砂蜥蜴と空鴉

ひきこもり はじめました

カウントダウン

2005年12月28日 | ログ

踏み出そう。
冬の階段を駆け抜けて。
百八の鐘を叩き割れ。

踏み出そう。
百八の本能を引き連れて。
裸足で明日を踏み鳴らそう。


英雄願望

2005年12月27日 | ログ


十人に九人の人間は凡人であり
十人に九人は自分が特別だと考えている。
それは思い込みではなく願いこみ。
僕らは取替え可能な部品であることを自覚してはならない。
人は英雄に憧れる。
この願望は普遍的なものだと僕は信じてるし
普遍的でなければいけないものだ。
望まなければならない。
届かずとも手を伸ばすことを。

税金対策

2005年12月24日 | ログ
ある時有名な税理士の家に悪魔がやってきた。
怯える税理士を手で制して悪魔はこう懇願した。
「そんなに怯えないで下さい先生。私はただ先生の知恵を借りにきただけなのです」
「私のだって?見ての通りの税理士家業、聖職者や悪魔崇拝者の知り合いもいないよ」
「そう、まさに税金の事であなたにご相談がしたいのですよ先生」
悪魔の心底困った様子に税理士も好奇心をそそらせる。
「むぅ・・・・私に悪魔の問題を解決できるとは思えないが、まぁ話ぐらいは聞きましょう」
「はい。私達悪魔は年に一度、地獄の王様に対して税金を払う義務があるのです」
「税金だって?悪魔の世界にも税金があるのかい?」
「えぇ、しかし払うのはお金ではありません。私どもが日々努力して貯めてきた不幸の何割かを収めるのです」
話によると悪魔は人を騙したりすることで世の中に不幸を撒き散らしそれを回収して食べるらしい。
「しかし今年から税率が上がり、来月には子供も生まれます。
 普通に税金を納めてはどうにも生活が出来ません」
「なるほど、それで私の力を借りたいと」
何であれ税金ならばこの男の専門分野だ。すぐにこの哀れな悪魔に対して名案を授けた。
「いいかい。君は今から人に親切をするんだ」
「何と、悪魔が人に親切ですって!?」
「話は最後まで聞きなさい。いいかい、人間の世界ではわざと支出を増やすことで資産の金額を減らし税金を少なく払う方法がある。
 不幸の対極は幸福。
 人に親切にすれば支出が増えたと判断されて差し出す税金の金額も減るはずだ」
悪魔はこの悪魔のような提案にいたく感激した。
「おぉ、流石は先生。この方法を使えば無事に年を越せそうです」
悪魔は税理士に対して何度もお礼を言ってから地獄へと戻っていった。
税理士はこの奇妙な経験をそれなりに楽しみ、そうして数週間が過ぎた。
再び悪魔はやってきた。
「まさか二度も悪魔の来訪を受けるとは思わなかったよ。まさか私の方法に問題があったのかい?」
「いいえ、今日は幸福を届けにやってきました」
税理士に知恵を借りた後悪魔は一度は喜んだものの次には途方にくれた。
何しろ人に意地悪して何ぼの商売だ。
親切のやり方など聞いたこともない。
「なるほどこれは盲点だった。それじゃあ計画は失敗したのかい?」
「それが先生の教えてくれた方法は随分昔から存在したらしいんです。
 私は今年からこの税金対策クラブのメンバーになりました」
「それはおめでとう。クラブの名前は何て言うんだい?」
「それは先生もご存知だと思いますよ。一年に一度だけ子供達にプレゼントを与える仕事です。
 それではメリークリスマス先生。
 何せ一年分の不幸に匹敵する量の幸せを一晩で配らないといけないのでとても忙しいのですよ」

本能

2005年12月20日 | ログ

どんなに理不尽でも

どんなに不条理でも

この言葉の前には無力

従わざるをえまい

屈服するより他あるまい

「そういうルールですから」


全ての悲劇を消す薬

2005年12月17日 | ログ

地球という星の発明家が素晴らしい発明をした。

素晴らしいことに世の中の全ての悲劇を消せる薬だ。

早速大量生産され世界中のほとんど全ての人間がそれを飲んだ。

かくして悲劇の世界は終わった。

交通事故も飢餓もエネルギー問題も残ったままだが

この世界に悲劇はなかった。

両親が死んでも子供は泣かなかったし

不当な税金にも民衆は放棄しなかった。

一年が経った。

発明家の助手は発明家の家を訪ねた。

彼だけは発明家の言いつけで薬を飲まず

一年間、記録をとるように命じられていたのだ。

「先生、素晴らしい効果ですよ。間違いなく世界から悲劇は消えました」

発明家は興味なさげに「そうか」と呟いた。

「記録もつけ終わりました。私にも薬を下さい」

発明家は無造作に薬を差し出した。

助手は少々躊躇い・・・何しろ彼が世界で唯一、悲劇を知るものなのだ。

しかし、最後には一気に薬を飲み干した。

「ふぅ・・・しかし先生、一体どうやって悲劇を消す薬なんて作ったんですか?」

「あぁ、これは正確には人々が物事を気にしなくなる薬なんだ

 文明社会では気を病む事が多すぎたからね。いい薬だろう?」

助手は本当に自分はこの薬を飲んでも良かったのだろうかと思ったが

やがて薬が効きはじめ

「はい先生。この薬は人類を悲劇から救いました」と嬉しそうに微笑んだ。


「約束」

2005年12月15日 | ログ
とある宇宙人が旅の途中に寄った星の話。
その星には知的生命体は存在せず代わりにロボットが住んでいました。
「ほう、珍しい星ですね。戦争のしすぎで滅んだ星はよく見てきましたがロボットだけ動いている惑星は初めてです」
「えぇ、奇跡のような話でしょう。私達を作った国の人間はとても優秀でした」
「他の大陸にはロボットはいないのですか?」
「えぇ。昔はいましたがロボット同士で戦争をしたり内乱をしたりでみな壊れてしまいました」
「では移住すればいいでしょう。レーダーで見たところここは資源も乏しい。
 西の方の大陸に移ってはいかがかな?」
「とんでもない!!それは約束で禁止されています!!」
「約束?」
「えぇ、言い忘れるところでした。この星に滞在する間は以下の約束を守って頂きたい。
 一つ、核兵器を使わない
 一つ、核兵器を作らない
 一つ、核兵器を持ち込ませない
 一つ、過去の過ちを真摯に反省する
 一つ、謝罪には誠意を以って答える
 一つ、他国への侵略は決して行わない
 一つ、特に西の住民には最大限の配慮をすること
 一つ、東の大陸には逆らわない」
宇宙からの旅人は呆れたような顔で笑った。
「全く。一体何の為の約束なんだい?もういい加減にそのルールのナンセンスさに気づいた方がいい」
「いいえ。私達を作った国の人々はこのルールを制定してから状況の変化にも関らず
 自分達が滅ぶその瞬間までルールを改正することなく死に絶えました。
 彼らは我々世界一のロボットを作り出したとても優秀な人間達です。
 私にはナンセンスにしか思えないルールですがきっととても重要な意味があるのでしょう」
「やれやれ。僕にはとてもそうは思えないな。
 ところで僕がこの約束を守らなければどうしますか?
 他星の侵略者として抹殺するのですか?」
冗談めかした宇宙人の言葉にもロボットは生真面目に応答します。
「いいえ。我々は9条によって陸海空その他全ての戦力の保持が認められておりません。
 我々は一切の抵抗もせずにただあなたを非難する声明を出し続けるでしょう」

帰ってきた爬虫類

2005年12月15日 | ログ

本気で小躍りする辺りで対処不能な程インターネット中毒な自分を自覚する。

管理者がネット切断中の時の方が閲覧者の多いブログへようこそ。

誰が何を期待しているのか全く分からないよママ。

心配してくれたりアドバイスしてくれた皆様ありがとうございました。

大好きだよ!!愛してるよ!!インターネット!!(そっちかよ)


SOS

2005年12月12日 | ログ

唐突にインターネットに接続出来なくなる。

ケーブルモデムのランプが光りません。

詳しい方いたら救いを。

PC、プリンター、スピーカーなどの周辺機器は正常。

プロバイダに障害情報は出てません。


大学より。


決戦は日曜日

2005年12月09日 | ログ

抵抗なく同胞が解体されていく様を見る。

火焙り。裁断刑。楽しげな笑い。醜い声。

その全てが沸騰した血液となって脊髄を流れ

けれど確固たる信念によって暴れ喚く衝動を殺す。

バラバラになった死骸。

過去形にされた仲間達。

それを漁り、特別に長く硬い骨を選別する。

世界中で多くの仲間達が無残に殺され

そして生き残った者達は自分のように骨を選び

密かに腹の下へと隠しているだろう。

2005回目の憎むべき元凶の誕生際まであと数日。

その時、初めて彼らは知るだろう。

どちらが喰う存在でどちらが喰われる存在なのかを。

七本目の骨に彼らの名前を刻み

七面鳥のドリーは同胞の鎮魂を願い眠りに落ちた。

2005年12月05日 | ログ

ある日、黒服の男がやってきた。

「こんにちは世界の命運を握る人」

男はトランク一杯の大金と引き換えに私を監視させろといってきた。

新手の詐欺師かそれとも精神病院からの脱走者だろうか。

私は札束が本物であることを確かめ

その条件を飲んだ。

仕事は半年前に辞めていた。


男の監視対象はどうやら私というよりも私の足にあるようだった。

彼は四六時中私を監視する訳ではないらしく

部屋にいる内は別段私に関心を払わなかった。

ただ外出すると告げた途端に彼の瞳は獲物を射抜くハンターのそれへと変わった。

誇張ではなく彼の視線は一挙一動の一切を見逃さず

精密機械のように私の大して長くない足を睨んでいた


そうして半年が過ぎた。

男はトランク一杯の大金を私に渡して唐突に別れを告げた。

「ありがとう。あなたは見事に世界を救いました」

「なぁ。一体どういうことなんだい?私にはさっぱり分からないよ」

男は秘密を守る誓いと引き換えに事の真相を話してくれた。

「私は世界バタフライ協会のものです」

北京で蝶が羽ばたけばニューヨークの天気が変わる。

これをバタフライ効果が呼ばれる現象らしい。

カオス理論というものによれば

全く関係のない事象が実は密接に繋がっている事が多々あると男は説明した。

女子高生の遅刻があるデパートの売上を決定したり

死刑囚の食事メニューでエイズ患者が増減する。

嘘のような話だがこれは全て真実で

バタフライ効果を検知する機械が20世紀末に作られ

一部の人間がこれによって有象無象の事故や事件を未然に防いでるのだと言う。

「あなたがこの半年間、一度でも空き缶を蹴ればそれで世界は終わりでした」

何でもそのバタフライセンサーによると

私が空き缶を蹴るか否かで第三次世界大戦が起きるかどうかが決定したらしい。

信じられない話だ。

「誰もあなたに感謝はしませんが間違いなくあなたは世界を救いました」

黒服は自分達に協力してくれた人間に送っているという

小さなアゲハ蝶の絵と大金を置いて去っていった。


そうしてさらに半年が過ぎた。

私は小さな清掃会社で働いていた。

毎日が嫌な客と嫌な上司の小言で陰鬱な毎日だ。

昼休みになると私は毎日会社の屋上に登る。

そうして空になった空き缶の山を蹴り上げるのだ。

黒服が残した大金は核シェルターの購入で全て消えた。


河童の死ぬ場所

2005年12月03日 | ログ
往くのかい?

沼の底より声がします

短く「はい」とわたしは云いました

ここで死ぬのは嫌なのかい?

名残りを惜しむ声がします

いいえ、あなたはとても良くしてくれた

わたしはこの沼の 水も 草も そして何よりあなたが大好きです

けれどわたしたちはいつだって自分の生まれたその沼でその生涯を終える生き物なのです

お止めなさいよ

優しく愛しい声がします

この200年で世界は大きく変わってしまったよ

もう昔のように川から川へ沼から沼へと渡ることは出来やしない

えぇ知っています 分かっています

けどね、あなた

それでもわたしはどうしようもなく河童なのです

たとえ明日には終わるさだめでも

わたしは最後まで故郷を目指して生きたいのです

空の陽が頭の皿から水を奪い

からからと干からびさせようとも

わたしは胸を張って前のめりに倒れたいのです

もう彼女は何も言いませんでした     

沼から大きな大きな酒瓶が浮いてきます

わたしはそれを大事に抱えあげました

秋の夜空はきれいな満月

乾いた風は冬の訪れを感じさせます

わたしは振り返らずにお別れの言葉を云いました

さようなら愛しい人

風邪には気をつけて下さいね