かりんとう日記

禁煙支援専門医の私的生活

枯れ木は土に返る

2009年04月14日 | がん病棟で
がんの末期というと、非常に痛がったり、酸素マスクをして息絶え絶えになっていたり・・・というイメージを持っている人は世の中には多い。
テレビドラマでは、たいていそんな風に演出しているからね。

だけど実際はそうではないパターンも意外と多い。

がんは、エネルギーを奪う病気といえる。
それが「るいそう」だ。
食べていても日に日にやせる・・・
からだがだるくてしかたなくなる・・・
だんだんと眠っている時間が多くなる・・・

「ほんとうに、もうそんな時期なんですか?」

しょっちゅう寝ているのは陽気のせい・・・
痛みもぜんぜんないようだし・・・

周りの家族は、そのときが近いことが信じられない様子。
けれど、私たちプロの目には、明らかに死相が見えている。

「自然と木が枯れていくようですね・・・」

まだ50代の息子さんの死期が近いことを説明された年老いたお母様が、ぽつんとこうおっしゃった。

そんなふうに最期が迎えられたら、ある意味、とても理想的な死に方、いや、死なせ方だと私たちは考える。
今はもう、枯れ木に無理に花を咲かせる必要はない。
みんなの心で、自然に土に返してあげるだけだ。






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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
やさしい気持ちになれました (oketa)
2009-04-15 12:37:06
いつもお疲れさまです
そしてありがとうございます
読んでいて気持ちがほんわりしました
身内の死に直面するときにどんなふうになるのか心配でしたが
すこし楽になりました
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Unknown (satokoloco)
2009-04-16 16:13:13
私は家族を看ていて、
がんを「究極の老衰」と思ってました。

ただただ 「今を生きる」 ことを
患者だけでなく周りの人にも教えてくれた
素晴らしい経験の一つととらえています。

だから、辛い 痛い 可哀想・・・な
病気なんだという世間の見方にはとても
違和感を感じています。矛盾しますが
確かに、辛く 痛く 怖い ものでもありますが・・・

でも、この病を通じて他界される方には
心から お疲れ様! を言って
拍手喝采で送り出してあげたいと
いつも思っています。



先生も!本当にお疲れ様です。
頑張ってください!





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Unknown (cellopy)
2009-04-18 14:06:07
oketaさん、satokolocoさん、いつも気にかけてくださって、ありがとうございます。

職業がら、場数は踏んでますが、いざ身内のこととなると、うろたえまくるんですよ。
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心打たれました (Murata)
2009-04-19 06:53:36
中学生のときに胃がんで亡くなった、
祖母を思い出しながら読みました。

痛み苦しんでいる祖母を中学生の私は
何もしてあげることが出来なかった

人間は土から作られ、土に戻ると聖書には書いてあるけど、私は子供達に太平洋の魚のえさに
なりたいって言ってます

ちょっと話がズレましたね

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同じです・・・汗 (satokoloco)
2009-04-20 21:56:16

あの~~~ふたたびお邪魔します~
Murataせんせい。。。
わたしも、同じです。
太平洋に散らばるつもりです。。。
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Unknown (cellopy)
2009-04-20 22:54:52
あらあら、みなさん・・・

ワタシは海が苦手なので、実家の庭の、愛犬が眠る隣がいいと思ってます。
で、栗の木を植えてもらって、毎年誕生月には実った栗で栗ご飯を炊いて供養してくれれば・・・
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