人はぁぁ、平等ではない。
生まれつき足の速いもの、美しいもの、
親が貧しいもの、病弱な体を持つもの。
生まれも育ちも才能もぉ、人間は皆ぁ!違ってぇぇおるのだぁ。
そう!人は差別されるためにある。
だからこそ、人は争い、競い合い、そこに進歩が生まれる。
不平等は悪ではない。平等こそが悪なのだ。
権利を平等にしたEUはどうだ?人気取りの衆愚政治に堕しておる。
富を平等にした中華連邦はぁぁ、怠け者ばかり。
だがぁ!我がブリタニアはそうではない。
争い、競い、常に進化を続けておる。
ブリタニアだけが前へ、未来へと進んでいるのだ!
我が息子、クロヴィスの死も、ブリタニアが進化を、続けているという証。
戦うのだ!競い、奪い、獲得し、支配しろ。
その果てにぃ、未来がある!!
オールハイルブリタニア!!!
銀様「・・・・・三ヶ月ぶりに出てきたと思ったら、何カミングアウトしちゃってるのよ冬月?」
ばらスィ「・・・・・・しっ、きっと病院から抜け出してきた人ですよ。近寄らない方がいいですよ、水銀燈」
ちょ、待て待て薔薇水晶!
あんまり長い間顔出さなかったから忘れちゃったかな?私だ、冬月おじさんだよ~
ばらスィ「・・・・・・。ああ、冬月さんでしたか。久しぶりですねえ。あんまり日焼けしたので気付きませんでしたよ.。どうでしたかパナマ旅行は?」
その棒読みな言い訳はなんだ(汗。というかパナマなんて行ってないし!私のどこが日焼けしてるんだ。それ以前にお前、その『ばらスィ』ってなんだ?お前の略称は『薔薇』だろう。いつからそんな萌えキャラになった!?
ばらスィ「・・・・・・ただなんとなくです」
なんとなくだとお!?嘘をつけこの商業主義者が!可愛らしい名前に変えれば薔薇水省メンバーが増やせるとでも思ったか!?そんな暇があったらお前が身分詐称して戦わせた他のドール達に謝罪と賠償を・・・
銀様「キムチネタはいいからさ、いい加減話進めたいんだけど」
そ、そうでした(汗。
では本日より私の独断と偏見で唐突に始めますマーキュリーチャンネルでお薦めアニメを紹介して行こう!のコーナー、
第一弾は今期一番人気のコードギアスを紹介します!!
銀様「・・・珍しいわね、冬月が一般受けしてるアニメを紹介するだなんて」
ええ、珍しいことに世間一般と私の評価が今回は一致しました(笑。ではまずは、本作品の簡単なプロフィールを。
コードギアス
21世紀、世界唯一の超大国『神聖ブリタニア帝国』は希少な天然資源『サクラダイト』の獲得のために極東の島国日本に侵攻。
最新の人型兵器『ナイトメアフレーム』を駆使した上陸作戦を展開するブリタニア帝国に日本は瞬く間に占領され敗北する。
占領された日本はその名を名乗る事を禁じられて『エリア11』と呼ばれ、日本人は『イレヴン』と呼ばれてブリタニア人に統治される。
日本人は自由ばかりか、誇りまで奪われたのだ。
トウキョウ租界のブリタニア人学校に通う主人公ルルーシュはある日、ブリタニア軍と日本人レジスタンスとの戦いに巻き込まれ、そこで世界を変える力『ギアス』を手に入れる――
銀様「・・・神聖ブリタニア帝国って(汗」
名前からわかるように元は英国王室でチューダー朝イングランド王国に起源がありるそうですが、実際の歴史と違うのは新大陸に遷都して本国をイギリスからアメリカへ移したところ。従ってアメリカ独立が無く、つまりアメリカとイギリスが合わさった架空の超大国というわけです。
ちなみに、冒頭で紹介したのはこのブリタニア帝国の皇帝の演説です。
まあユーチューブもあるし公式に配信もされてますから、一度生で聞いて下さいよ。この皇帝の声若本さんですから。
皇帝というより若本さんですね!
銀河万丈さんとはまた違った味がありますよ!何しろ若本さんそのままですからね!もうしびれてしまいました!
銀様「はいはい若本さんなのはわかったから。・・・しかし設定と皇帝の演説から想像するにその国、大英帝国の19世紀の植民地主義にアメリカの弱肉強食・競争主義を足し合わせたって感じねえ・・・・・ってそれいいところ何も無いじゃん」
ばらスィ「ガンダムSEEDの大西洋連邦と同じ版図なのは偶然ですか?後この演説、思いっきりガ○マ国葬演説なんですが」
・・・いや、そこは製作がサンライズだから(笑。
作中もエリア11総督の第三皇子クロヴィスが主人公に殺されたらその後釜に冷徹な姉上(コーネリア皇女)が追討のためにやって来たり、ルルーシュと双璧を為す心優しくて人道主義なもう一人の主人公が平和を愛するお姫様と仲良くなっていくそれなんてキラとラクスって感じの展開もあったりと、初代ガンダムやSEEDからのパロディが多数あります。スタッフも楽しんで作ってる感じですね。
ばらスィ「・・・・・・SEEDとファフナーで完全にアニメ界に定着しましたよね、主人公二人方式」
なお今回監督は『無限のリヴァイアス』『プラネテス』の谷口悟郎氏。華麗な美少年美少女が勢ぞろいのキャラクターはCLAMPがデザイン。ロボットなどメカデザインはSEED、キングゲイナー、エウレカセブンなどを手がけたスタッフ達を使っています。
銀様「うわぁ、超豪華・・・(汗。そりゃ人気が出るはずだわ、CLAMPの描いた美少年がサンライズのメカで戦うんでしょ?○女子にもメカオタクにも受けて両手に花じゃない。しかもガンダムネタ使い放題。だから気に入ったの冬月?」
ははは、確かにヒットするべくしてヒット作になったものではありますがね。
でも私がこのアニメに着目したのは、そのこれまでに無かった大胆な世界設定ですよ。そしてこれまでに扱われなかったところに光をあててくれた。
薔薇「確かに・・・少しあからさま過ぎる気もしますが」
いや、よくぞやってくれた、と喝采を送りたいよ。
時代が変わったんだな、と観ながらしみじみ思いましたね。10年前ならこんなアニメ、左翼のバッシングが怖くて作れなかった。
日本ないし世界が侵略される類のアニメは山のようにあります。だがコードギアスは単純な物理的占領でなく、『精神的占領』つまり『誇りの喪失』という問題を前面に押し出した。これまで、戦後日本が扱うことをタブー視してきた、『日本人が日本人であることの誇り』の大切さ、そしてそれが奪われるということがどういうことかという問題に正面から取り組んだ。日本人のパトリオティズム(祖国愛)にスポットを当てたアニメとしては『宇宙戦艦ヤマト』以来ではないでしょうか。
第一話、日本がブリタニアに降伏した後、日の丸の旗がブリタニア帝国旗に変えられていく描写のインパクトが非常に大きかった。
そして『日本』が『エリア11』にされ、日本人は『イレヴン』という隷属民の地位に落とされて、ブリタニア人から抑圧され差別・迫害される。
何より大きいのは自由よりも『誇り』が奪われたこと。これは現実に日本が戦後東京裁判史観を押し付けられ、日本が一方的に悪かったという歴史観を持ってしまったのと同じです。
負けたものは、自由も誇りも奪われる。そのことをこのアニメはわかりやすく示しています。
「戦とはな、生命と誇りの奪い合いだ」
第七話でブリタニア側のコーネリア皇女がそう言っていましたが、実際その通りなのです。
富士山の使い方も効果的でした。
第一話でブリタニア軍の大編隊が富士山の上空を覆い尽くす光景。
そして第八話でブリタニアによるサクラダイト採掘のために醜く削られた富士山。
富士山は日本のある意味象徴ですからね。
そこから『サクラダイト』という架空の希少資源が採掘されるようになり、重要な戦略物資になって日本はブリタニアに占領されてしまったのがこのアニメ。
物が溢れ楽園のように豊かでチリ一つ無いほど美しいブリタニア人の租界と、対象的に爆撃で破壊されたまま放置されたイレヴンのゲットー。
ブリタニアに協力するイレヴンが『名誉ブリタニア人』と呼ばれる設定なども、リアリティを感じます。
反対に独立のために戦う日本人レジスタンスは『テロリスト』としてテレビで報道される。クロヴィスが会見で日本人レジスタンスとの戦いに『テロとの戦い』という言葉を使っていたのは、まあ痛烈な風刺でしたね(苦笑。
ばらスィ「イラク戦争意識してますね・・・」
銀様「SEEDもそうだったけどサンライズはアンチアメリカだからねぇ。ただ、なるほどって思うのは、今のイラクとか中東の産油国がどんな目にあってるか、その『サクラダイト』っていう架空の資源を登場させることで日本人にも味わってもらおうという趣向ね。
日本からは石油みたいな戦略物資が取れないから、それが産出されるばっかりに大国に当たり前のように侵略される中東の国の気持ちがわからない。
現にサウジアラビアに米軍が駐留していたり、クウェートや今のイラクが実質的なアメリカの保護国になってしまっている現状を、テレビでも当然のように扱ってるし私達も疑問に思わないよね」
そう、石油は世界全体にとって重要な資源だから、その安全保障のために世界の警察のアメリカが中東に介入するのは当然だと。でもそれをこのアニメのように同じ事を日本でやられたら、それがいかに異常なことか私達は初めて気付く。資源が取れる国の独立国としての主権が超大国によって平然と踏み躙られていく・・・本当に痛烈な風刺です。
何より耳に残るのは作中何度も登場する、「イレヴンじゃない、日本人だ!」というレジスタンスの悲痛な叫びです。
祖国を名乗ることが許されない悔しさ。今も世界中で自分の独立国をもてない民族がたくさんありますが、日本人はそういう悔しさを味わったことが無い。だからこの設定は非常に興味深い。
ばらスィ「・・・確かに、戦後の日本人は自分達が日本人なんだ、と誇る意識をタブー視してきましたからね」
そう、左翼アレルギーで、愛国心は軍国主義につながるからタブーだといわれてきた。今の日本人は自分が帰属する共同体として祖国を意識することを極度に避けています。メディアも教育もずっとそうでした。
家族の一員、社会の中の市民、その次は国民、日本人でなければいけないのに、それを飛び越していきなり「地球市民」とか「人類」にいってしまう。
日本、という言葉を避けているんですね。日の丸、君が代の問題も同じです。これでは今の日本は、占領されているわけでもないのに自ら誇りを放棄してしまっている状態です。
そういう人たちには日本が今こうして独立国である事がどれだけありがたいことか、そして自分が日本人でいられる事への感謝、誇りを、このアニメを見て思い出して欲しいですね。
ばらスィ「・・・・・・アニメや漫画というフィクションを通して日本が今抱える問題を風刺するのは、かわぐちかいじと非常に近い手法ですね」
銀様「つまり、このアニメは架空の世界を舞台にしたフィクションでいて、実は今の日本に訴えかけるところが大きいってことかしら」
その通りです。
異論があるかもしれないが、私はこのアニメに登場するブリタニア帝国が間違っているとは思わない。
冒頭の皇帝の演説も、戦は命と誇りの奪い合いだというコーネリアの信念も、私は一本筋が通った一つの論理だと思うのです。
少なくともブリタニアはその言葉の通り、常に競い合って進化し、全力で戦って、世界一の超大国になったわけですから。
私はむしろ、このアニメの中でのブリタニアの侵略は、日本人に大切なことを気付かせてくれたものだとさえ思っています。
銀様「生きる事は、戦う事・・・って奴かしら?(笑」
ばらスィ「そういえばどっかの赤いのが言ってましたね、そんなこと」
そう。
自由は与えられるものではない。意志のある者が掴み取るものなのです。
そういう意味では、日本人はもう一度国を占領されて、ヴェトナムのように血を流して力で独立を勝ち取った方がいいのかもしれない(苦笑。
銀様「随分と物騒な結論ねぇ・・・」
ははは・・・でも私は、心が失われている現状もまたとても恐ろしいと思いますけどね。
しかし、今国会で法律も色々改正されますし、こういうアニメもつくられて人気が出るようになって、この国も少しずつ変わっていくんじゃないでしょうか。
期待できそうです。
・・・さて、今回はこの辺で。
私が紹介したのは主にコードギアスの世界観ですが、アニメとしても十分面白い作品ですよ!思想的背景に興味がなくても十分楽しめると思います。
詳しくは公式サイトへどうぞ!
ばらスィ「・・・・・・なんだか世界観の話ばっかでコードギアスのギャグ要素がまるで紹介されないアニメ紹介でしたね」
なんだと貴様、文句でもあるのか!?
ばらスィ「例えばですね、冷徹なコーネリア殿下が実はこんなで妹のユフィを溺愛してるっていう萌え設定とか・・・・」
銀様「うわっ、これとても同一人物には見えないんですけど!?」
・・・・・なっ、なんでそれを知ってる薔薇水晶?まさか貴様、実はこのアニメ観てただろう!?
ばらスィ「観てないだなんて一言もいってないし」
なんだと~!!貴様、せっかくの格調高い私のアニメ紹介をよくも面白おかしくコケにしてくれたな!
銀様「あーあ、また始まったし。
・・・要するに、シリアス設定もあるけどギャグあり萌えありということで。面白ければいいんじゃない?」
ばらスィ「冬月さん、これ以上騒ぐとオレンジをばらしますよ」
き、貴様そんなネタまで・・・!
銀様「あーもうわけわかんないし」
―おしまい―