赤門記者のメタボな日々

笑いの街・大阪で、笑えることも笑えないことも追いかける因果な商売。明日は笑っていたいなあ…。

芸術と実業

2008-06-16 22:56:43 | Weblog
 もう1週間ほど前の話で恐縮ですが、
新聞詠み河内音頭家元・河内家菊水丸師匠の、
毎年恒例となる「盆踊りツアー出陣式」の会見が吉本興業で行われました。

 菊水丸師匠は吉本興業所属ですが、
芸の特殊性が故か、
同社で唯一「直営業」が可能な芸人さんだとか…。
この盆踊りは、いわば師匠の本業であり、直営業のエリア。
今回は、師匠が大阪芸術大学の客員教授をされていることから、
教え子たちに会見および出陣式をプロデュースしてもらうという企画でした。

 この会見では、司会進行を学生が務め、
出陣式用のポスターやチラシも、作品と制作者が公開されました。
さすが芸大生、カラフルでインパクトのある作品ばかり。
芸術を解さないことには絶対の自信を持つ私の目にも、鮮やかに映りました。

 ただ、1つだけ気になったのは、
芸術性を求める余りか、本題の説明が少し見難いものが多かったこと。
写真を生かすこと、デザインの面白さを浮き立たせることは大事ですが、
ポスターの絶対条件として「何の宣伝かを知らしめる」ことがあるはず。
両立するのは難しいでしょうが、そこを外してしまうとどうかな…と感じました。

 これは、我々の業界でも同じこと。
記事や写真をレイアウトして紙面化する「整理部」という部署がありますが、
ここでも写真と見出しのバランスがやはり問われます。
ちなみに私は3年在籍していましたが、
まったく戦力にならないほどの腕前でした。
そんな私がポスターをどうこう言うのもおこがましいんですけどね。

 会見中にそんなことを考えていると、
菊水丸師匠が総評として

 「皆さん実に真面目に、自力で全部作りはりました。僕は、他人の助けを借りてもいいと言ったんです」

とおっしゃいました。
どういうことかというと

 「芸能のプロデューサーをやりたいという人も多いようなので…。この業界のプロデューサーというのは、いかに上手に“丸投げ”をするか、というところがありますから。丸投げの仕方も見てみたかったんですね」

とのこと。
なるほど…。さすがに吉本きっての事情通と言われる菊水丸師匠。
確かに、プロデューサーというのはそういうものかもしれません。
実際、プロデューサーという立場でポスターを作るならば、
宣伝部分が軽んじられることはまずないはず。
芸術家と実業家、ポスター1つとってもその差はくっきり出るようです。

最新の画像もっと見る