海流のなかの島々

狭く浅くな趣味のあれこれを
波の彼方から語ります

「この世界に僕たちが生きてること」 @DVD

2006-08-01 18:10:37 | 山本耕史くん
昨日から明日まで学会出席のためオットは名古屋へ。
友が録画してくれたDVDをせっせと観ております。


そのひとつが5月30日にBS-hiで放送されたドキュメンタリー、
「この世界に僕たちが生きてること」。
耕史くんがナレーションです。
最初の第一声を聴いて、「あれ、いつもと違う」と。

デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者である
河合正嗣さん、範章さんという双子のご兄弟の話なんですが、
彼らの友達が彼らのことを語る、という感じでナレーションが進んでいきます。

耕史くんのナレーションは感情を余り入れずに淡々としていたり、
内容によってはすごくぶっきらぼうだったりするんですが、
今回はすごく「優しい」。
かといって決してウェットな感じはしない。
そのへんの若者が友達のことを喋っている、という感じ。
若い河合さんを語るにふさわしいナレーションだと思いました。


河合さんの住んでいるのは愛知県の旧下山村(豊田市)というところ。
両親ともに名古屋出身の私には、みんなの名古屋弁が心地いい。
親戚のおじさん、おばさんを思い出します。

ご兄弟ともに幼児期に筋ジストロフィーであると診断され、
少しずつ病状が進んでいきました。
油絵やバンド活動に打ち込んでこられたのですが、
2002年に弟の範章さんが23才で亡くなります。

一緒に病と闘ってきたのに、「先に楽になりやがって」と思う正嗣さん。
最後は狂気のようになって大作を仕上げ、
数時間後に眠るように逝った範章さんの死に様に、「ぼくもそれを狙ってる」とも。


河合さんは自分の通っている病院の職員や患者さん110人の笑顔をスケッチし、
展覧会を開くことを目標にされています。
その110人はもう決まっているそうです。
写真を見ながら、絵筆の先に取り付けた鉛筆で1ミリ単位の線を重ねていきます。
この110人の写真はもう全部撮りおえているんでしょうか?
みんな素晴らしい笑顔です。この写真を撮った人もすごいと思ってしまった。

今までに書き終えた笑顔の持ち主の中には、既に亡くなってしまった人も。
脳出血で意識がないご主人の枕元で、完成した笑顔の絵を「見える?」とかざす奥さん。
ともに70代ぐらいでしょうか。
「このひとが一番大切なひとだから」と言う奥さん。
人生の最期にさしかかってこんな事を言える夫婦に私もなりたい。
ちょっと死んだ父のことを思い出したりして、涙がでちゃった。

この段階で55人のスケッチが完成。
ここで一旦お休みして、100号の油絵に挑戦するそうです。
9.11の同時多発テロで崩れていく高層ビル。
その向こうの空がとても美しく見えたところから
インスピレーションを得た作品になるようですが…。

「あんまり言うとどんな作品か分かっちゃうから」と話すのを止めたときの
いたずらっぽい笑顔。

大好きなミスチルのコンサートに家族と行ったときの興奮した笑顔。

正嗣さん自身の笑顔もとてもチャーミングでした。


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