普段は歌謡曲を聞かない私が言うのもピント外れ?とは思いますが、古い洋物ポップスの中には、なんとなく、歌謡曲をイメージさせる曲もありました。
リックとランスの「さいはての慕情」(1962年)は、日本だけのヒットのようですが、短調の寂しげなハーモニカのイントロからしてセンチメンタル歌謡曲。 克美しげるほかのカバー盤がヒットしたのも納得。というか良くこれがアメリカで発売されていたな?と。
R&Bの世界では、ジ・エキサイターズの「テル・ヒム」(1963年)も、短調の歌謡ポップス的で良かったし、サビで長調に転調するとこも好きでした。両方とも短調のメロディが、歌謡曲ぽっく感じさせてくれるのでしょう。
Doo-Wopグループのヴァーノン・グリーンとザ・ファントムズの「スィート・ブリーズ」となると、短調のメロディにハナから泣きの入った歌声が飛び出し、まるで藤本卓也の世界。
私が思う所の情念"炎"歌の世界そのままで、今は、こんなスタイルのR&Bは無いはず。 R&Bやブルーズはアメリカの演歌に例えられますが、60年代初頭は、こうしたスタイルも受入れられる下地があったのか?と、ちょっとビックリ。
この曲は英国ace編集、スペシャルティのコンピ盤で知ったのですが、本来このグループは、ドゥートーン・レーベル(フリートウッズが在籍)で、ヴァーノン・グリーン&ザ・メダリオンズとして活動していたグループのようです。
そのあたりを深追いしようとすると、泥沼から脱出できなくなるので止めておきますが、「ハードコア・ドゥー・ワップ」というタイトルが付いたこのCD、確かにスィートな味わいのフラミンゴスや、ファイブ・サテンズあたりと比べるとずいぶんと違います。
もう一曲の「オールド・ウィロー・ツリー」も、イントロは純正(?)ドゥー・ワップかと思うと、すぐ泣きの入る歌だし、ザ・チャイムズというグループの、「プリティ・リトル・ガール」という曲もコブシが廻っています。
あまたのグループがヒットを夢みて、よりキャッチ―なメロディを、より個性的な歌声で爪痕をと、グループもレーベル・オーナーも頑張った。でも局果たせなかった№1ヒット。こうしたコンピ物CDには、そんなB級グループの夢のかけらを感じるのです。
副題にある"街の街灯の下で"と言うのは、ストリート・コーナー・シンフォニーの原点。
夢とエコーを求めて集まり、コーラスの練習に明け暮れた日々。そんな体験はしていないにも関わらず、ケニー・ヴァンスの名曲「ルッキング・アン・エコー」を思い出すと、 なぜかその情景が浮かび、つい遠い眼になってしまうのです。
以上【聞きたい365日】第397話でした。