肛門周囲膿瘍による激痛や高熱を何とかクリアーし、最後に訪れた便が出にくくなるという危機を大腸摘出手術で突破しよう、手術は怖いけれど、手術が終われば、全て治癒され解決し快方に向かうということだけを信じて、手術に臨みました。
ところが、手術後にやってきたのはこれまで体験したことのない耐えられない腹部の激痛と息苦しさでした。しかし、この激痛も時間がたてば必ず落ち着くという医師や看護師の言葉を信じて、耐え、痛みが峠を越えたとき、長い苦難全体もようやく峠を越えたはずと思いました。
しかし、まだもう一つ、最後の難関がありました。それは腸閉塞(イレウス)というものでした。腸閉塞にもいろいろ種類や程度があって、腸内の通流が完全に途絶えてしまう場合は、直ちに生命の危険が生じ、開腹手術が必要になるようです。私の場合は、そこまで重症ではありませんでしたが、とにかく、手術後、残された小腸の動きが悪く、いや動きが悪いというよりほとんど動いていないのです。もともと大腸のひどい炎症の影響で、小腸の動きが弱っており、これに手術によるショックや麻酔の影響等が重なって、小腸の動きが弱まっていたのではないかと思われます。
術後、2日間くらいは痛みに全神経が集中しましたが、痛みが軽くなるにしがたい、胃か腸か、腹部が鈍く重く感じるようになりました。また、寝返りも、手術直後は全身の痛みや衰弱でほとんど自力ではできないのですが、私の場合、それ以上に、腹の中に、こぶし大以上の石が2、3個入っているような感じがして、仰向けから横向きに体位を変えると、石がごろんと大きく動く感じがしてそれが苦しいのです。あとで思うと、これは腸に相当量の液が貯留していたためではないかと思います。
手術後、2、3日後には吐き気が始まり、胃よりさらに奥と思われるところから、相当な量、目分量で1リットルくらいの液を吐きました。その後も小腸の動きがないため、イレウス管という直径5ミリくらいの結構太いビニール様の管を鼻の穴から、食道、胃、小腸と入れていき、閉塞しているところを開いたり、管を通して液を排出したりするものです。管を入れる際は鼻の穴もこすれて痛いし、特に胃から小腸への入り口が見つかりにくく何回も出し入れして痛く苦しいのです。また、これを入れた後、2,3日間入れたままの状態が続きましたが、日増しに、鼻の穴が擦れて、涙が出るくらいいたいのです。しゃべると口とともに鼻やのどが動いて、管が鼻を擦るので、最後には、もうしゃべるのをやめて用件をメモ帳に書いて、それで用件を伝えるしかないと考えその準備をしていたところ、イレウス管からの廃液が増えて、状況が良くなったためようやくイレウス管を抜くことができました。
ようやくこれで、管によって鼻を擦られなくてすむようになり、また小腸の液の貯留も少なくなって苦しさも軽減し、本当に峠を越えたのでした。 (次号に続く)
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