さんは今日殺す相手にレイプされながら
何度もバットで殴打されたらしい。
僕は女の人を抱いたことがないけれど
多分バットで殴りながらSEXしても楽しくないだろうなと思う。
サイコか。あるいは彼もまた復讐者だったのか。
どっちでもいい話だ。
事実も真相も関係なく。
僕は20万円と引き換えにバットで彼を殴り殺すだけ。

殺すのは夜にした。
今時の若者は夜行性で、昼間は寝ている。
寝ている時、人はモノだ。
依頼は器物損壊じゃなくて殺人。
だから僕は寝ている人は殺さない。
一度殺してみたけど退屈だった。
死んだように眠るなんて表現があるけど
寝込みを襲うと眠るように死ぬ。
悲鳴や命乞いは好きじゃないけど
何の反応もないまま仕事を終わらせると
まるで自分が悪いことをしたような不安感に襲われる。
やはり殺しは起きてる時に限る。

割と知られてない話だけど人を殺すのは簡単だ。
先手を取れば七割方決まる。
事実、さして運動が得意でもない僕は
この基本的な原則を守って76人殺してきた。
思えばこれで77人目。
スリーセブンには一桁足りないが、今日はいい日になるだろう。
その前祝いという訳か、標的は街へと繰り出した。
若者は死に場所を求めるように、都会の闇へと紛れていく。
殺すのは簡単だが、見つからず殺すのは少し手間がかかる。
だがこの幸運で手間が省けた。
夜の街には危険が一杯。どこもかしこも死角だらけだ。
青子の調べによると彼の趣味は路地裏で女の人を襲うことらしい。
殺害場所には困るまい。

予想通り、彼は路地裏へと身を潜める。
追いかけようとして携帯が鳴る。スカイメール。
「帰りに牛乳買ってきて」
「分かった」
返信完了。先に牛乳を買ってから追いかける事にする。
返り血がつくとコンビニに入りづらい。

路地裏の奥。彼は白い息を吐きながら獲物を待っていた。
爛々とした眼が僕を睨む。男を襲う趣味はないらしい。
僕も男の人に抱かれたいとは思わない。
足早に通り過ぎる。うつむき加減。半開きのスポーツバック。バット。
三秒後に振り向き、首筋を狙う。
ガキン。ヒット。タイガースは来年勝てるだろうか。
倒れる彼。そういえば名前を忘れた。
まぁ、後は殴るだけだし、思い出す必要はないだろう。
ガキン。ガキン。バキン。バキン。
五月蝿いので口を狙う。ヒット。アベレージヒッター。
余計五月蝿くなった。
背中を何度も叩く。苦しそうだ。まるで楽しくない。
彼は何が楽しかったのだろうか。
彼を犯せば楽しくなるのだろうか。
少しだけ考えて諦める。血まみれの同性に欲情する手段を僕は知らない。
楽しくないので楽しくする。
打撃にリズムをつける。悲鳴に合わせて強弱をつける。
人間打楽器による音ゲー。多分流行らない。
お金を出してまで演奏したい音色じゃない。
だが感触はいい。ゆっくりと弱っていく。
僕は暴力は嫌いだ。好きなのは殺しだけ。
だから抵抗力を奪う作業から生命を奪う作業に移行する、この時間は好きだ。
悲鳴は小さく、涙は止めどなく。しかし本質は変わらず。運命もまたしかり。
殴るのを止める。慈悲に目覚めた訳ではない。
単純に疲れたのだ。暴力は力を消費する。
呼吸を作る。その間、彼は必死に許しを請う。
恐怖で聞き取り辛くなっているが大よそこういう事らしい。
俺が悪かった。悪かったことを認める。だから殺すな。
「ごめんなさい、好きなのです」
本当にごめんなさい。人を殺すのが好きなのです。
だから僕は殺します。
その為に眠いのに朝起きて、面倒なのに依頼人と話して
低価格を武器に獲物を探して、ようやくここまで追い詰めて。
これで殺さなかったら、まるで殴り損じゃないですか。
だから殺します。人を殺すのが好きなのです。
そういう意味をこめて放った言葉に彼は理解不能と言う趣旨の表情。
あぁ、馬鹿なんですね。ゆとり教育。
僕も受けてきましたが、あれは酷いものですね。
何しろ道徳の時間より英語の時間が多い。
あと500時間ぐらい道徳について学べたなら
僕も別の生きかたを選べただろうになぁ。
気がつけば彼は気絶していた。
うわぁ・・・またやってしまった。
殺す瞬間、僕は色々なことを考える。
何かを終わらせる瞬間に行う思考は、他のそれより尊く感じるから。
そうする間に彼ら彼女らは気絶する。
悪い夢から逃げ出すように、夢の世界へと走り出す。
寝ている時、人はモノだ。
依頼は器物損壊じゃなくて殺人。
だから僕は寝ている人は殺さない。


めがさめる。
こえが、きこえる。
「ぎゅーにゅー、かってきた?」
「うん」
「また、しっぱいしたの」
「ごめんなさい」
「ち、きらい」
「うん、ごめん」
「ちゃんと、ころさなきゃだめでしょ」
「ねてるひとはころせないよ」
「ひとなんて、さいしょからものよ」
「ちがうよ、ものはこわしてもたのしくない」
「あんた、また、はみがきしなかったでしょ」
「めんどくさい」
「きす、したげない」
「ごめんなさい」
「いらいにんにでんわした?」
「あとでする。まだしんでないし」
「わすれちゃだめよ」
「うん」
「めがさめたみたいよ」
「ほんと?」
「うん。いま、はんしゃてきにめをつぶった」
「まだ、いきよーとしてるんだね」
「みにくいわね」
「そーだね」
「はやくおわらせて、はー、みがいて、きすしよ」
「うん」
ばっと。が。ばっと。がががが。
「このたびはごりよーいただきありがとーございます」
こわい。
「たぶん、らいせでもあなたはあくにんだとおもいます」
こわいよ、まま。
「あくにんはころされます」
たすけてよ、ぱぱ。
「ぼくはころすのがすきなのです」
だれでもいいから。
「だから、らいせでもぼくのちかくでわるいことをしてぼくにころされてください」
たすけて。
「にんげんだがっき、ちょっとおもしろかったです」
おねがいだから。
「つかれたけど」
ばっとが。が。こわいばっとが。たすけて。
「それじゃ、さようなら。にこり」
あ、いいえがお。
ぐしゃり。

♯163 確実に関係ない

2006年10月30日 | ログ

祖母が買ったはいいけど足を悪くして乗らなくなって

それを勝手に使い始めた妹がバイト先で盗まれて

駅前で放置されたのを発見された自転車の引き取りを

なぜか自分がしてきました。

買っても、乗っても、盗んでもねーよ。


♯159 我らは尊き火の為に

2006年10月20日 | ログ
「人類の、生まれた意味を知ってるかい」

夏の夜、ある書生氏から聞いた言葉である。

誰も知らぬ答えであろう。

しかし彼は彼の答えを持っていた。

「花火だよ。人間というヤツは、夏の夜空に華咲かせる為に、生まれたんだなぁ」

そんな馬鹿な。

私の一声は本音であったが、しかし不思議な説得力を持っていた。

何しろ世界の始りをビックバンなる大火で彩った者の作りし木偶だ。

獣どもが恐れる炎の知恵は二足歩行の賜物と考えるより

炎を括れ、花火を咲かせと急かす者のお節介と見た方が、楽しいし、美しい。

話を聞いたその足で私は線香花火を買い求め庭先で小さく咲かせてみた。

花弁は脆く半刻と持たずに散った。

我らの生まれた意味は何とも頼りなくしかし少しばかり綺麗なものであった。

これからというもの友人の出産祝いは必ず花火を贈ることにした。

彼らの道に幸あるように。我らの尊き火を贈る。

夏の夜、書生氏の謡いし戯言は、友人諸氏には好評である。

♯158 読書の羅列

2006年10月19日 | ログ

淡々と読んだり読んだものを

「ニートの心理学」
社会が悪いという結論は正しいけど何も解決しないなーって感想。
映画「秋のソナタ」の寓意解釈の部分だけ印象的でした。

「経営戦略を問い直す」
教養程度に流し読み。戦略に普遍性を求めない考え方には同意。

「死ぬのが怖くなくなる薬」
井上ひさしのエッセイ。当たり。昔の女はいい女。軽快。

「図解クトゥルフ神話」
神話は楽しい。これは定説です。創作神話の為に北欧系に比べると少ないレア。

「貧乏は正しい」
本当にヤングサンデーに載っていたのだろうか。
読み始めだが割と面白い。軽妙に難解。

「長嶋茂雄の本(タイトル忘れた)」
野球の話は楽しい。

「白い服の男」
星新一にしては珍しく全篇通して社会に対する皮肉が強い。表題策は毒強く好み。


そろそろ就職活動とかいう都市伝説体験をする必要があるらしいのですが
趣味「読書」というのは無趣味の人が最も書く「趣味」の一つだそーな。
埋没するなー。没個性戦艦。自分を評価するのって酷く病的。
まー、そもそも卒業できるようにしないとね。危うい。

♯157 不謹慎戦争

2006年10月13日 | ログ
「今日も世界では誰かが死んでいる。そんな日に祝い喜び楽しく生活するのは不謹慎ではないか」

いつの世にもある意見だが今回は少しばかり様子が違った。

個人の意見ではなく世界という大きな意思の下に不謹慎の排除が始まった。

何しろ不幸を消すことは出来ないのだ。

ならば続く不謹慎を取り締まるより他にない。

あらゆる祝日と祭は消滅した。

世界の誰もが幸せならば無論、これらの行事は許されたが

そんな日が人類史上、果たして一度でもあっただろうか。

国連主導で不謹慎撲滅のスローガンが世界を廻り

あらゆる幸せを取り締まった。

世界では多くの人々が苦しんでいるのだ。

その現実を直視せず幸せになるとはけしからん、という訳だ。

当然のことだが社会から活力は失われた。

当初、後進国民は先進国民の幸せが取り締まられ

自分達と同じように苦しむ姿に喜んだが

その喜びもまた取り締まりの対象だと知り絶望した。

誰もが沼を這いずるように生きた。

やがて自殺まがいの核戦争が勃発した。

これは人類滅亡の序曲となることは世界中の誰もが知っていたが

この戦争は誰も幸せにしないことは明白であった為に

不謹慎撲滅委員会はこの戦争を承認した。


♯154 積木バベル

2006年10月09日 | ログ

積木の塔は天まで届いた。

そこに神はいなかった。

石版の走り書き。

「探さないで下さい」

僕らはただちに捜索を開始した。

ご褒美を頂く為に。ご褒美を頂く為に。

♯153 いつか差別は殺される

2006年10月07日 | ログ

図書館で一冊の本を見つけた。

割と古めのその本を開くと表現の一部に「くろんぼ」とある。

記憶によれば殺された言葉。

再販増刷される事はない単語。

米軍基地の料理長をしていた祖父は当然のように彼らをくろんぼと呼ぶ。

蔑称でも尊称でも愛称でもなく。

ただくろいから、彼らをくろんぼと呼ぶ。

この星は順調に差別を殺していく。

いつか旅人がこの星を訪れた時

そこに差別の痕跡を見つけられるだろうか。

私はそっと本を戻した。

願わくば、世界の終わりまで残りますように。