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蔵馬ウケネタ、日常のことなど思った事を綴る。

そんな恋の形もある/コエ蔵

2019年05月10日 23時52分57秒 | 蔵馬受けblog内小説


休みも終わって日常に戻って、「もしコエ蔵なら、こう言う休みが終わると、途端に
会えなくなって物足りなさを感じたりするのかな」と思いました。
飛蔵は、もっとシビアに、休みの合間を縫って会うようなイメージです。だから、
会える時間に思い切りの笑顔でいようとする蔵馬、でも飛影が眠っていたりすると
「飛影」とか言ってそっとその手を握って、
離さないように強く強く力を入れるとか、そう言う場面有りそう、魔界に飛影を渡したくない。



数日前から温めていた話を、ちょっとだけ書いてみたいなと思いました。


___コエ蔵です___

_____空の鼓動、波の声_____




雨が、しとしと降っていた。
そっと窓を閉めて、振り向いたら、その人がいた。
コエンマ。
黒髪が揺れて、その人はコエンマを見た。部屋の主、蔵馬…は、一瞬だけ、眩しそうに目を細めた。

まだ夜の手前。
空は濃紺に染まり始めて、乾いた風が街を包んでいた。木々が、カサカサと触れあっていた。
参考書を閉じて、蔵馬は何も言わずコエンマを見た。


コエンマは、何かを言いたげに、それなのに何も言わなかった。小さく、唇を噛み締めて
コエンマは蔵馬を見た。何週間ぶりだろう。コエンマに会うのは…。言わず、蔵馬は思った。
こんなに、静かに自分を見つめるひとだっただろうか。何週間か前に会ったときは…仙水との闘いが
幕を閉じたばかりで….


コエンマは激しく蔵馬を抱いたのだ。あ、待ってと何度もその夜蔵馬は
コエンマの指を引き戻したのだ。けれどコエンマはその指を強く蔵馬の肩に押し付けて身体を密着させた。
突き上げは、濁流に飲まれるように熱く、熱く、
止まらないようにさえ思えた。熱く抱いた中で、コエンマは「そばに」と言った。
そばに…温もりを離したくないと、コエンマは叫ぶようだった。
哀しみと切なさが混ざったような瞳をして、コエンマは深く深く
蔵馬に口づけた。流されながら、コエンマの肩を掴みながら蔵馬は甘く…応えたのだ、その夜。

激しい夜を、一瞬蔵馬は思い出した。

「蔵馬」

コエンマは、乾いた声を出した。
切れ長で、射抜くような瞳が蔵馬を、ようやく見た。

そっと、長い指が蔵馬の髪に触れた。何も言わず…言えず、蔵馬はコエンマを見つめた。
「どうし「蔵馬」」
短い遮りに、蔵馬の肩が震えた。身体が、固まっている…抱き返す事も出来ない。
見えない何かが、ビリビリと蔵馬を包んでいた。
「お前が好きだ」
唐突な言葉だった。空気を割くような、強い声だった。
「コエンマ?」
「だから、好きでいてくれ」
叫ぶように、コエンマは蔵馬の唇を奪った。あの激しい夜よりも、もっともっと、
蔓が蔵馬の身体を縛る様な、微粒子のような感覚だった。
「何、言って…」
「お前が好きだから」
ぐいと、コエンマは蔵馬を掻き抱いていた。蔵馬の首筋に顔を埋めて、そして、舌が触れた。
「ん!」
生温い舌に、蔵馬の舌が口内を彷徨っていた。
「す、きだよっ……」
ガタンと、蔵馬の身体が沈んだ。


ベッドの中で、コエンマは急ぐように蔵馬を舐め回していた。蔵馬の身体を
見つめながら荒い息を吐き、腰が、何度も熱さを吐き出した。
蔵馬、蔵馬と呼びながらコエンマは強い瞳を繰り返した。


眠るコエンマの、髪を撫でたのは蔵馬だった。熱は姿を消していて、今
コエンマは意識を手放した…ように見えた。
重なったのは、桜色の唇だった。
「ずっと…これからも好きだよ」



コエンマが、父を告発したと言ったのは、数日後だった。


___

何日か前に、無性に書きたくなって、ちょっと考えてみました。
たまにはこう言うテイストもいいかな…。

5月4日スパコミで、今回コエ蔵アンソロジーにも参加させていただいて、蔵馬サイドの話を
書いたのですが、
このアンソロジーとても豪華な方々によって作られた、本当に愛に溢れた本で、何度も
繰り返し読ませていただいています。
花のように絵になる二人です。
素晴らしいアンソロジーに参加できて幸せでした。