つくづく強行日程である。4連勝に浮かれ、川崎F戦で現実を見せられ、ようやく気持ちの整理がついたと思ったら、もうG大阪戦だ。選手たちは精神的にも肉体的にも疲労のピークであろう。サポも一喜一憂してフラフラだ。しかし、ここを過ぎれば、週1試合の通常ペースに戻る。ここが正念場と思って、力の限り応援しようと思う。個人的にはまずは腰痛を治さなくては。
前節からの大きな動きは次の通り。
- 本田が休養充分で戦線復帰。
- スピラールがお面をつけて戦線復帰するらしい。
- 藤田が休養充分。
- キムジョンウは怪我で出られないらしい。(残念!)
さて、この状況の中で、難敵G大阪とどう戦うのか?いや、もう少し謙虚に考えよう。どうしたら、G大阪とまともに戦えるのか?内容がグダグダでも、同レベルのチームや勢いのないチームとは互角以上に渡り合える。しかし、実力と完成度の高いチームには全く歯が立たない。残念ながらこれが現実だ。昨年までは「強きを挫き、弱気を扶く」がグランパスの旗印(?)だった。2003年後期のアウェイ浦和戦やら、2004年度シーズン末のホームG大阪戦など、まさに「上位に強いグランパス」を見せつけた試合だった。そのたびに TOTO ファンから恨まれたものだ。しかし、今年は違う。基本的には地力の低いチームや、勢いのないチームに勝ち、その他は負けるか引き分ける。これまでに勝った試合とそのときの状況を考えよう。
- 第1節C大阪(H):チーム状況が最悪……いまだに最下位に低迷。
- 第4節福岡(A):チーム状態がとても悪い……C大阪に続いて降格圏から抜け出せず。
- 第15節大宮(H):珍しく好調のチームに勝った。しかし内容はグダグダ。
- 第16節千葉(A):“新兵器”ヨンセンが爆発。内容は互角。アマル監督のヘボ采配に助けられた。
- 第17節甲府(H):相手の決定力不足に助けられた。点差が開いたものの、内容は互角。
- 第18節磐田(H):相手のグダグダぶりに助けられた。
こう見ると、昨シーズンまでの名古屋らしさを発揮したのは第15節の大宮戦だけだ。今年の名古屋は TOTO ファンに優しい。これはいけない。
さて、次は「圧倒的に地力が強い」そして「前回完膚なきまでに叩かれた」相手であるG大阪だ。前節はコテンパンにやられた。どう戦うべきか?ヨンセンのおかげで、前線の決定力に大きな差はない。フェルナンジーニョとマグノアウベスは恐ろしいが、ヨンセンには彼らにない高さと強さがある。フェルナンジーニョは欠場するかもしれない。問題は中盤だ。遠藤・二川・明神・加地は怖い。家長も怖い。つまり、中央突破もサイド攻撃もどちらも怖い。
普通に考えて、グランパスが試合を支配できるとは思えない。いかに、G大阪の攻撃をしのいで、少ないチャンスを活かすかが問題である。残念ながらこれが現実だ。ここから前向きに考えよう。いかにG大阪の猛攻に耐えるか?私の考えでは、2つ現実的な策がある。別の言い方をすれば、現実的な策は2つしかない。
- バランスよく守ってカウンターを狙う。
- 根性で守ってカウンターを狙う。
前者は、たとえば昨シーズンのアウェイ柏戦だ。柏サポに襲撃を喰らったあの試合だ。(私は騒ぎの5分前まで現地にいて、危うく被害者になるところだった。ちなみにあれは満月の夜だった。)ネルシーニョ時代のいい試合はこのパターンが多かったと思う。「堅守速攻」である。もう少し遡れば、ベルデニック時代はほとんどこのパターンだったと言ってもいい。後者は、昨シーズン後半のホームG大阪戦、あるいは昨々シーズン後半のアウェイ浦和戦だ。アドレナリン全開で、奇跡を起すという戦い方だ。効率の悪いやり方ではあるが、グランパスは強敵を相手にそれを何度も実現してきた。
前者は戦術家の美しい発想であり、後者は策士の現実主義的な発想である。サッカーにおいてわかりやすい正解はない。常に結果が手段を正当化する競技だ。あまり現実主義に走りすぎると、モウリーニョのように嫌われる。しかし、チェルシーが確実に力を伸ばしている一方で、レアル・マドリーが主要なタイトルから遠ざかっているのもまた事実だ。(「銀河系軍団」の中盤の要だったマケレレが「現実主義軍団」の中心選手になっているのは何と皮肉だろう!)サッカーにおいて敗者が勝者を批評する権利はない。
さて、わがグランパスはどちらの態度をとるべきか?今のグランパスの状況を考えると、戦術としては前者で、精神としては後者でいう折衷案が考えられる。折衷案という言い方はよくない。精神的には後者で、現実的には前者だ。つまり、やる気マンマンの主力選手を中心に、バランスよい布陣で、きっちり守り、速攻で点を取るサッカーだ。
私が考える布陣は4-4-2。
ヨン 杉本
本田 中村
藤田 山口
増川 古賀 スピ 大森
楢崎
前節の惨敗で「現場監督」藤田の重要性がはっきりした。セフさんが藤田を使わなかったのは、休ませるためだと考えたい。藤田を起用して4連勝し、その中で藤田のコーチングがどれほど重要だったか、客席やテレビの前で見ているサポよりも、ピッチ脇で見ているセフさんが一番よくわかっているはずだ。
杉本には「遠慮なく走れ」という指示があるはずだ。玉田でも、津田でも、「鉄砲玉」はいる。左サイドなら片山だって走れる。グランパスがG大阪より優れている点は、前線のスピード、そしてセットプレーの高さしかない。悔しいがこれが現実だ。
玉田は前線からのプレスをしないので、スタメンから外すべきだと思う。ただし、その突破力は大きな武器だから、後半に試合の流れを変えたいときに投入したい。ベンチに玉田がいれば、杉本は遠慮なく走れるだろう。あえて3トップにするよりも、スピード派FWを時間差で起用する方が有効だと思う。スタメンを外されると、玉田は悔しいだろう。その悔しさが、いいパフォーマンスを産む。グランパスは競争社会だ。玉田のための予約席はない。
左SBは渡邊か増川か迷う。スペシャリストは渡邊だ。前節いい攻撃参加をしたという。しかし、守備力に心配がある。増川はとりあえず渡邊よりは守れる。少なくとも、でかくて迫力がある。「堅守速攻」という発想であれば、増川が better だと思うが、攻守のバランスを考えれば渡邊という選択も悪くないと思う。
そして次節の主人公は覆面DFスピラールであろう。もともとケガに弱いらしいという噂があり、実際に今シーズンもケガで長期離脱していた。しかし、その実は熱い血の燃えたぎる「漢」であり、決定的なチャンスをつぶすためには顔の骨を犠牲にすることも厭わない「漢」である。「マレクのために勝つ」という意識がチーム全体にあれば、ポテンシャルの120%、あるいは150%の力を出せるだろう。そうすれば、負けそうな試合を引き分けにすることができるだろうし、引き分けそいうな試合で勝つことができるだろう。根性論は大嫌いだが、根性なしで勝てるほどサッカーは甘くない。根性の向こうにあるものをつかむために、根性を発揮しなくてはいけない。選手も、そしてサポも。