アジア映画巡礼

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今週は『SALAAR/サラール』が来る!②カンサール王国の謎

2024-07-03 | インド映画

前回の①に引き続き、『SALAAR/サラール』の主要な舞台となるカンサール国のお話をもうちょっと。7月5日(金)に全貌がわかる、というか、全貌がわかりかける作品なので、あまり詳しくは書きませんが、前回登場させたジャガパティ・バーブ演じるカンサール国の王ラージャ・マンナルには、第1妃と第2妃がおり、第1妃には息子ルドラ(ラーマチャンドラ・ラージュ/『K.G.F:CHAPTER1』のガルダ役)と娘ラーダ(シュリヤー・レッディ)が、第2妃には息子ヴァラダ(成年後はプリトヴィラージ・スクマーラン)がいたのでした。ヴァラダは常に兄ルドラから冷遇されていましたが、王族の印であるノーズリングを付け、自らが所有する領地を示す腕輪をしていました。そして、王族ながら庶民の、それも自分たちマンナル族とは違う部族ショウリヤンガ族のデーヴァ(成年後はプラバース)を親友としていたのですが、ある時ラージャ・マンナルがショウリヤンガ族殲滅の命令を出し、それから逃れるためにデーヴァと母はカンサールを脱出しようとします。その脱出を助けたのがヴァラダで、ヴァラダはデーヴァ母子を逃亡させるために自らの領地を代価として差し出したのでした。その時のデーヴァの別れの言葉が、「俺の名を呼べば、お前のために俺はいつでも戻り、戦う」というものだったのでした。

それから25年、ヴァラダは立派に成人したものの、宮廷内には確固とした地位を与えられておらず、臣下と呼べる者も年老いたバーバー(ティーヌー・アーナンド)らごくわずかでした。第1妃の娘ラーダと結婚したバーラワ(ボビー・シンハー/『チャーリー』の牧場主役)は、ヴァラダに地位を与えるよう進言しますが、宮廷を構成するメンバーには空きがなく、実現しません。そして、ついにヴァラダがデーヴァを呼び戻し...というところで、前回付けた本編映像となるわけです。今回ご覧に入れる本編映像は、それからまだ先の先の出来事の映像です。皆さんの中ではまだうまくつながらないと思いますが、こんなことになっちゃうんだ、ぐらいの感じで見ておいて下さいね。

『SALAAR/サラール』本編映像

 

このように、プラバースが演じるデーヴァは友への忠誠心から、友ヴァラダの意図を汲んで何でもやってのける、というキャラクターになっているのですが、どうもこれは、原題『SALAAR: Part 1 Ceasefire(停戦)』である本作の中でのキャラクターではないかと思われます。『SALAAR : Part 2 Shouryanga Parvam』ではきっと、大幅などんでん返しが...とか思いたくなるようなストーリー構成なのですが、皆さんもご覧になったら、ぜひ『Part 2』に関する予測などをコメントでご披露下さい。

それにしても、プラバースと並んでうまいのがヴァラダ役のプリトヴィラージ・スクマーランで、本作はプリトヴィラージ・スクマーランが陰の主役と言ってもいいと思います。これまで日本では、映画祭上映作として時代劇『秘剣ウルミ  バスコ・ダ・ガマに挑んだ男』(2011)と、映画というメディアが到来した初期の話『セルロイド』(2013)が上映されたに過ぎないのは、残念至極と言うしかありません。『SALAAR/サラール』の公式サイトによると、「1982年ケーララ州ティルヴァナンタプラム生まれ。父はマラヤーラム語映画の性格俳優だったスクマーラン。兄と兄嫁も俳優。『Nandanam』 (2002、未)でデビューし、2009年ごろからトップスターと見なされるようになり、マラヤーラム語映画を中心とした出演作はすでに100本を超えている」とのことで、私も名前は早くから知っていました(ずっと、「スクマラン」だと思っていました、スミマセン)。2000年代に何か出演作を見たような気がするのですが、タイトルが思い出せません。とにかく、二枚目役からコミカルな役まで、毎年数本主演作が公開されていたので、チェンナイかシンガポールで見て名前を覚えたのだと思います。

最近は、その演技力を十二分に生かした役柄を演じる事が多い感じで、貫禄が付いたなあ、と思います。特に、今年3月に公開された『The Goat Life(Aadujeevitham)』では、サウジに出稼ぎに来たつもりだったのに、砂漠の村で山羊の番人にさせられ、たった1人、過酷な環境の中で生き延びた男を演じて、来年の賞レースではいろんな賞で候補に挙がるのでは、と期待されているようです。見てみたいのですが、Netflixには買われていないようで、映画祭にちょっぴり期待をかけています。そんなプリトヴィラージ・スクマーランの演技がた~っぷり見られる『SALAAR/サラール』、ぜひ楽しみにしていて下さいね。映画のデータと公式サイトのリンクを、下に付けておきます。(人物相関図、公式サイトにも出して下さいませんかね、ツインさん)

『SALAAR/サラール』 公式サイト 
 2023年/インド/テルグ語/175分/原題:Salaar: Part - Ceasefire/字幕:藤井美佳/監修:山田桂子
 監督・脚本:プラシャーント・ニール 
 出演:プラバース、プリトヴィラージ・スクマーラン、シュルティ・ハーサン、ジャガパティ・バーブ
 配給:ツイン
7月5日(金)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー

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最後に、ちょっと興味深い動画を付けておきます。このオーケストラ、シンガポールかなあ? おわかりになった方は教えて下さいませ。

Sound of Salaar | Music By Ravi Basrur | Hombale Films

 


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