
東日本日本大震災の余震が収まらず、原発事故収束の見通しの立たない日本での公演をキャンセルするアーティストが続出する中で、三大テノールの一人プラシド・ドミンゴさんは4月10日にNHKホールで3000人の聴衆を前にコンサートを開きました。4月15日(金)BS1のワールド・ウェイブTonightの特集では、ドミンゴさんが語った被災地日本への思いと、コンサートのフィナーレで日本の歌『ふるさと』を歌った場面が放送されました。とても時宜を得た感激的内容でしたので、紹介したいと思います。
テレビ画面をビデオカメラで撮影したものをアップロードしたので、現放送より画質、音質とも劣りますがご容赦ください。
ドミンゴさんは1976年以来何度も日本を訪れ、日本のファンと強い結びつきを感じていました。1985年にドミンゴさんが青春時代の多くを過ごしたメキシコが大地震に見舞われ、死者行方不明者は1万人に及び、ドミンゴさんの親戚4人も亡くなりました。メキシコを救いたいとドミンゴさんは公演やレコーディングを全てキャンセルし、復興活動に当りました。多くの人々が家族を失い、悲しみの中にありました。家も財産も食べるものもすべてを失った人々の姿を目にしたドミンゴさんは、1年間被災者を助けるためにチャリティーコンサートを続けました。その経験は決して忘れることのできない特別なものでした。日本が困難に直面している今こそ、ドミンゴさんは日本に行かねばと思ったのです。
ドミンゴさんはこう語りました。「一人ひとりができることは小さく、無に帰るかも知れません。でも一人ひとりがどう支援できるかを考えなければいけないのです。それは砂漠に落ちれば消えてしまう水の一滴なのかもしれません。それでも少しずつ何かを考えるべきです」。
コンサートが終わりに近づいた時、これまでのコンサートでは一度も聴衆に語りかけたことがなかったドミンゴさんが語りました。「このコンサートは皆さんに少しでも安らぎのひと時をと開いたものです。また私達にとっては皆さんの魂に訴えかける栄誉に浴する機会なのです。私達は日本の歌を歌おうと思います。皆さんもご存知の歌です。もしよろしければ一緒に歌ってください。その歌は『ふるさと』です」。聴衆から大きな拍手が沸き起こりました。2番まで歌い終わったあと、ドミンゴさんはもう一度1番を歌いだすといつしか聴衆も唱和し、涙する人々もいました。会場はふるさとで包まれる感激的場面でした。
本当に苦しい時、歌の力がどれだけ人々の心を支えることができるかとの問いかけに、ドミンゴさんはこう答えました。「芸術家の特権は人々の心に何かを届けることができることです。人々が苦難を強いられているときにもそれはできるのです。コンサートでもTVでもいいのですが、人々が音楽を聴いている間だけでも、ほんの少しでも音楽によって気持ちが楽になってもらえれば…。苦しい時だからこそ、被災者の人々と気持ちをひとつにしなければなりません。日本だけでなく世界中が一致団結していくことが必要です。私の日本への強い愛とともに、いつの日か報われる日が来ることを心から願っています」。
追:ドミンゴさんのコンサートの模様は、5月にNHKで放送予定だそうです。
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