鳥インフルエンザでフランス産家禽類が禁輸になってから、もう一週間は経ったでしょうか。
食材不足で業界が苦しい時こそ普段は考えないことをと、フォアグラはテリーヌかソテーどちらが究極的には優れた料理法なのだろうかなどと、他の人が聞いたら石を投げられそうな事で深刻に悩んでいる水銀党です(苦笑)
そのことで、今日は少し自分の失敗談を。
私はかつてはテリーヌはぼそぼそしている上に、冷たいために甘ったるくてしつこい脂くささばかり感じてしまって駄目だ、ソテーの方が香ばしくてさっぱりしていると主張するソテー派だったのですが、この前それでとある偉い人と議論をした時に、「火を通すと旨みの成分が流れて消えてしまう。繊細につくればテリーヌの方が美味い」と言われました。
私は『料理とは火を通すこと』が信条なので、鴨肉のソテーがそうであるように、臓物系であっても外側を強火でかりっと焼けば中の旨みは残せるはずだ、偉い人にはそれがわからないのだと生意気にも反論したのですが、その人に紹介された千駄ヶ谷の店でこの前実際にフォアグラのロワイヤルを食べてみたところ・・・。
私は昔ヨーロッパであちこちの店に行ってフォアグラのテリーヌは「料金泥棒」だと失望していたのですが、これは何てしっとりとして繊細な味なのでしょう・・・!
甘ったるさやしつこい脂っぽさが微塵も無い、ほのかに香る上品な甘さ。隠し味は、ソーテルヌのデザートワインだとか。その中で、フォアグラの旨みが確かに生きている。
以前フォアグラの名産国ハンガリーで唯一、テリーヌには本来無い、良い意味での塩気があるテリーヌに感動した経験がありますが、それはあくまで従来の甘ったるいテリーヌに食傷していたからで、このロワイヤルはそれとは対極であるにも関わらず、私のフォアグラへの概念を完全に覆してしまいました。
その後にソテーも食べてみたのですが、これが・・・・・いつもは美味しいと喜んでいたのに、その時は何と味気なく感じられたことか!同じ材料でつくられたものとは信じられないほどでした。
悔しいですが、これは認めなければなりませんね。完敗です(涙)
私は食に関しては、潔いのです。
それにしても、まさか自分が『美味しんぼ』によく出てくる、『不味いものしか食べていないのにその料理を理解したつもりになっている駄目な人』と同じ目にあうとは思いませんでした。出直してくるとしましょう。
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