「アルゼンチン共和国杯・G2」(8日、東京11R)
底力を見せつけた。11番人気の低評価をあざ笑うかのように、ミヤビランベリが逃げ切りV。トップハンデ馬として9年ぶりとなる勝利を収めた。これで重賞4勝目。今後は初のG1舞台を見据えていくことになり、年内出走なら有馬記念(12月27日・中山)が有力だ。2着はアーネストリー、3着はヒカルカザブエで3連単は92万円馬券の波乱に。1番人気のジャガーメイルは5着に完敗し、またしてもタイトル獲得はならなかった。
◇ ◇
パンパンの良馬場、トップハンデの57・5キロ。それでも強さは変わらない。春に目黒記念を不良馬場で制したミヤビランベリが、同じ舞台のハンデG2で再び激走した。
「先生(加藤敬師)から“馬の気分に任せて”と言われていました。いいスタートを切ったのでハナに行こうと。折り合いもついていましたよ」
初コンビながら絶妙に呼吸を合わせて独り旅で運んだ道中を、吉田隼は笑顔で振り返った。残り100メートルでアーネストリーに並ばれたが、慌てない。「しぶとい馬だと分かっていた。あきらめずに追いました」と力強く1馬身差し返す。これで自身は4年連続のJRA重賞V。またランベリは昨年の七夕賞を兄の吉田豊で制しており、兄弟による同一馬での重賞制覇というおまけもついた。
一方、今年重賞3勝目と6歳にして本格化したオペラハウス産駒に、トレーナーは目を細める。「落ち着いていた。イレ込まなかったね」と精神面の成長は顕著。3歳夏に右前脚を骨折し、今でもボルトが入っている。「その影響で、以前は左回りで外側に走っていく感じだった」と振り返るが、今は全く不安点が見られない。その骨折時に1年4カ月もの休養を要した分、馬もまだ若い。
4度目のG奪取に「もうハンデ戦の重賞は使えないね」と苦笑い。このあと目指すのは初のG1ステージだ。「距離の長いG1を探したい。ただ、間隔をあけないといけない馬」。そうなると、年内に出走するなら有馬記念が有力となる。骨折を乗り越え、完成期を迎えた6歳馬が、いよいよひのき舞台へと駒を進める。