×月×日「憲法・教育基本法改悪反対!10.21○○県民集会」
-衆議院議員 辻元清美氏による記念講演-
「憲法を平和とくらしに活かそう」~その2
さて、ここでですね、今、世界情勢がどうなっているかということを見てみますと、アメリカの南に南米があります。ブラジルとかね。で、中南米という地域は昔は「アメリカの庭」と言われてました。ですから、アメリカがだいたい支配しとった地域です。政権なんかも、アメリカの言うことばかり聞いとる大統領とかいたりして。
ところが、この中南米の国々の半分以上が反米政権になりました。代表的なのがベネズエラとかブラジル。ブラジルも今や反米政権ですよ。で、ベネズエラなどは石油が世界で6番目に出る産油国なんです。しかし、自分とこ、石油がようけぇ出るわけですけれども、全部アメリカ資本が吸い取って持って行ってたわけなんですね。アメリカが石油を支配しているわけです。そしてベネズエラの人たちはどんどんどんどん貧困になっていった。
そういうことで、この石油をベネズエラの貧困を解決するために、アメリカ資本から奪い返そうというチャベス大統領というのが出てきた。そうして、この人が大統領選挙に出て、圧倒的な支持を受けて、ベネズエラで反米政権が誕生したわけです。で、アメリカ資本が石油を、もう本当に自分たちのもののように持っていくことに対して規制をかけて、貧困の人たちへの支援に使うという政策を始めて、ものすごい支持を得ている。そしてさらには、チャベス革命とも言われているんですけれども、ベネズエラの動きがあちこちに飛んで、ブラジルへも飛んだ。で、この間、1ヶ月ほど前に国連の総会がありました。これ、皆さんテレビでご覧になりましたでしょう?チャベス大統領がアメリカに、「アメリカは悪魔だ」みたいなことを、「今、ここの席に悪魔がいた」みたいな、アメリカのブッシュ大統領のことを悪魔呼ばわりしたんですよ。「けしからん」言うて。そしたら、大拍手が起こった。そこでブッシュ大統領を擁護する国はどこもなかった。
世界中で、ですね、こういうイラクとか、アフガニスタンもそうです。未だに空爆がアフガニスタンで続いてます。それで、アメリカ軍はほぼイラクに手を取られてますので、アフガニスタンの方はイギリス軍が管轄して、アフガニスタンの人たちが、連日たくさん亡くなっていると。イギリスの兵士も一日、1人ずつくらい亡くなっていっています。
で、日本はこのインド洋に自衛隊の補給艦を派遣して、洋上無料ガソリンスタンドをやってアフガニスタン攻撃の飛行機などに給油してます。日本も、私は今、戦争に参加しているのと同じ状況だと思っています。ですから、イラクにはまだ航空自衛隊がいます。今、日本は戦時下だというように思った方がいいと思います。戦時下だから、言ってみれば。教育基本法に愛国心、はよ入れさせろとか、共謀罪で、反対するような反発するような人たちをごっそり捕まえられるような戦前の治安維持法みたいな法律をはよ作れと。憲法を変えろ、という方向に政治の場では持っていこうとしているのではないかと私は思っています。
さて、そういう中で世界中で、イラクやアフガニスタンだけではなくて特に途上国の人たち。南米だけではありません。アメリカの政策に反発をし始めている。だから、アメリカは、ものすごく今、孤立しているような状況になってきてるんです。で、そこでアメリカは、日本の首根っこ掴んで「日本だけは逃げんなよー」っていう感じで、かなり日本に対して、沖縄にまた新しい基地作らせぇとか、米軍再編で神奈川にアメリカ軍の陸軍第一軍団司令部いう司令部を置かせぇとか、ものすごいプレッシャーを今、かけてきている、そういう中で北朝鮮の核実験問題が起こりました。
で、今政府与党の中では2つの見方があるんです。一つは、「うわぁ、危ない危ない危ない!核武装を日本もせなあかんでー、キキキキ!」みたいな反応。これはどちらかというと、まぁ「タカ派」というか、タカ派を超えてますね。ちょっと病気チックな感じの人たちが走り回っています。危ない危ない危ないと言うて。で、危ないという危機感を煽りたおしてます。大阪で今、補欠選挙をやってまして明日投票日ですけれども、自民党の人たちは北朝鮮での核実験の危機感を煽りたおしてます。・・・ていう人たちがいる。しかし一方、自民党の中でも冷静な人たちもいる。
私はこの間、安保委員会の議論で久間防衛庁長官とだいぶ議論をいたしました。野党の議員も久間さんにいろんなことを質問してはった。その中で、「北朝鮮は脅威ですか?」という質問があったんです。そしたら久間防衛庁長官の答えは、「まぁ、脅威とちょっと感じはじめたと思うが、脅威の段階ではない」と。「まだそんなに騒ぐことはないんじゃないかな」とおっしゃったんです。で、わりかし防衛族の人たちが冷静なんですね。ご存知でしょうか、山崎拓さんて、知りません?ちょっと女性問題でつまづいて、あれで有名ですが、あの人は改憲派の親分と言われていて、防衛族のドンと言われていたんですよ。あの人が最近、えらい冷静で、例えばこの北朝鮮の核実験問題で、いわゆる米軍の後方支援をして船舶検査。経済制裁だから、北朝鮮に出入りする船を止めて「コラァ」言うて中入って行ってやる船舶検査ね、これは日本は今の憲法のもとではできないんです。で、これをできるようにしよ思ったら、周辺事態法という法律を作動させて、その中のアメリカ軍のサポートをするということに限定してやらないと、これも平時というか普通の時はできないんですね。この周辺事態法というのは、日本の周辺に重大な何か危機が、日本がね、もう差し迫って何か攻撃を受けるとか、危機があったら作動するというということになっています。で、「キーキー、北朝鮮危ないでー」と走り回っている人たちは、早く周辺事態法を使えと言ってるわけです。
ところが山崎拓さんとかなんかは、何ておっしゃってるかというと「周辺事態に当らへん」と。「核実験しただけで周辺事態いうんやったら、中国が核実験してもロシアが核実験しても周辺事態になるんか」と。「こんなことでいちいち米軍の後方支援して周辺事態法を適用しておったら、とんでもないことになってしまう」と。「この原則を外したらあかんで」と、政府の中でかなりブレーキを踏んではる。で、私たちも北朝鮮の核実験問題で冷静に対応するように国会の中で主張しているんです。
一つ目は、北朝鮮は脅威かということを冷静に見極めるべきだ、と。この北朝鮮の経済力というのは、皆さん、どれくらいかご存知ですか。国会図書館に調べてもらいました。そうしますと、年間のGDP、国内総生産ってありますね。これが、一年間の国内総生産が2.5兆円。2.5兆円言うたら、福島県一県よりもはるかに下です。日本で言いますと47都道府県の46番目の高知県とだいたい一緒。ですから、高知とか島根とか鳥取とかが、だいたいその程度。そしたら、高知県一県だけで出て来るか、という話ですよ。経済力で言えば。そして年間の軍事費はどれくらいか調べますと、6,000億円くらいと言われています。この6,000億っていうと、例えばアメリカが今、米軍再編いうので日本に「金出せぇ、金出せぇ」言うてきてるのが3兆円。そして、沖縄にいるアメリカ軍の海兵隊が5月に帰ったる、と。8,000人帰ったるから、その8,000人グアムに帰った海兵隊の家建てたり水道工事したり、日本がやってくれ、と言うてます。米軍縮小したる代わりにグアムに家建てたり、日本政府でやってくれと要請してきてるんです。たった8,000人のアメリカ軍の海兵隊の費用がアメリカから言うてきてる。7,000億円出せぇ言うてるみたいです。で、北朝鮮は年間6,000億円です。それで、闇でいろいろやってるような話もありますけれども、北朝鮮たら国内総生産2.5兆円ですから、ホントに日本の小さな県一つの経済力で、果たして攻めてくると言うても、そんなことができるのかということをしっかり見極めないと、その実態以上の脅威を振りまいてるということを、私は、間違った世論操作をしていることになると思うので、国会では、一体、北の脅威とはどういう実態の中味を把握しているのかということを詰めていってるわけなんです。
核実験は成功したと思うのかといえば、失敗やというし、だいたいの規模は1キロトン以下だということやし。