<第 13 回> 2005_0718
3週間ぶりにコースインしてきた。やはり猛烈な暑さのためか、この日も我々以外の操縦者は少ない。路面はいつも通りのカラカラで砂が載っている風にも見えず、またコースレイアウトもそのまま。この気温だとコース変更作業もかなり重労働になるであろうし、ひょっとするとまだ当分は変わらないのかもしれない。今回は日差しに耐えながら8パックの走行。
では前回同様、セッティングの変更点も交えながらセクションごとのレポートをお送りする。
前回の走行で、どうもバック付きアンプの限界がもう近いらしい、という印象を受けたことは書いた。友人Tのようにヒートプロテクトが働き出すまでは使い続けてみる事も考えたが、やはり壊してしまってはどうしようもないので、大容量の前進専用アンプを手に入れた。これまで予備のアンプはハイパワーモーターに耐えられないBL RACERだったので、どちらにしろいいアンプは2つほど持っておきたいという所ではあった。
KEYENCE A-07V KEYENCE ZERO V
写真ではわかりにくいと思うが、このアンプは小さな液晶ディスプレイを装備している。セッティング時には数値が出るのであいまいさがなく、またバッテリー電圧やアンプ本体の温度なども表示してくれるかなりのスグレモノだ。セッティング項目はかなり多彩で、基本的なもの以外にもニュートラルブレーキなど、ドライブアシスト系の機能まで備えている。とは言え、まだ当分はそのような便利機能に頼るつもりはない。もっと自分自身の腕前を上げてから使えば良いだろうと思うし、そういったアシストに一度慣れ切ってしまうと、万一それが使えない状況が発生した時が厳しいだろう。ブレーキ系統の拡張機能をONにすれば、モーターへの負荷が高まることも予測される。貧乏レーサーにとってはマシンに優しいチョイスをする事も大事だ。
次にモーターだが、前回新しく導入した20Tは発熱量の高さが少し気にかかった。以前使っていたPRO STOCK II ほどではないにしろ、一度走行させると冷却に時間が掛かる。メンテナンスを行ったところ、おおよそ15°前後の進角が取られている事に気付いた。進角調整の優位性は諸説あってどうもハッキリしない所ではあるが、発熱量が上がることだけは間違いないようだ。パワーが欲しければさらに少ない巻き数のモーターを搭載すれば良いだけであり、わざわざ20Tなどと言うミドルレンジのものを選んでいるくらいなのだから、発熱というマイナスファクターを負ってまで性能を底上げする必要などは全くない。そこで分解清掃の後、進角はほぼゼロにして組み上げておいた。
走行後の実感としてまず挙げられるのがパワー感の微小な低下。当初は新しいアンプ側の問題も疑い、ドライブ周波数の変更も幾度と試みたものの、明快なレスポンスは得られず。前回走行時モーターは全く新品の状態であるから、比較してある程度の落ち込みはあって当然ではあろうが、それにしてもおかしい。などと思っていたが…一つ忘れていた、これは進角調整の影響に違いない。モーター発熱対策としての効果はイマイチであったが、これほどの変化があるとは思わなかった。前回の迫力を知ってしまっているだけに少し物足りなくもあるが、この日の状態でもTZに比べれば明らかに強力だ。秋になったらまた進角をつけてみるのもいいだろう。
新アンプは期待通りの性能を見せてくれたと言っていい。走行直後の温度表示は最高で52℃となっていたが、ヒートシンクは十分手を触れ続けることが出来る程度の発熱に収まっている。取説にはこの表示が100℃以上になったら要放熱となっているので、つまりはまだまだ余裕と考えるべきだろう。過発熱の問題から開放された事は本当に嬉しい。
前回はアンダーステアが気になったのだが、やはり原因があった。フロントタイヤがハゲハゲだったのである。タイヤの山の減り具合を疑わなくなっているとは、やはり暑さの中でかなりボーっとしていたのだろうか。替えは今履いている物と同じ、京商のHピンを用意。ただ全く同じなのも面白くないので、コンパウンドはミディアムではなくソフト(W5631S)を選択した。このコンパウンドだが、一般的には柔らかいほど高グリップ低寿命と言われる。バギー用のスパイクタイヤにも共通なのかはわからないが、走行フィールに変化が現れるか興味深い。リアはここのところずっとウルトラXだけしか使ってないので、ついででホールショットM2に交換してみた。
サスにも手を加える。フロントロワアーム側のピロー取りつけ穴を真ん中から内側に変更、またスプリングもソフトに換装してみた。フロントに関しては車高の低さ、ダンパーストロークレンジの狭さが気になっていたので、それを改善するための処置。取り付け穴の変更により、ダンパーはそれまでと比べより垂直気味に設置される事になるので、反動作をマイルドにするためスプリングを柔らかくした。オイルの効きも相対的には良くなる。これらの変更はアンダー解消の為の方策でもあるが、目立った変化はあるかどうか。
さて走行後の印象だが、これは総じて悪くなかったように思う。なにせ2分山のタイヤを交換したのだから当たり前ではあるが、ズルズルと膨らむ感覚は軽減された。リアは後半再びウルトラXに履き替えたのだが、やはりフィーリングではM2より踏ん張っている印象。しかしこのウルトラXの寿命には驚かされる。X字パターンはそこそこの磨耗が認められるが、スパイクが一向に減る気配を見せない。コイツ1本でこのまま夏を乗り切れてしまえそうな感じだ。
前回走行後のインプレでジャンプ直後のヘアピン攻略を目標に掲げたが、モーターパワーの微妙な低下により、再びコブ超えが困難になってしまった。もう諦めて刻んで超えることも多かったので、このテーマはとりあえずなしに。
この日の走行で難しく感じたのが中速コーナーの処理だ。現在のコースにはそれほどRのきつくない、ダラダラと続くコーナーが2箇所ある。我慢のスロットルワークが要求されるポイントだが、入りでオーバースピードだとマシンが巻いてしまうし、落とし過ぎればイン側のウォールに接触してつんのめってしまう。立ち上がりを重視してCPを奥に取っても良さそうな状況ではあるが、インを空けると後続に半ば強引な突っ込みで刺される可能性が。やはり意図通りの速度をキープする練習を積む方が良いだろうと感じた。
この日はサーキット入りした当初、瞬間的なノーコンの発生に悩まされた。とにかくブツブツと電波が途切れているらしく、手枷足枷を付けられているようでイライラ。外的要因であれば他の人間にもなんらかの異常があるはずだから、これはマシンに発生している問題だ。レシーバーが断線でもしているのかとテンションが下がったが、原因はメカの位置関係にあった。何とびっくり、ZERO-Vのコネクタが短い関係で配置を変更していたのが悪影響を及ぼしていたのだ。A-07Vの搭載時と同じように付け直しただけでいきなり解消するのだから、まったく人騒がせなものである。
今回からメカの搭載にはマジックテープを使用しており、配置換えは至極簡単に行うことが出来た。メカの交換もかなり素早く出来るのでオススメの処理だ。
この日はもうひとつ、フロントのダンパーステーが破損した。アーム部ではなく、ギアボックスに止めるビス付近の箇所がめくれる様に割れてガクガクになってしまった。友人Tも同じ壊れ方を経験しているらしいので、肉厚の薄いこの部分はウィークポイントなのだろう。ギアボックスとの合わせ目であり、目視は分解しなければ不可能。大事なレースなどを控えている場合は外してでもチェックはすべきかも知れない。
ちなみにサードパーティ、SQUAREからはDF-02用のカーボンダンパーステーがリリースされているが、友人Tはこの強化ステーすらもブチ折っている。値段も張るだけに導入の判断が難しいところだ…。
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