海流のなかの島々

狭く浅くな趣味のあれこれを
波の彼方から語ります

「ロミオとジュリエット」

2014-02-04 13:34:37 | 演劇

無名塾公演です。



出演:ロレンス神父 仲代達也、ロミオ 進藤健太郎、ジュリエット 松浦唯



最近の観劇は「ロミジュリ」率が高いわ… 。


一面だけ壁を取り払った巨大な灰色の立方体。同じく灰色の6本の柱。すべてにコマが付いていて自由に動かすことができる。セットはこれだけ。このシンプルさが中世の石造りの街の暗さをよく表していた。立方体の上部にジュリエットが上がればそこはたちまちバルコニーになる、というのが面白かった。

ジュリエット役の松浦さんは新人らしいけど上手かった。美しいし。何かとても正当なもの見せてもらった気がする。

仲代さんのロレンス神父は俗物…とまではいかないけど、どこか浮世離れした歌うがごときセリフ回し。高潔さも頼りがいもなく気が弱そうで… 。宝塚、東宝ミュージカルなどでは墓所で目を覚ましたジュリエットが隣でロミオが死んでいるのに絶望し、短剣で胸を刺し果てる。そこへロレンス神父ら大人たちがやってきて嘆き悲しむ…という美しい終わり方。しかしこの舞台ではジュリエットが目を覚ました段階でロレンス神父はやってくる。そして夜警の物音に怯えジュリエットを置き去りにして逃げ、すぐにとっつかまって尋問されるという情けなさ。宗教家でありつつも弱い人間であるという面を仲代さんは強調して演じていたように思う。

あとはキャピュレット役の長森雅人さんが長身で、滑舌の良い深い声が素敵だった。


カーテンコールでは仲代さんの挨拶あり。「若い人が育ってきています」と塾生たちを紹介していたのが印象的。あのお年で一団を率いていくのは大変だろうけど、最後まで全うしようという強い意志と責任感を感じた。



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