－衆議院議員 辻元清美氏による記念講演－
「憲法を平和とくらしに活かそう」～その３
インド・パキスタンの核実験はご存知ですよね。インド・パキスタンは30キロトンの核実験をやっとるんです。
そしてさらに、ＮＰＴ体制という核不拡散条約に入ってません、インド・パキスタンは。それだけ大きな核実験をしても国連憲章７章の経済制裁は発動してないわけなんです。何にもしてません。一時、経済制裁はしましたけれども、そんな船を臨検というか、船舶検査するとか、そんなんやらないし、日本もＯＤＡをちょっと止めたとかね。そして、インドはですね、アメリカがもともと中国を牽制するためにインドに対して、アメリカとインドの核の協力をしようとか言うて、インドもパキスタンも勝手に核実験しちゃった。ものすごい規模の核実験をしている。核を保有しているわけです。そして、核不拡散条約のＮＰＴ体制に入ってないんですよ。ところが中国を牽制するためにアメリカはインドに声かけて一緒に核協力をしようとか言いに行ってとるわけなんですよ。で今、国際的にこの核の問題がどんどん拡散している、広がっている。
イランもそうです。イランの近所のイスラエルは核兵器を持っていると言われているのにアメリカの後ろ盾にあるからイスラエルの核については何にも文句を言われてません。そして、イスラエルがヨルダンとか攻撃かけて、国連に経済制裁決議を出そう言うてもアメリカが100回以上も拒否権を発動して葬り去ってるわけなんですよ。
そうするとですね、この核の問題で言うと今、エルバラダイ事務局長という国際原子力機関の事務局長が先日、声明を発表しました。「北朝鮮に厳しくするんやったら、インド、パキスタンなど、他にも厳しくせんといかん」と。「あんたとこやめんかい」と一部の国に言うたかて、「あっちはええと言うとるやないかい」と、「細いとこばっかりやないかい」と、こうなりますんで、このままほっとくと、３０カ国から４０カ国、核を持つ国が出てくるんやないかと、そういう警告を発しているわけなんです。
ですから、この間から私たち社民党が言ってるのは、アメリカがインドと核の協力をするのは、日本は反対だと言えと。日本は唯一の被爆国であると。ですから、核を持っている国にも示しをつけんと、北朝鮮やイランに「おまえら核捨てろ、核捨てろ」言うても「インドはいいんか」と、こう言うし、アメリカが「やめぃ」言うても、「アメリカようけぇ持っとるやないか、核を。あんたとこ、ようけぇ持っとるやん」と、こうなりますんで。日本は核を作ろうとしているところには、どこに対しても厳しく「絶対あかん」と。広島、長崎であれだけの悲惨なことが起こった。絶対あかん。その代わり、既に核を持っているアメリカや中国にも核軍縮をして、核を放棄させるようにやりますと言える唯一の先進国が日本なんですね。
ところが、何だか、北朝鮮の核実験で浮き足立って、「はぁ、どうしよ、どうしよ」みたいになって、「日本も核武装や」みたいなことを言い出すというのは、私は、今まで戦後、憲法９条のもとでの非核三原則。あらゆる核も否定していくという、非常に大事な日本の宝、日本の立場を放棄することに繋がりかねないと、国会の中では社民党はかなりここは厳しく主張しているわけなんです。
で、北朝鮮に対してももちろん同じように対応しなければならない。そのときに、しかし中国の唐家璇さんが行きました。ロシアも行ってる、韓国も行ってるし、次の国連事務総長、今の外交通商大臣が場合によっては平壌を訪問してもいいという発言をしています。みんな、何とか外交努力をしようとして、６者協議に北朝鮮を引き戻そうとしている、そのときに、外交努力してるときに、軍事の話ばっかり日米はやっとって。やっぱり、まずは外交努力で、一丸となって頑張るというのがないと、却って刺激して「成るもんも成らん」ということになりますので、私たちはあくまでも外交努力で精一杯のことをやると。場合によっては日本から平壌に人を送るくらいのことをやってみたらどうかということを提案しているわけなんです。
というのは、一度武力を行使して、武力で何かを解決できるかっていうと、イラクの例を出すまでもないですね。うまいこといってませんやん。いってないのを目の当たりにしてるのに、またそれをしようっていうのは、愚の骨頂だと思います。あくまでも憲法９条がある国にとって、特に核の問題では日本がリーダーシップを取れるはずであると、それを放棄することは、ホントに宝をドブに捨ててるのと一緒だというふうに主張しているわけなんです。
さて、そこでですね、今、憲法９条の話を中心に申し上げました。それで、私たちはよく「攻められたらどうすんねん」って言われたらひるむ場合もあるわけですよ。ひるむことないと思うんです。あんたどうしたらええと思う？って問いかけて下さい。そうするとイラクの場合、攻めたけどうまいこといってるのかと。なんぼ金かかって、どんだけ人が死んどるんだと。私はよく、そういう議論する人には問いかけるんですよ。
例えば「9.11」でツインタワーいうのがやられましたよね、アメリカで。で、アメリカ言うたら、世界で一番、軍事力持っとるんですよ。皆さん、びっくりしますよ。世界中の主たる軍事力を持つ国160カ国くらい。その160カ国、そいで中国は軍拡だーとか言う人がいますけれども、知れてますわ。その160カ国の軍事費全部足して、半分以上がアメリカ一国なんです。すごいですよ。額で言うたら約50兆円。日本の年間の国家予算、一派予算は79兆円くらいです。皆さんの年金や教育費や社会保障費も全部入れて、日本国の一般予算はだいたい80兆から79兆くらいです。50兆円、一年間の軍事費にアメリカは使うとるんです。そして、どんどんどんどん軍事費を伸ばして軍拡したがってるんです。それだけ軍事費を使って、軍備も世界で一番で、核兵器も世界で一番持ってるわけですよ。ＣＩＡも世界中にいるわけですよ。そしたら、なんでそんだけ軍備も持ってるのに、白昼堂々ツインタワーがやられるのか、と。ちょっと待て、わからんかったんか、と思いません？ペンタゴンにも突っ込まれたんですよ。レーダーやらいっぱいあるはずですよね。
ということは、私言うてん。９.１１な、あんなテロみたいなのがあったら、とかしゃべられたら、ちょっと待っとけよと。じゃあアメリカはあんだけ軍事費を使うて核兵器も持ってるけど、９.１１みたいなね、白昼堂々ツインタワーがやられた。そしたら、あんなんされんとこ思うたら、アメリカ以上に軍備持つんか、と。せやないと守られないんか、と。
ということはですね、年金なんてね、「いらんいらん」。 「国守らないかんから全部軍事費にしてぇ」「軍備に使うてぇ」、と。「子どもの教育なんか、せんでよろしわ。やられたら怖いから全部軍事費にしてぇ」とアンタ言うんか、と。結局、あの９.１１のテロでわかったことは、なんぼ軍事費を使こうて軍備で守ろうとしても、守れへん！ゆうことがわかった。そうすると、どうするかというと、あんなん起こったらどうすんねん、どうすんねん、言うんやったら、あんなん起こらんように、どうしよか？いうのが大事ですよね。
病気でもそうですやん。もちろんね、「癌になるのいやや」、「糖尿病になったらどうしよか」とかね、なった後のことばっかりですね、ま、保険もありますよ。でもね、ならんようにね、日頃から運動したり歩いたりしとかんと、なったときのことばかり言うて「なったらどうしよ、どうしよ」、そんなんばっかりやったらね、ストレス溜まってなりますよ、これ。 同じですよね。
そのためには恨まれんようにせんとあかん、と。世界中で今までもテロとかいろいろ起こっとったんですけれども、だいたいアメリカなんですよ。そしたらやっぱり恨まれてたから。で、世界中でこれだけ反米の機運が途上国で高くなってきています。ですから、どんどん米軍の司令部まで陸軍の司令部まで神奈川県に置くとかね、そんでさらに自衛隊の司令部もそこに、陸上自衛隊の司令部も一体化するということをやろうとしているわけですよ。世界で孤立して、あんだけ軍事費使うても守られへんかったアメリカと、どんどん軍事的に一体化して、いわゆる安倍さんが言うてはる“集団的自衛権の行使”ちゅうやつですよ。「ちょっと来んかい」言われたら、とことんまで、戦場にまで行くというね。
イラク戦争で、イギリスは前線まで行って殺されたりしてますやん。イギリス兵士は、イラク兵をようけぇ殺してん。イギリスの兵士も亡くなってますね。せやからロンドンもテロでガンガンとやられてもうた。でも日本は、自衛隊は行きはったけど、サマワで立てこもっておったんです、ずっと。何してたか言うと。水はちょびっと届けてウワァっと戻って立てこもっとったんですよ。で、550人くらい行ってましたけど、ほとんど何もやってないんですよ。水を届けたって言ってもちょびっとです。危ないと。で、自衛隊の基地の前を民間の警備会社に守ってもろたらしいですよ。
それでもね、前線まで行けへんいうのはまだ憲法９条が効いとるからですよ。これがなくて、集団的自衛権の行使っていうのを安倍さんが認めたらもう、アメリカが「ちょっと来んかい」言われたら、とことんイギリスみたいに行くーみたいなことになったら、自衛隊の兵士ようけ死んで帰ってきいへんと、そういうようになりますね。
【その４】に続く
