1月16日にBS1で放送された、BS特集「“和解”へのハーモニー~“バルカン室内管弦楽団”の挑戦~」が、6日(土)16:10-17:00のBS1で再放送される。この番組は民族紛争で引き裂かれて以来、母国では共演することがない旧ユーゴスラビアの楽団員達が日本の共演、民族の壁を乗り越えて昨年11月の演奏会成功に導いた日本人指揮者 柳澤寿男さん(38)の献身的尽力を描いた感激的内容であった。
かつてのユーゴスラビアは、スロベニア、クロアチア、ボスニアヘルツフェゴビナ、セルビア、モンテネグロ、マケドニアの6共和国からなる連邦国家で、幾つもの民族が入り混じりながら共存していた。その象徴の一つがオーケストラで、民族の枠を超えた共演が当たり前であった。しかし1980年代以降、民族対立の表面化して各地で紛争が勃発。次々と共和国が独立して連邦は崩壊した。セルビアでは多数派のセルビア人と南部のアルバニア系住民の対立で1万人以上の犠牲者を出した末、アルバニア系住民が多く住むコソボが2008年2月に独立を宣言。2010年1月現在65カ国が承認している。国外からの援助を頼りに基盤作りが進められているが、民族間対立は根深く、緊張が今も続いている。
柳澤さんは3年前からコソボ共和国の首都プリシュティナで、1年の半分を過ごしている。指揮者を務めていたアルバニア系住民だけからなるコソボフィルハーモニーの同僚指揮者から、「若し扮装が再燃したら、楽器の代わりに武器を持って戦場に行くと」聞いて大きなショックを受けた。同僚指揮者は紛争で親戚二人を失っていた。柳澤さんは音楽に争いや対立とは無縁であって欲しいという思いを込めて、同僚指揮者の前で指揮棒を振るった。演奏を聴いた同僚指揮者の心は大きく動き、「自分の考えが間違っていた。音楽に国境は無い」と申し出てくれた。柳澤さんは自分の音楽でそこまで強く感じてくれた人がいたこと、言葉の無い音楽で強い心を持った人が変わったことに大きな手応えを感じ、アルバニア系住民とセルビア人が共演するバルカン室内管弦楽団を編成し、指揮者として民族の和解に尽力している。
しかし民族分断の状況は根深く、参加した音楽家達の間には想像以上に深い溝があった。楽団員達は互いの国を行き来するのが困難なため、合同練習ができず、柳澤さんがそれぞれに足を運んで調整を進めた。コソボのアルバニア系楽団員は演奏会の6日前に来日、後の便で到着したセルビア系団員達とは翌朝ホテルでの朝食で初めて対面、容易には打ち解けず、初めての合同練習ルーマニア民族舞曲の演奏も息が合わず、散々の出来に終わった。残された僅かな日数の中での柳澤さんの懸命の尽力、ユーゴスラビア時代を経験したベテラン団員のさり気ない働き、対決から相互理解へ向かった若い団員達の心の軌跡などを辿りながら、演奏会は成功裏に終わる。困難な対立を乗り越える音楽の力に感銘を覚える、前回見逃した方には是非ご覧いただきたい番組である。
かつてのユーゴスラビアは、スロベニア、クロアチア、ボスニアヘルツフェゴビナ、セルビア、モンテネグロ、マケドニアの6共和国からなる連邦国家で、幾つもの民族が入り混じりながら共存していた。その象徴の一つがオーケストラで、民族の枠を超えた共演が当たり前であった。しかし1980年代以降、民族対立の表面化して各地で紛争が勃発。次々と共和国が独立して連邦は崩壊した。セルビアでは多数派のセルビア人と南部のアルバニア系住民の対立で1万人以上の犠牲者を出した末、アルバニア系住民が多く住むコソボが2008年2月に独立を宣言。2010年1月現在65カ国が承認している。国外からの援助を頼りに基盤作りが進められているが、民族間対立は根深く、緊張が今も続いている。
柳澤さんは3年前からコソボ共和国の首都プリシュティナで、1年の半分を過ごしている。指揮者を務めていたアルバニア系住民だけからなるコソボフィルハーモニーの同僚指揮者から、「若し扮装が再燃したら、楽器の代わりに武器を持って戦場に行くと」聞いて大きなショックを受けた。同僚指揮者は紛争で親戚二人を失っていた。柳澤さんは音楽に争いや対立とは無縁であって欲しいという思いを込めて、同僚指揮者の前で指揮棒を振るった。演奏を聴いた同僚指揮者の心は大きく動き、「自分の考えが間違っていた。音楽に国境は無い」と申し出てくれた。柳澤さんは自分の音楽でそこまで強く感じてくれた人がいたこと、言葉の無い音楽で強い心を持った人が変わったことに大きな手応えを感じ、アルバニア系住民とセルビア人が共演するバルカン室内管弦楽団を編成し、指揮者として民族の和解に尽力している。
しかし民族分断の状況は根深く、参加した音楽家達の間には想像以上に深い溝があった。楽団員達は互いの国を行き来するのが困難なため、合同練習ができず、柳澤さんがそれぞれに足を運んで調整を進めた。コソボのアルバニア系楽団員は演奏会の6日前に来日、後の便で到着したセルビア系団員達とは翌朝ホテルでの朝食で初めて対面、容易には打ち解けず、初めての合同練習ルーマニア民族舞曲の演奏も息が合わず、散々の出来に終わった。残された僅かな日数の中での柳澤さんの懸命の尽力、ユーゴスラビア時代を経験したベテラン団員のさり気ない働き、対決から相互理解へ向かった若い団員達の心の軌跡などを辿りながら、演奏会は成功裏に終わる。困難な対立を乗り越える音楽の力に感銘を覚える、前回見逃した方には是非ご覧いただきたい番組である。
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