Casa de Celia

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「低開発の記憶―メモリアス」

2007-05-28 | Pelicula(えいが)

 「低開発の記憶」は5月26日から「渋谷ユーロスペース」にてレイトショーのみ上映。この、レイトショーってやつ、田舎者泣かせなんですよね。
 日帰りで帰れないので、泊まるしかないんですからブツブツ・・・
 去年も「永遠のハバナ」、レイトショーで断念したんだっけ。
 今回、「低開発の記憶」も「絶望~」とか思っていましたが、同映画館で「コマンダンテ」も上映中ということで、“2本なら1泊しても、元が取れる”という計算のもと、1泊2日の「渋谷ユーロスペース映画鑑賞ツアー」を組みました。

 初日は、レイトショー上映1時間以上前の、8時に映画館到着。
 さして注目の映画とも思えないので、もう少しゆっくりでも・・・と思ったのですが、万一のこともあるし。何せ、私には今日しかないんですからっ!
 結果的には大正解。大入りで立ち見も若干出てました。
 私も整理番号74番で最前列に座らざるを得ず、画面全体と字幕を短時間に見切るのはなかなか困難でした。
 特に、「コマンダンテ」の予告。あの「顔ドアップ大写し」を最前列で観るのはちょっと厳しい。
 明日は2時間前には来なきゃイカン、とさりげなく決意。

 さて、「低開発の記憶」 (以下、ネタバレ注意)
 舞台は、1961年から62年の、モノクロのハバナ。
 キューバ革命成功で革命政権樹立された59年から何ほども経たないうちに、アメリカが絡んだ大事件が2つ起きる。
 一つは、61年の「プラヤヒロン侵攻」、もう1つは62年の「キューバ危機」。
 ドキュメンタリータッチで描かれる時代の激動と熱気、それと平行して営まれる旧ブルジョア階級の1人の男の“日常と事件”。平行して存在したそれらは、やがて、戦車が並ぶ街の風景なかに、ともに呑み込まれてゆく・・・。
 素人の私が観た印象で表現すると、こんな感じ。
  
 しかし、キューバというお国柄でしょうか。
 驚かされることがいろいろある。

 まず、制作されたのが1968年。つまり、「プラヤヒロン侵攻」や「キューバ危機」が、まだ「湯気の立った」状態で作られている、ということ。
 プラヤヒロンに侵攻した反革命分子(CIAに訓練され、傭兵となって祖国に侵攻した人々)の裁判や、カストロ議長の演説がドキュメンタリーフィルムで効果的に挿入されている。私の中では、このドキュメンタリー部分が目当てと行っても過言でない。 
 「男性も、女性も、若者も、老人も、団結しなければならない。祖国か、死か。我々は打ち負かす!」
 吼えるカストロ議長と、虚ろな目の男のコントラスト。
 このコントラストこそが、この映画のポイントなのだと思う。

 さらに言えば、この映画が製作された時期は、ソ連(当時)との距離を急速に詰めてきた時期に当たる。制作元のICAIC(キューバ映画芸術産業庁)も、社会市議国キューバでは当然、国の機関である。
 しかし、この映画を見る限り、ソ連的な「革命万歳」は皆無。
 革命と距離を置き、不労収入で暮らす男の生き方を否定も非難もせず、ごく淡々と描いており、、革命政権が進める改革を、この男を通して茶化しているようにも感じられる。
 ちなみに、この作品を「不朽の名作」としてデジタル化して保存する事業も、2004年にICAICが行ったという。管理が悪くて、文字通りフィルムに“カビが生えていた”そうだが、そんなことが信じられないほど映像がきれい。
 カメラワークもいいのだろうけど、モノクロの街、モノクロのムラタ女性、物憂げな“男”の眼差し、すべてが美しい。
 ちなみに、“男”=セルヒオ役のセルヒオ・カモーナ氏は、現在ICAP(諸国民人民友好協会)の会長だそうだ。
 表敬訪問の折にでも、ぜひお会いしたいと思う(ファンになっちゃったカモ


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