たった1曲のスーパーヒットを残し、その後チャートで活躍する事なく消えていったワンヒット・ワンダー(一発屋)と言うと、その曲が印象的であるほど宴の後…的な淋しさが募ります。例をあげると失礼ですが、60年のマーク・ダイニングの「ティーン・エンジェル」とか。
ジーン・チャンドラーが歌い、1962年の2月17日付で3週連続№1となった「恋のスーパー伯爵(DUKE of EARL)」も、特大ヒットがゆえにそれに近い印象ですが、彼は70年にも12位となる「グルーヴィー・シチュエーション」がヒットするので、一発屋は失礼ですが。
彼はデューケイズというグループのリード・シンガーとして活躍し、その時この曲を吹き込んだものの、所属のレコード会社がこの曲を気に入らず、ならばと変名で別の会社で発売した所が大ヒットという話だそうで、最初の会社は地団太を踏んだ事でしょう。
その時に曲名のデューク(伯爵)に合わせ、袖無しマント、山高帽、片眼鏡というギミックで売り出したそうです。何か売れないレスラーが派手なマスクマンに変身したら売れ出した … みたいな話ですが。
曲自体は特に黒っぽいわけでは無く、ホワイト・ドゥー・ワップを思わせるマイルド系で、貴族を気取り世界を周ろう、そして愛する君は伯爵夫人さ…みたいな陽気な歌詞が、ポップ・チャートでの人気につながったのではでは?と思うのですが。
ともかく、Duke duke duke of Earl…とバックコーラスがせり上げ、気持ち良さげにリードが歌い上げるスタイルは、ゴスペル・カルテットを思わせる感じもあり、好きでした。
日本ではさほど人気のヒット曲でも無い気がしますが、アメリカではかなりの人気のようで、パーレッツという黒人女性グループ(下左)が「Dutchess of Earl(伯爵夫人)」と言うアンサー・ソングを出していました。
これがまたマーベレッツを思わせる歌声がとても良く、アンサー・ソングと言うと、ややおちゃらけを感じさせる物が多い中、これはオリジナルに遜色ない1枚では無いかと思っている…とは、ちょっと褒め過ぎかな?
またカバ-も多いみたいです。私はザ・ナイロンズ(中央)とシャ・ナ・ナ(右)を持っていて、どちらも好きなグループで買ったら、この曲が入っていて嬉しい買い物でした。
ザ・ナイロンズの盤はデビュー・アルバムに入っていて、この曲だけがライブ録音ですが、それは彼らのコンサートのエンディングを、この曲で締め括っていたところから来ているそうです。
楽しいロックン・ロール・ショーでお馴染みのシャ・ナ・ナのこのアルバムは、3曲目のこの曲から、ローラに好きだと言ってくれ~ブルー・ムーンと続き、オール・ディズ大好きな私には堪えられない時間。そして目立ち屋のバリトン Joe Witkin はいつもいい仕事。
今日は冒頭に書いたように、ジーン・チャンドラーの歌が初のビルボード№1に輝いた日なので、旧teacupブログの「恋のスーパー伯爵」を再掲載しました。