daddy-kのいきあたりばったりⅡ

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黒バラは夜ひらく~モンド的な昭和歌謡曲

2022-08-31 | 音楽つれづれ

※二年前のブログですが、音をUPしたご案内など一部追記しました。

何かのついでに街ブラをすると、つい、足が向くのが中古レコード店で、ずっと探してるレコードもあるにはあるのですが、血眼になって探さずとも縁があればどこかで出会うさ…とばかり焦らずやっていて、今日も目的の棚を確認した後は廉価コーナー漁り。

バラエティに富んでいる分だけ、時々面白いものに出くわす楽しみがありまして。

このブルー・マグノリアというグループ、初めて聞いた名ですが、ジャケットの女性陣の雰囲気と、取り上げている歌謡ヒットとの違和感に、ちょっと興味がそそられました。

以前も見かけ、その時はスルーしたのですが、この日まだ売れず残っているのを見かけ、ちょうど半額セールの日だったし、これも何かの縁(?)と思わず手が…。

ジャケットからは、きっと学校の鑑賞教室などで音楽活動をするグループが、健全な唱歌など歌った後のアンコールとして、清らかなハーモニで流行り歌を披露する…そんなイメージの怖いもの見たさ、もとい、聞きたさで買ってみたのですが。

A面最初の「夢は夜ひらく」から、まさに、予想していた通りの音が流れて来たので、思わず笑っちゃいましたが、コーラスはしっかりしていて、たぶん皆さん正式な声楽を学んだ方たちではないかと思います。情報が全く無いので想像ですが。

歌唱も所々に歌謡曲的フレーズも交じるのですが、全体通して端正なおしとやか系なので、宮川泰の「逢いたくて逢いたくて」や、浜口庫之助の「バラが咲いた」など、ポップスの香りがする作曲家との相性が良いようです。

編曲/指揮は五十嵐謙二とあり、おそらくはこの人が育てたグループなのでしょう。

調べてみると坂本スミ子の「たそがれの御堂筋」や、西郷輝彦の「僕だけの君」などの編曲のほか、社交ダンス用音楽の編曲や、ジャズのビック・バンドのスコアを出しているようで、こちらが本業なのかも知れません。

そう思って聞くと、全体のムードが社交ダンスに向いたアレンジのような…社交ダンスも、その音楽も知らない私が言うのはナンですが。

 

解説で、「コーラスとオーケストラが溶け合う新鮮で夢幻的なムード・コーラスは…」とあり、新しい市場を切り開くべく、送り出した自負がうかがえます。でもこれ、誰に売るのかが見えにくいですよね。ムード歌謡とは違う世界だし、正統派コーラスの愛好者が買うとも思えないし、プロモーションが難しかったろうな…と、大きなお世話ですが。

レコード番号からすると、ビクターがフィリップス・レーベルで発売した最初のLPなのでしょうか?解説には「日本のメロディの魅力を世界に紹介するために、東南アジア諸国等の世界のフィリップス社から同時に発売される」とあり、当初はかなりプッシュされ、期待されていたのでしょう。1965年か66年の事のようです。

このグループ、ネットでの情報も、音源の投稿も見当たらないので、きっと、メーカーの意気込みは不発だったのでしょね? でも、幻の名盤解放同盟のキャッチコピーではないですが「すべての音盤はターンテーブル上で平等に再生表現される権利を持つ」と言う訳で、私の手元に来たのも何かの縁と思いながら聞いています。

何よりこの声楽のコーラスでは無い、歌謡曲ともつかないレイジーで”いなたい”感じは、モンド・ミュージックというか、ラウンジ・ミュージック的にBGMで流していると、少しばかりクセになりそうで…

おまけですが、今日で8月も終わり。豊平川にかかる雲もすっかり秋の気配です。

■ 以上、聞きたい365日 第320話でした。

 

【2024/07/19追記】

ようやくレコードのデジタル化環境が整ったので、二曲選んでYouTubeにUPしました。女性中心のおしとやかなコーラスに、あえてミスマッチ感のある演歌っぽい曲をチョイスしてみましたが、一曲目は「骨まで愛して」。

これは城卓矢1966年のミリオンセラー曲。詩を書いたのは「月光仮面」の川内康範、曲は実兄の北原じゅんが変名で書いたそうです。この兄弟コンビ、城卓矢が前の菊池正夫の名で歌ったJ.カントリーの名曲「ふるさとは宗谷の果てに」が好きでした。

もう一曲は「恍惚のブルース」で、こちらも詩は偶然ですが川内康範、曲は浜口庫之助で歌は青江三奈。ビクターが"グループサウンズ"殺しとして放った"ためいき路線"のヒット曲。

私が田舎の高校生だった頃の話ですねぇ……