私の音楽 & オーディオ遍歴

お気に入りアーティストや出会った音楽、使用しているオーディオ機器を紹介します(本棚8)。

「アート・オブ・ヴァイオリン」

2009年08月27日 | クラシック
出演:二十世紀に活躍したヴァイオリンの名手多数、製作:ブリューノ・モンサンジョン.

~Amazonの解説より~
20世紀の偉大なヴァイオリニストたちを集めたブリュノ・モンサンジョンによる『アート・オブ・ヴァイオリン』は完全無欠のドキュメンタリーだ。丹念に収集した(20名以上もの傑出したソリストたちを取りあげている)映像素材には、かけがえのない価値がある。素材はその大半がまさか存在するとは誰も夢にも思わなかった演奏の記録と、インタビューやコメンタリーを交えたものだ。しかし、モンサンジョンはこのプロジェクトを過去の遺物の記録に終わらせず、イツァーク・パールマン、ヒラリー・ハーンといった現代のヴァイオリニストの演奏も収録している。(Roger Thomas, Amazon.co.uk)

色彩豊かな演奏で有名な現役ヴァイオリニスト、イツァーク・パールマン他(イヴァン・ギトリス、ヒラリー・ハーン)を語り部として二十世紀に活躍したヴァイオリニストの歴史をひも解く内容です.その昔、LPレコードでしか知らなかった名演奏家の素顔が同業者であるヴァイオリニストから語られる内容は非常に興味深く、目から鱗が落ちる思いでした.今までの自分のイメージと異なる演奏家も少なからず存在しました.

■ ミッシャ・エルマン
 19世紀というか、古き良き時代の薫りがします.彼のクライスラーのCDを聴いてみたい.
■ ヤッシャ・ハイフェッツ
 その演奏技巧が全世界に衝撃をもたらし、皆が白旗を揚げた名手.彼の演奏はエネルギーの塊が疾走するようだと語られていました.
■ ヨーゼフ・シゲティ
 ヴァイオリン界の貴公子と謳われ、現在もそのモダンさが色あせない.彼の演奏は無骨で素っ気ないと評されていることが多かったのに、意外・・・.
■ ジノ・フランチェスカッティ
 地中海的陽気さを感じさせる人.ズバリ、イタリア的です.
■ ナタン・ミルシテイン
 完璧主義で練習の虫.バッハの無伴奏ヴァイオリン組曲を聴き比べた中で、私は彼の美しい音色の演奏が一番好きでした.
■ ヘンリック・シェリング
 上手だけど個性が今ひとつ.「器用貧乏」のように評されていて、これも意外でした.彼の無伴奏も私のお気に入りです.
■ ダビット・オイストラフ
 信念に基づく音をひたすら刻み込む求道者.脇目も振らずにほっぺの肉をブルンブルン揺らしながら弾く姿は厳格な教師を思わせます.

■ ユーディ・メニューイン
 主役はなんといってもこの人!

このDVDは「一つの時代が終わった」とメニューインの葬儀シーンから始まり、彼のバッハ演奏で終わります.
名実共に二十世紀ヴァイオリニストの象徴であり、演奏家達からも尊敬されていた人物.
イヴァン・ギトリスは「ハイフェッツは神の申し子だった.メニューインはもっと神に近い存在・・・舞い降りた天使だ.」とコメントしています.
何と言いますか、彼の演奏はテクニックとか音色とかを超越した天国的な世界を感じさせ、人間の奥底に潜む「美しい音への希求」という本能を目覚めさせるような気がします.

最後の演奏を聴いていると涙があふれてきて止まりませんでした.
ブラヴォー!


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