北方領土「一歩でも前進」=安倍首相、日ロ首脳会談に決意
13:07
な^にが「北方領土問題の解決に向け、一歩でも前進させるため全力を尽くしたい。私の世代でこの問題に終止符を打つ決意で首脳会談に臨みたい」だ!_?安倍よ!お前の虫けら戦略じゃ一生ムリだよ!!
「トランプ要因」で1月解散は消えたか
TPP、安全保障、日ロ交渉……すべての歯車が狂い始めた
2016.12.09 07:02
「TPP(環太平洋連携協定)は米国抜きでは意味がない。根本的な利益のバランスが崩れてしまう」
11月21日、アルゼンチン・ブエノスアイレス市街の「ホテル・エンペラドール」。5日間におよぶ米、ペルー、アルゼンチンの外遊を締めくくる形で行われた記者会見で、首相・安倍晋三は甲高い声を張り上げていた。米大統領選に勝ったドナルド・トランプは、選挙戦を通じて、TPP離脱を繰り返し明言してきた。しかし、TPP早期発効の旗振り役を自任する安倍は、トランプの変心に一縷の望みを残し、ラブコールを送ったのだ。日本時間では22日朝7時すぎ。福島県沖を震源とするM7.4の地震が発生してから約1時間後のことだった。
安倍は外国滞在中に不測の事態が起きることが多い。首相として初外遊となった2006年10月の中国、韓国訪問の際は、北京からソウルに向かう政府専用機の中で「北朝鮮が地下核実験を強行」の一報を聞いた。
2013年1月に東南アジア諸国を歴訪した際にはアルジェリア人質事件が起き、多くの日本人ビジネスマンが犠牲になった。2015年1月には中東訪問中に「イスラム国」(IS)が、拘束した邦人ジャーナリストらの殺害を予告する事件が起きた。皮肉な話ではあるが、安倍は外国滞在中の危機管理対応の経験を積んできた。今回も、抜かりなく東京で留守を預かる官房長官・菅義偉に電話で対応を指示し、会見場に向かった。だが、安倍にとって本当の意味での不測の事態は、福島沖の地震ではなかった。
安倍が会見で「米国抜きでは意味がない」とトランプにラブコールを送ったのと、ほぼ同じ頃、トランプがビデオメッセージを発表。来年1月20日の大統領就任初日にも「TPP離脱を通告する」と宣言したのだ。安倍の淡い期待が完全についえた。まさに不測の事態だった。
TPPは「トランス・パシフィック・パートナーシップ」の頭文字を取った呼称だが、今、永田町では「従来のTPPは消え、トランプ・パートナーシップ・プロブレム(トランプとどう付き合うかという問題)という新たなTPPが生まれた」という笑えない戯れ言が聞こえてくる。
「話が違うじゃないか」
11月9日。午前9時すぎに首相官邸に入った安倍は、大統領選についての報告を受け続けた。執務室には外務事務次官の杉山晋輔、内閣情報官の北村滋、防衛省防衛政策局長の前田哲らが慌ただしく出入りした。雌雄を決するとみられたオハイオ州、フロリダ州などの「スイング・ステート」の大半はトランプが競り勝つ。トランプの優位は安倍にとっては想定外。表情は明らかに不愉快そうだった。トランプが勝利宣言したのは同日夕だった。
日本の対米外交は、リチャード・アーミテージ、カート・キャンベル、マイケル・グリーンら、ジャパン・ハンドラーと呼ばれる少数の知日派の情報とパイプに頼ってきた。今回の大統領選では、ジャパン・ハンドラーたちは、ほぼ全員が「反トランプ」だった。だから日本政府側には民主党候補のヒラリー・クリントンが勝つという情報ばかり入ってきた。日本外務省の中には、米メディアの調査には出てこないトランプ支持層、いわゆる「隠れトランプ」の存在を感じ取り情報を上げる幹部もいたが、それは「米国民は最後は良識を示す」という希望的観測に打ち消された。「トランプ勝利」を見通せなかった事実は、単に予想が外れただけでなく、狭い人脈に頼る日本外交の弱点を暴露したともいえる。(中略)
二階は「春までに結婚を」
安倍とトランプの電話会談は翌10日朝、行われた。大統領選後、トランプと話す首脳はエジプト、イスラエル、メキシコに次いで4番目だった。通訳を交えてわずか十数分の会話の中でトランプは「アメージング(驚くほど素晴らしい)」という言葉を5回も使って安倍を持ち上げ、「あなたとは以前会ったことがある」とも語った。安倍には思い当たる節はない。会談のあと「向こうがそういうのなら、会っているのかな。大人数のパーティーかな」と首をかしげたほどだ。以前、2人が会ったことがあるかどうかは今も謎のままだが、電話会談の結果、2人は17日に正式に会うことが決まった。
菅は独自に米国の弁護士事務所などのパイプを使い、トランプの関心や好みを探っていた。関心は経済。趣味はゴルフ。早速プレゼントとして定価50万円の本間ゴルフ製のドライバーが用意された。影響力があるのは長女・イヴァンカ・トランプと、その夫・ジャレッド・クシュナー。そしてフリン。3人を徹底的にリサーチして人脈を手繰りよせた。
17日、トランプの私邸でもあるニューヨークのトランプタワーで行われた会談ではイヴァンカ、クシュナー、フリンの3人が出迎えた。
会談はイヴァンカとクシュナーの娘、つまりトランプの孫のアラベラが、ピコ太郎の「PPAP」を歌い、踊る動画がインスタグラムにアップされて注目を集めていることなどが話題になり、笑いに包まれたという。
安倍は、トランプと直接会った最初の首脳となった。スピード感だけをみるとトランプとの付き合いを順調にスタートさせたことになる。しかし、日米間に横たわる懸案が何一つ解決していないのも、また事実だ。TPPは瓦解した。トランプは、通商交渉は二国間の協議で行いたいと繰り返している。戦後の日米関係をみると、日本にとって繊維、自動車など一連の貿易摩擦での二国間交渉は、米国に一方的にやり込められ続けた苦い経験が残る。
安全保障に関しては、トランプは、日本に対し駐留米軍経費の負担増を求め続けている。日米同盟の根幹からの見直しを求められる可能性もある。
トランプは1987年、ニューヨーク・タイムズ紙など有力紙に意見広告を出し、米軍に守られて経済発展を続ける日本を痛烈に批判している。トランプが理想とするのは、日本が台頭する前の豊かな米国の復活。基本的な考えは意見広告を出したころと変わっていない。
トランプが大統領選で勝つ前と後で、世界は変わった。安倍も米国、ペルー、アルゼンチンの歴訪を通じてそう実感したことだろう。APECにはトランプの姿はなかったが、トランプ不在の首脳会議ですら、「トランプの米国」とどう付き合うかが主題となっている印象だった。対照的に、8年間にわたって世界をリードしてきた現米大統領・オバマの影は薄かった。
参加国の首脳たちの多くは自由貿易の大切さを訴えた。これは「アメリカ・ファースト」を訴え、保護主義にかじを切るトランプへの警戒心の裏返しだった。
世界の為替や株価は、乱高下している。いずれも「トランプ相場」という注釈つきで解説されている。
19日にリマで行われたロシア大統領・プーチンとの日ロ首脳会談も「トランプ要因」が影を落とした。
安倍は12月15日、地元の山口県長門市で行うプーチンとの会談で北方領土問題を前進させたい。
一方、ウクライナ情勢をめぐりオバマ主導のロシア制裁に苦しんできたプーチンは、日本との関係改善で米国を牽制しようという思惑もあった。ところが、トランプの登場で米ロの雪解けに期待が出てきた。そうなれば日本への拙速な譲歩は必要なくなる。
プーチンとの会談の後、安倍は記者団に残した短いコメントの中で「そう簡単ではない」という言葉を2度使った。9月、ロシアで行った首脳会談の後、「手応えを強く感じ取ることができた」と語った時と比べて明らかにトーンダウンしていた。
「トランプ要因」は国内政局にまでも微妙な影を落とす。一時の解散風はやや沈静化したが、安倍はまだ来年1月早々に衆院を解散し、総選挙に打ってでるという選択肢を残す。北方領土交渉が前進すれば支持が高まり選挙に有利との判断もある。ところが、頼りの日ロ首脳会談の成果があまり期待できなくなった。しかも1月に衆院を解散する場合、1月下旬から2月にかけて政治空白が生まれるのは避けられない。その間にトランプが正式に大統領に就任する。今後の外交を考えると一番大切な時期に、日本が出遅れる心配が出てくる。「トランプ要因」を考えれば、解散は自重しようという判断に傾く。
11月10日夜、自民党幹事長・二階俊博は東京・赤坂で行われていた自民党若手議員の宴席に遅れて駆けつけた。そこで、独身の議員を捕まえ「選挙は奥さんがいて動いてもらった方がいい。来年、春までに結婚しなさい」と話し掛けた。「春までに」という一言は、1月解散は消えたというメッセージだったのか。それとも単なる冗談か。抜群の政局観を持つ二階の発言が出たのは、米大統領選の結果が明らかになった翌日の話である。
(文中敬称略)…これが虫けら戦略だ安倍の!