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蔵馬ウケネタ、日常のことなど思った事を綴る。

ツインツイン ~コエ蔵ネタ~

2019年02月02日 23時51分14秒 | 蔵馬受けblog内小説



ついんテールの日だそうですね。

ツインテールネタを考えたのですが飛影では余り
ベタすぎる展開になりそうで…。
ちょっと面白くないなと思い
コエ蔵ネタで考えてみました。


サイト更新と言うほどの長さにならなかったので、ブログ小説にしました。
ちょっとだけお付き合い下さい。

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「こえんまさ~~~ま!」
軽い声がした。いつもはざわついている霊界の、執務室に太陽のような声が
した。コエンマは、書類を捲る手を止めた。この殺伐とした空気を破るような
声。ひとりしかいない。
どうした、と顔を上げて…コエンマの目が開いた。
「なにをしているのだ」
「えへへ、可愛いですか?」
弾んだ声は、ぼたんのものだった。
桃色の着物の袖がひらひらと舞っていた。いつもの結い上げた髪とは違う、ふたつに
上げられた髪を、ぼたんはくるくると弄り回していた。
「可愛いでしょ?」
ずいと、机に顔を乗りだすのはぼたんだからこそ許されるとも言う仕草。
「なんなんだ一体」
「ツインテールの日だって聞いたからですよ!」
言い放つぼたんは、悔しいけれど可愛かった。
死者が溢れて何が誰でどうとかを整理するのに追われているいまの霊界で、ひさしぶりに
明るい空気を感じて、思わずコエンマは笑っていた。
「いいじゃないか」
「そうでしょ?」
言うと、ぼたんは背を向けて、それではと言って去って行った。


ざわめいた人々が行き交う執務室で、コエンマはカップを手に取った。
ぼたんの髪がさらりと流れて…それは指先に絡んだ、あのひとの形に繋がるようだと…
流れる髪のその艶やかさに、一瞬蔵馬を浮かべた。
どうしているだろうか。
そう思っても、自分には自分の役割がある。
何もせずにただ恋い焦がれるだけの存在ではない、そんなことは蔵馬は望んでいない。
それは多分自分も同じで…それでも、ちいさなきっかけで蔵馬を思い出すくらいはいい
ではないかと。
くっと、コエンマは笑った。
こう、毎日生死のことばかり考えていると、生きて動いている生き物に…感情のある者に
会いたくなるのだと、奥底を分析してみた。本当にもしここが人間界だったら。そうしたら、
一瞬一瞬変わる人の心ももっと分かる自分でいられるかもしれない。
そのひとの強さも痛みも…蔵馬や幽助が教えてくれた。
今ならそう思う。
「蔵馬」
「お久しぶり」
不意に、落ちた言葉に返ってきた言葉…。
えっと、コエンマが動いて…カップのコーヒーが、書類に染みた。
「なにっ……蔵馬」
「あ~あ、こぼれちゃった」
駄目じゃない、と笑う声が、傍から降ってきた。なぜ。
なぜよりも…。
「どうしてくれるんだ」
「ちゃんとコピーしてないからでしょ」
涼しい顔をして、蔵馬は言って、そして身を乗りだした。
「見せに来ちゃった」
執務の机に…ずいと顔を乗りだすのは…さっきの…ぼたんと同じように。コエンマの前に立っていた蔵馬は、
頬杖を突いてコエンマに迫った。二つの、ピンクのリボンが蔵馬の黒髪を踊らせていた。
高く結ってある髪が、ひらひら踊っている。
「可愛くしてみたんだ」
言う蔵馬が悪戯の目でコエンマを見た。えっと、言ったコエンマの目に飛び込んだのは、いつもと違う色。
うっすら桃色のリップを、蔵馬は艶めいた唇に塗っていた。
「せっかくだから、可愛くして会いたくなっちゃった」
そっと、蔵馬は舌を出した。


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いつもとはちょっと違うテイストの
コエ蔵です。

なんだか、こういう面白いネタのものは
余り飛蔵では考えたくなくて…コエ蔵なら結構新鮮で面白くなるかなと思ったのです。