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私の音楽 & オーディオ遍歴

お気に入りアーティストや出会った音楽、使用しているオーディオ機器を紹介します(本棚8)。

ブルガリアン・ヴォイス

2011年11月17日 | ヴォーカル
 NHK-BSの人気番組(?)「Amazing Voice 驚異の歌声」で先日放映された「ブルガリアン・ヴォイス」。

 昔から民俗音楽に惹かれていた私にとって、感慨深い内容でした。
 ブルガリアの女声合唱の基礎を築いたのは作曲家フィリップ・クーテフ
 彼は各地に残る民謡を採集し、クラシック風に編曲して民族遺産を残すことに尽力した人物です。

 ああ、彼の名前を耳にしたのは30年振りくらいでしょうか。

 30年前の私(高校3年生)は受験勉強もそこそこに、深夜になると海外短波放送を聞くことに熱中していました。当時BCL(Broad Casting Listener)と呼ばれていた趣味です。
 世界各国から私の四畳半の部屋に飛んでくる電波が異国の雰囲気を運んでくれました。
 言葉はわかりませんが、音楽はわかります。
 その土地の気候が、空気が伝わってくるのです。
 目の前の小さなラジオから聞こえてくるバラエティに富んだ音楽が私の高校生活のBGMでした。友達から変人扱いされましたけど(苦笑)。

 そんな折、NHK-FMの土曜日朝6時から小泉文夫さんのナビゲーションで民俗音楽を紹介する番組があることを知り、エアーチェックを重ねました。
 そして、ブルガリアの女声合唱の存在を知ったのです。

 それまではヨーロッパの音楽=クラシックと思い込んでいた私。
 ベルカント唱法ではない、地声で歌うコーラスは新鮮でした。
 女達の労働歌がベースとなった素朴な旋律。
 通奏低音とメロディラインが交錯する微妙な不協和音。

 その後何年か経過し「ブルガリアン・ヴォイス」がブレークすることになります。
 今はもう、ブームは過ぎ去ってしまいましたね。

 さて、番組ではブルガリアの民俗音楽に特化した音楽学校の様子や、実際に歌う場面をふんだんに見せてくれました。
 ブルガリアン・ヴォイスができあがるまで、という感じ。

 30年前は遠い国の音楽でしたが、こんなに身近に見聞きし感じることができるなんて、よい時代になったものです。

「Amazing Voices」 by NHK-BS

2011年07月07日 | ヴォーカル
 NHK-BSの番組です(以下は紹介文);

『地球上に「魂を揺さぶる」驚異の歌声が満ちている。
その国、その土地では、多くの人々の心を酔わせる歌声であっても、
メジャー音楽産業に取り上げられていないゆえ、日本にまで届いていない、驚異の歌声。
そんな歌声にジャンルを問わず耳を傾けながら、「人はなぜ歌うのか」
「歌はなぜ心を揺さぶるのか」を感じ取る、新しい音楽・紀行バラエティ。』

 ようやくこんな番組が作られるようになりました。感無量ですね。
 日本に入ってくる音楽は欧米のものが中心ですが、当然世界にはいろんな音楽があり、土着色の濃い歌声があります。

 私は昔から世界のマイナーな音楽を聴くのが好きでした。
 これは多分、BCL(BroadCasting Listener、世界の短波放送を聞く趣味)の影響と思われます。まだ海外の情報が乏しかった中学生の頃(35年前)、短波放送は遠い異国の言葉と音楽を乗せて日本の片隅の私の部屋に届いたのでした。
 言葉はわかりません。でも音楽はわかります。
 その土地の音は気候・風土をイメージさせてくれました。
 砂漠地帯では乾いた空気に響く音、熱帯地方では暑くて湿度の高い音、北欧では澄んだ透明な音・・・等々。
 民族音楽を研究されていた小泉文夫さん(故人:元東京芸術大学教授)が担当した民族音楽の紹介番組(NHK-FMの毎週土曜日朝6時から)をエアーチェックしていた頃が懐かしい。
 そんな私を友人達は「変人」と呼びました(苦笑)。

 さて、本番組では「歌声」に焦点を当てて、今まで日本に紹介されてこなかった、でも注目に値するアーティストを幅広く取り上げています。
 司会は藤井フミヤと元ちとせ。
 台湾の少数民族のおじさん達のコーラスから、フランスの今をときめくポップ・シンガーまで実に多彩。

 そして毎週視聴者による「人気ランキング」を扱っているのも特徴です。今のところ、フランスのシンガーで「エディット・ピアフの再来」と呼ばれるZAZ(ザーズ)が一番人気ですね。
 ZAZはハスキーながら張りのある独特の声の持ち主で、なんというか・・・パリの下町にこだまするイメージがピッタリなのです。楽曲の新しい感覚と郷愁を帯びる声の虜になってしまいそう。

 それから、ポルトガルのファドを歌うドゥルス・ポンテスも取り上げられました。
 私が彼女を知ったのは10年ほど前でしょうか、故・筑紫哲也さんが彼のニュース番組の中で紹介されたので、早速飛びついた記憶があります。思ったよりポップな仕上がりでちょっと期待はずれでした。
 今は「ファド界の至宝」と紹介されていますが・・・ちょっと持ち上げ過ぎじゃないかなあ。
 ファドというのはリスボンの下町で歌われる哀愁のある民謡で、ドゥルスの登場以前はアマリア・ロドリゲスが第一人者として君臨していました。彼女のCDやDVDを持っていますが、あのカリスマ性にはドゥルスはまだまだ遠い・・・。
 興味のある方は「カフェ・ルーゾのアマリア・ロドリゲス」のライブ録音を聴いてみてください。濃厚な空気に圧倒されますよ。

 世界中の様々な歌声のサンプルを聴きたい方には細野晴臣さんが監修した「エスニックサウンド・セレクション」がお勧めです。西洋音楽~電子音楽(YMOはクラフトワークのパクリでした)と進んで行き詰まった彼が、世界の民族音楽を耳にして開眼した1980年代に発表されたオムニバスです。20年以上前なので、もう、中古でしか手に入らないかな。

現代の歌姫たちの競演

2010年04月19日 | ヴォーカル
最近、NHK-BSで「ワールド・プレミアム・ライブスペシャル~歌姫たちの競演~」というタイトルでライブを放映していました。
ラインナップは豪華そのもの!
比較的今まで馴染みがなかったアーティストをセレクトして観てみました。

■ ビヨンセ
 お笑い芸人の物まねで市民権を得た感がありますが・・・「ディスティニー・チャイルド」で世界に認められた実力派シンガーです。
 第一印象は「躍動する肉体美」。
 痩せてお尻が小さいことを美とする現代のファッションモデルとは一線を画す、ふくよかで逞しささえも感じさせるボディ。
 バックダンサーもコーラスもみんな同じ傾向の女性達で迫力満点でした。
 
 以前トルコで観たベリーダンス(お腹とお尻を細かく激しく動かすオリエンタルダンス)を思い出しました。
 その時の通訳の女性は「ベリーダンスはふくよかな体でないとダメ」と解説してくれました。
 確かに、ガリガリの体では雰囲気が変わってしまいそう。
 ライブの途中、ディスティニー・チャイルド時代のメンバーも駆けつけましたが、その二人はスレンダーな美女で、なぜか違和感を感じました(苦笑)。

 肝心の歌は・・・残念ながらあまり記憶に残っていません。

■ ノラ・ジョーンズ
 彼女は若くしてグラミー賞の常連です。
 初めて聴いたのは5年くらい前かな。
 良質のアメリカンポップスの底辺を支えるボーカリストで、カントリー・ブルース・ジャズなど、いろんな要素がフュージョンされています。
 とはいっても、一番の魅力はその声。
 ちょっとハスキーな声で包み込むように歌います。決して声を張り上げたりしません。
 なんだか、聴いているとこころが落ち着いてくるんですよね。
 アン・サリーとともに最近出会った中ではお気に入りのヴォーカリストで、車のカーステレオではレギュラーCDの一員です。
 ただ、今回のニューアルバム「Fall」は今まで以上に地味(滋味?)になった印象もなきにしもあらず(苦笑)。
 1970年代のおとなしいポップスの雰囲気を感じました。
 
■ ビョーク
 アイスランド出身のアーティスト。
 予備知識なしでライブを観ました。
 ビヨンセのようなゴージャスなショーではなく、ノラのような語りかけるライブでもなく・・・エスニック系の不思議な音空間を感じました。カリスマ性もありそう。
 カラフルにペインティングしたホーン・セクションを前面に出し、ビョーク自身も同じ色に染まっています。
 歌い方はどちらかというか内省的で地味。ダンスと云うより、せわしなく動き回りながら歌うのです。
 万人受けするのではなく、一部に熱狂的なファンがいるタイプですね。

■ サラ・ブライトマン
 「Time to say good-bye」でブレイクした、クラシックとポピュラーの世界を股にかけるスーパーボーカリストです。
 「歌姫」という言葉がこれほど似合うアーティストも珍しい。女神ルックで登場しましたが、全然嫌みを感じませんでした。
 とにかく声が美しく、あの囁くようなソプラノを聴いた日には・・・世の男は虜になってしまうでしょう。
 彼女の声には「歌を聴く喜び」「歌の魔力」の原点があるような気がしました。
 彼女の生まれは1960年。私より3歳も上であることを知ってさらに驚きました。


「ワールド・プレミアム・ライブスペシャル~歌姫たちの競演~」

第1夜:ビヨンセ
第2夜:ノラ・ジョーンズ&アリソン・クラウス
第3夜:マドンナ
第4夜:ジャネット・ジャクソン
第5夜:ビョーク
第6夜:マライア・キャリー
第7夜:ホイットニー・ヒューストン&ダイアナ・ロス
第8夜:サラ・ブライトマンPart1
第9夜:サラ・ブライトマンPart2

・・・素晴らしかったので、再放送するかもしれません。

「朝崎郁恵」

2010年04月15日 | ヴォーカル
 NHK-BSで「新日本風土記」という番組を見たとき、そのテーマ音楽に惹かれました。
 里山の田んぼに向かう百姓夫婦の後ろ姿・・・その背景に流れる歌声。
 「ハッ」としました。体を何かが突き抜けたよう。
 なんと言っているのか歌詞は聞き取れません(方言なのでしょう)が、まぎれもなく日本の歌。
 裏声を多用した、荒削りで力強く、そして哀しい歌声。
 民謡のようにも、古老の昔語りにも、子守歌にも聞こえます。

 そして、私の目には涙が溢れていることに気づきました。
 「悲しいから泣く」のではありません。
 体から沸き上がる感情が抑えられず、止めどなく涙が流れるのです。

 こんな経験、今まであったでしょうか?

 調べてみると、その声の主は朝崎郁恵さんであることがわかりました。
 私のお気に入りのピアニスト、ウォン・ウィン・ツァンさんも尊敬してやまない唄者(ボーカリスト)。
 元ちとせで知られるようになった奄美島唄の第一人者だそうです。
 1935年生まれですから、御年75歳になります。

 手に入るCDをまとめ買いして、その声に浸りました。
 車のCDプレーヤーで聴いていると、涙で前が見えなくなり困りました。

 彼女の声は日本人のDNAに刻まれている琴線にすうっと触れてきます。
 上手いとか下手とかのレベルではありません。
 祖先の魂の声が時空を超え、口寄せの如く朝崎さんを通じて聞こえてきたような気がしました。

 「生きることはつらく哀しい、でも生きることは楽しい、命をつなぐことは喜びに満ちあふれている・・・日本人はこうして暮らしてきたんだよ」

「Queen's Fellows-yuming 30th anniversary album」

2009年08月27日 | ヴォーカル
冬になるとユーミンとオフコースを聴きたくなります.
私は結婚前の「荒井由美」時代の曲が好きです.
そこにはちょっとへそ曲がりで、ちょっと突っ張った、でも自分をしっかり見つめる女の子がいて微笑ましい.
「松任谷由実」も悪くありませんが、売れ線狙いでポップすぎる感じ。

今回はひとひねりあるユーミンのカバーアルバムを入手しました.
鬼束ちひろ、スピッツ、井上陽水、槇原敬之、田島貴男、椎名林檎など一流のミュージシャンが参加しています.
アレンジも手がけ、見事に自分の楽曲にしているのが素晴らしい.
井上陽水の楽曲はよく耳にしますが、これがユーミン提供とは意外でした。

特に気に入ったのは小野リサ.
ボサノバ風のアレンジでやや物憂げに、でも重くならないスタンスで歌い上げていて素敵です.
ユーミンのカバーアルバムを作ったらヒットしそうですね.

槇原敬之の青空にスコーンと突き抜けた感じのボーカルもいいです.

大貫妙子も彼女独特のフランス的な音空間を造っています.
「黒のクレール」を思い出すなあ。

しばらくカーステレオのレギュラーCDとして活躍しそうです.