週刊なんとか

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マクドナルドについて

2016-02-16 17:10:36 | ビジネス

マクドナルドは将来危ないと思っていた。そのことについて、いっぺん書いておかなければ、と思っていたのだが、書かないうちに本当に危なくなってしまった。
というわけで、後追いになってしまうのだが、マクドナルド論だ。

マクドナルドの失敗は、100円マックに遡る。100円マックは2005年に始まっている。
なぜこれが失敗かというと、商品を適正価格で売ることを放棄しているからだ。一部の商品を安く売り、一部の商品を高く売ると、消費者は安い商品だけを買うようになり、高い商品を買わなくなる。しかも店の値付に対して不信感を抱くようになるんだ。安い商品ばかり買ってるのに。
こういう乱暴な安売りをすると、一時的には売上が上がって利益が上がるが、その後は売上が上がっても収益が下がる、という構造になる。消費者は安い商品だけを買うようになるからだ。しかも100円マックはマズい商品が多いので、顧客の満足度も下がる。

さて、マクドナルド、これではまずいと、高級路線に切り替える。なんだかんだと微妙に(100円マック以外を)値上げして、客単価をあげる作戦に出る。セットのポテトやドリンクがいつの間にかSじゃなくてMになったのもこの頃じゃないだろうか。
この頃が一般的にはマクドナルドのピークだったが、僕が本当にマクドナルドはやばいと思ったのはこの頃だ。なぜかというと、商売の実態と消費者の感覚がずれていたからだ。「マクドナルドは外食の中では安い」という刷り込みがあるから来ているが、実際は安くない。以前の「マズイけど安い」というイメージが強烈に残っているので、安いと思って来ている。こういうのは、徐々にバレるに決まっている。

マクドナルドの戦略が危険なのは、過去のイメージを利用して利益を上げているからだ。「旨い」という過去のイメージを利用して、既に不味くなっているハンバーガーを売ったり、「安い」という過去のイメージを利用して、高いセットを買わせたりしているからだ。
マクドナルドの戦略は儲け主義の象徴みたいなものだった。「儲けよう」と思えば、当たり前のことをやっていては儲からない。ユーザーに実際の価値以上のお金を払わせるから、儲かるんだ。詐欺みたいなもんだが。
問題は、ゆっくりと時間をかけて、自分のブランドという信用を切り売りしているということだ。最後にメッキが剥がれ落ちた時には、そこに残っているのはマイナスイメージだけだ。マクドナルド=不味くて高い。という。そうなったら、もう詐欺的な戦略は取れない。

今何をやってもマクドナルドは上手くいっていないようだが、そりゃあそうだ。ユーザーの意識に刷り込まれているのは、マクドナルド=詐欺だからだ。この期に及んで新しいバーガーに変なネーミングをしたり、ネーミングを募集したりと、変なマーケティングをしているが、痛いよなぁ。こういう冗談的なマーケティングは、本業が上手く行っている会社がやることだ。
じゃあどうするのか。どうもこうもない。ブランド価値を売り切ってしまったのだから、本業を真面目にやり直すしかないんだよ。すべての商品の価格を適正な値付けにして、商品を旨くする。ハンバーガーがマズいと自他ともに認めるハンバーガー屋なんてあるのか。コーヒーがマズいコーヒーチェーン、ラーメンがマズいラーメン屋みたいなものだ。ありえない(実際にはあるけど)。

なんだかんだと言ってマクドナルドには長年来のファンが多いので、真面目にやればブランドはすぐに回復するはずだ。ただ、日本マクドナルドはアメリカの戦略下にあるので、アメリカの本社がそれを許すかどうか、という問題もあるのだが。ダメなのは日本マクドナルドじゃなくて、マクドナルドだからな。