『成長と試行錯誤』

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　Ｎｏ８６９）　『成長と試行錯誤』
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■　人間の成長過程を教えてくれたのは、
　　空手の師範だった。

　　「島田、左手で飯食えるか？」

　　「食えません」

　　「バカ野郎、右手が折れたらどうするんだ、すぐに食べれるように練習しろ！」

　　私の場合は、一週間ほどで左手で食べれるようになりました。

　　「どうだ、食えるようになったか？」

　　「はい、成りました！」

　　「それが、量質転化だ！人間の成長とは、常にその繰り返しによって成長する。
　　　空手の突きも蹴りもすべて一緒だ。同じ動作を繰り返すことで、ある時急に、
　　　技になり出来るようになる。」

　　師範は私に、人間の成長論を学ばすために左で食べるように、
　　命令したのでした。

　　最初は、ガチガチに力が入り、なかなか思うように箸が使えません。
　　面倒になり、途中で右に交換するという感じで、毎回毎回食事のたびに、
　　試行錯誤を繰り返すのです。

　　ちょうど一週間目をむかえた頃、箸を持つ左手から、
　　力が抜けた感じになりました。
　　あれほど、力を入れて持ってもうまくつかめなかったのが、

　　「スッ～」って力が抜け、思い通りに箸が使えるようになるのです。

　　師範のいうところの技になり、量質転化を体験したわけです。


■　人間は、あらゆることをマスターする際に、この技化を行います。
　　俗にいう体得と言うものです。

　　頭で理解するというのではなく、体に覚え込ますことを行います。

　　直立歩行

　　食事

　　排便

　　会話

　　自動車、自転車の運転

　　ピアノ

　　ゴルフ…etc

　　なんでも、体に覚え込ませます。
　　そして、一度出来るようになると、技として体に染込み
　　忘れることが無く、再生可能となるのです。

　　このまえ、息子がコマを買ってきました。
　　嫁と一緒に行って購入したようです。

　　小学生以来ですが、簡単に回すことができ、
　　しかも、手乗りもできました。

　　流石に、紐の上を走らせる技までは再現できませんでしたが、
　　４０年ぶりでもソコソコ体が覚えているものだな～と
　　感心しました。


■　生後８ヶ月の娘をみていて感じるのは、
　　子供は自然に歩行や会話が出来るようになるのではなく、
　　凄い練習を繰り返し繰り返し行った結果が、
　　直立歩行などなんだな～と改めて感じるわけです。

　　まだ、歩けないのですが、つかまり立ちが８月にできるようになり、
　　９月は１ヶ月間でつかまり立ちを何千回も繰り返し練習しているのです。
　　何にでもつかまって立ち上がります。

　　立ち上がっては座り込み、また立ち上がる！
　　凄い訓練です。

　　大人があれほどの動作を繰り返したら、
　　筋肉痛でかなり苦しむだろうな～と、
　　みていて恐ろしくなるほど、凄い特訓を繰り返すのです。

　　しかも、『笑顔』です！

　　苦しそうな顔など一切見せないで、『ニコ～』と笑いながら、
　　立ち上がったり、座ったりを繰り返し、
　　最近は、つかまりながら横に歩行するように成ってきました。

　　いよいよ、つかまらないでの直立と、歩行の特訓へと
　　駒を進める段階になるわけです。…


■　幼児期にいろいろなことをマスターするので、どうやってマスターしたのか？
　　その記憶はみんな持っていません。

　　ある学者が書いていたのですが、幼児期の記憶を神様が無くしているのは、
　　あまりにも辛いことが多いので、大人の脳をこの時期の子供に与えると、
　　辛くて狂い死にするほどの負荷がかかって耐えられないからだと、書かれていました。

　　まあ、それが正しいかどうかはわかりませんが、
　　直立、歩行、会話、排泄、洋服の着脱などなど、
　　４歳ぐらいまでの成長は凄まじいスピードです。

　　大人の４年とは明らかに成長スピードが違うわけです。
　　あの位成長できれば、英語でもドイツ語でも何でもマスター出来そうです。

　　ただ、自然に成長出来たのでは無く、試行錯誤を楽しみながら
　　繰り返した結果であることを忘れないで欲しいのです。

　　本能的に、立とうとしているのかも知れませんが、１日２日でマスターするような簡単なことではなく、
　　１ヶ月２ヶ月という期間を使って、徐々に筋肉を育て、バランス感覚を養い、何度も失敗をして、
　　はじめて立てるようになるのです。


■　これは非常に重要なことだとあらためて感じるわけです。
　　だって、どんなことでもマスターできるということだからです。
　　人間ができることは、程度の差はあっても必ずあなたにもできるのです！

　　正しい方法で、試行錯誤を繰り返せば、
　　体は気がつくとそれを体得してしまうのです。

　　これは凄いことだと思うわけです。

　　英語だって話せちゃうということです。
　　中国語も、ドイツ語も、正しい方法で学び続けて諦めなければ、
　　必ず、量質転化が出来て、技になります。
　　
　　ただし、必ず五感を使うことと、必死でやること、やり続けることが重要です。
　　頭だけでは、体で覚え込ますことができないので上手く行きません。
　　それは、理解することとできることは違うからです。


■　娘が最近いつも額に汗しながら、つかまり立ちを何度もやっている
　　姿をみて、人間の成長過程はおもしろいな～と、
　　久々に振り返ることができて非常に勉強になるわけです。

　　やる前から諦めていたり、少しやって諦めたりと、
　　大人になると、あきらめが早いのですが、
　　たぶん、どうでもいいことだから諦めるのではないかと思うわけです。

　　直立歩行や会話に排泄など、生きる上で必須なことなら、
　　諦めたり、止めてしまったりはできないでしょう。

　　子供は、一切妥協しません。

　　笑顔で行動し続けるのです。

　　これが、マスターするコツなのでしょうね！



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