Chibyのコトノハ

アナタが笑ってれば、それでイイ

命を描く人

2011年05月04日 | 伊藤若冲

4夜連続、NHKで放送された『若冲ミラクルワールド』。


「Speechless。」


若冲の絵を見て、外国人の方が発した言葉です。

短い言葉だけど、これくらい言い得てる言葉はないな、と思って。

まさしく 言葉になりません。すごすぎて。





初めて若冲を見てから、ずっと私が感じていたあの圧倒的な生命力は、

何百年も前に描かれた絵から感じる、あの熱は何なんだろうと、

ずっとね、考えていたわけですが・・・

この4日間で、

その答えの端っこを、掴めた気が なんとなくしています。


あとね。

もう1つ、劇的と言ってもいいほど唐突に、私の中に生まれた感情がありました。


えっと・・。

ホントに、上手く言えないんですけど・・・



「生きたい。」



そう思ったんです。

あ、いや・・別に人生に悩んでいるとか、困難に直面しているとか、

全然そんなんじゃないんです。

しかもこんな時に、こんな事を

個人のブログとはいえ書いてしまうのは不謹慎じゃないか、とも思いました。


でも、こう感じられたことが単純に私 嬉しくて・・・。

すみません・・。結局自己満足なんですけど・・・。


今まで、私は“生きたい”と特別、生きることを能動的に意識しなくてもいいほど、

普通に生きて来られました。

わざわざその事を考える必要もないくらいに。


けれど、若冲の絵を見て・・

若冲の、人間の目では到底見ることが出来ない細部まで 綿密に描かずにはいられなかった想いを知って、

あぁ・・世界はこんなにも美しいんだな、と

私が気付いていないだけで、この世にはこんなにも美しいもので溢れているんだな、と

思ってしまった。

そしたら・・・私、

それを見てみたい、と思ってしまって。

だって、せっかくそんなに美しいものに囲まれているこの世に生きているんですもん。

それは見ないと損、ってもんでしょ。(笑)


生きとし生けるもの、この世に生まれて生きて、そして朽ちていく。

それがこの世の理なら、私も生きて朽ちるその日まで、

若冲が見た景色を、少しでも見てやろう、と。

見てやろう、って何か上からですけども。(笑)


アートって・・・必ずしも生活必需品ではないですし、

お腹もいっぱいになりませんが、

触れれば触れるほど、目に見えないもの・・例えば

気持ちとか、時間とか、自分の心が熟していってる気がします。



若冲さん。

私たち現代人はあなたの作品を通じて“驚き”や“感動”を頂きながら、毎日

右往左往していますよ。

そんな姿すら もしかしたらあなたには見えていたのかもね。


伊藤若冲。

江戸時代の天才絵師。

私、本当はタイムマシーンか何かで、

遠い未来から来た人なんじゃないか、って密かに思ってます。(笑)








生命力

2010年06月10日 | 伊藤若冲
  

行ってきましたよ。


『伊藤若冲アナザーワールド』@千葉市美術館。



興奮のあまり結局眠れず、朝4:30起床。(遠足前のこども)

始発の新幹線に乗って、一路お江戸へ。



オープン時間の10:00には

すでに美術館前に到着。

この、完全に出るタイミング間違っちゃってる私のヤル気・・・。




てへ。(キモイって)



市役所と一緒になってる立派なビルでね。

朝イチってこともあって、全然混んでなかったので

めでたく、ゆっくり自分のペースで廻ることができました。



今回は、水墨画が中心だったんだけど、

私のお目当てはやっぱり・・・




『樹花鳥獣図屏風』





この絵は、若冲さん独特の画法で描かれてあって

彩色の鮮やかさにトリハダです。




ほかにも、以前京都の相国寺で見た

『動植綵絵』のうちの何点かは、

こちらの展示会にも出張していてね。


またもやその迫力に圧倒されましたね、えぇ・・・。


口あけっぱで見てたみたいで、

私と並んで見てた“おばちゃんチーム”に笑われましたよ。(恥)





私のブログを 何度か読んでくださった方なら

もうお分かりかと思いますが・・・

ワタクシの、この浅~い語彙のキャパ。(永遠の子供用プール)




今日もまた、迷子です。(笑)




えっと・・・




今、巷では3Dが流行ってるじゃないですか。

それはそれで何の不満もないんですけど・・・



でもまぁ、言ってみれば・・

平面に描かれた絵ってね、

完全なる2次元じゃないですか。

でもそれが、こんなにも温度を発するものなのか、ってね・・・

それも、何百年も前に描かれた絵がね、

未だに人に何かを訴える力を持ってるってことが、

単純にスゴイなって。




そこにある、


圧倒的な生命力。



そりゃね。

開いた口も、ふさがりませんって。(笑)








繊細かつ大胆。

儚さの中に力強さ。


まさに「息をのむ」とはこのことか、と

毎度ながら思います。






何かを残す、というのは

同時に、“生きる”ということなのだなと

改めて思いましたね。





この日の予定は、

午前中『若冲アナザーワールド』

午後『奈良美智セラミックワークス』。



ということで、午後の予定は

奈良さんのカテゴリーへつづきます→・・・












伊藤若冲 特別展@金刀比羅宮

2010年04月09日 | 伊藤若冲

ほんの2,3日前、

いつもの朝の通勤電車で。


ふと目に付いた

伊藤若冲 特別展 『百花若冲繚乱』」の中吊り。



ん?


“若冲”とな・・・?(;☉д⊙)ヒクッ



あの有名な

四国・香川にある「金比羅さん」で

若冲さんの作品を展示するらしい。

一昨年の4月から行われていた

京都での修復作業が終わって、

その記念に、いつもは非公開な絵を

期間限定で公開するんだって。




私ね、以前、香川には

月1回のペースで出張に行っててね。

しかも車で。(笑)

えぇ・・・会社命令だったのでね・・・

辛かった、アレは。



まぁ、なので

知らない土地ではないんだけどもね。



なにせ、

つい先日のエントリーにも書きましたが、

ゴールデンウィークは、奈良さんの壺があるし、

そのまた先には、アナザーワールドと小山さんとこでの

奈良さんのセラミックがあるもので・・・

そんな易々と

あっちやら、こっちやらに

いけないのが現実・・・。


で、そんな時に

たまたま、こんな情報をゲットしてしまう私。

いや、嬉しいんだけどね。

ウレシイんだけど・・・




なんか・・・



しょっぺーなぁ、って。(笑)




期間は6月13日まで。


観たいなぁ・・・


でもなぁ・・・





“いつもは非公開”とか・・


“期間限定”とか・・・


やめてくれませんか。(笑)



うぅ・・・


耳元で悪魔が囁くよ~。(笑)  

斗米庵

2010年02月15日 | 伊藤若冲
これは、伊藤若冲さんの別号です。


晩年、生活に困った若冲さんが

自分の絵と米一斗と交換したことから付けられた別称です。


天明の大火で焼け出され、大阪へ逃れるまで

ずっと彼が暮らしていた京都には、美術館はもちろん

お寺にも彼の傑作が大切に保管されていて、

縁の深いお寺には、お墓まであります。

相国寺はそんなお寺の1つで、

現在宮内庁が所蔵している、あの有名な『動植綵絵』は

最初は相国寺へ寄贈されたものだったといわれています。


今そこに隣接している承天閣美術館では、

「金閣寺と銀閣寺の寺宝展」をやっていて

若冲さんの作品を見ることができます。



ここの美術館は、入り口で靴を脱ぐんですけど、

それがまたイイ。

なんか“京都”って感じで。

でもって、柔らかいじゅうたんの感触が足に心地いい。


入って小さな受付と売店を抜けると

重厚な自動扉がある。

中はほんのり薄暗い。


その中にありました。

伊藤若冲、奇才と呼ばれた天才画家の絵が。



― 息をのむ ―


まさしくこの時の私でした。


なんだろ・・・何て言ったら伝わるかな・・・・・



うーん・・


例えば、富士山からご来光を見るような(見たことないけど)

アフリカの大草原に沈む夕日をみるような(行ったことないけど)

なんかこう・・圧倒的な“何か”(例えば私にとっては自然だったりするんだけど)を目の当たりにしたときって、

なんかもう「こうさ~ん(降参)」ってならない? 笑

相手がデカすぎて、自分が小さすぎて

思わず「ははっ」って笑っちゃうみたいな。


なんかね、若冲の絵はそんな感じだった。(わかりづらっ)


ラッキーなことに、若冲の絵のまん前に

クッション付きの長いすが置いてあって

私はずーーーーーーーーーーーーーっと

本当にずーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっと

そこに座って若冲を見てた。


で、私の頭の中に浮かんできた一文字。


 「生」


若冲の絵は「生」きているんだって。


動物だけじゃない。

描かれている草木、花、雲や岩までも

みんな「生」に満ちている。

私はこの圧倒的な「生」にやられてたんだって。


若冲の彩色はもちろんスゴイんだけど、

墨だけで書いた絵がもっとすごい。


なんていうかな・・・



体温を感じるていうか・・・

鳥の胸のとこに生えてる毛があるじゃない?

その毛の下の羽毛まで感じられるっていうか、

もっとゆうたら、

その羽毛の温かさまでわかるっていうか。




比べるもんじゃないのはわかってるけど、

奈良さんの作品はね、

胸の一番やらかいトコを

きゅぅぅぅ~・・ってつかまれる感じ。

で、そのあとジ~ンみたいな。


若冲は、あったかい衝撃波を体全身で受ける感じ。

で、背中がほわ~んみたいな。

(はぁ~・・この貧弱な私のボキャブラリー、何とかならんか!)


と・に・か・く!

本当にヨカッタ。

癒されたよ~。


でもって私、決めました。

4月に静岡である『若冲アナザーワールド』

行きます!

えぇ、行きますとも。



絵を描くこと以外、なんっにも興味がなかった若冲さん。

私と違い(当たり前だって)酒も飲まず、

芸事や女遊びも一切なし。

結局結婚もせず、生涯独身だったらしい。

なんてエキセントリックでストイック。


なんかさ、ここまで極端じゃないにしろ、

奈良さんもちょっと似てるよね。


やっばいなぁ~・・

ハマるわけだ~・・・(笑)