Casa de Celia

iHasta la victoria siempre!

イマジネーション

2004-11-09 | Monologo(独り言)

 ニュースキャスターが原稿を読み上げる。
 「間もなくファルージャへの総攻撃が始まる模様です」。

 幾分、沈痛な面もちではある。
 さっきまで彼らは、新潟中越地震で奇跡的に助かった二歳の男の子の元気な様子を伝え、その姉の遺体が自宅に帰ったことを伝えていた。
 
 イラクでは10万人の人々が殺されたと聞く。
 空爆が行われた初めの頃、カメラに向かって籐の揺りかごを振りかざし、「ベイビー!ベイビー!」と叫んだおじいさんがいた。深い皺が刻まれた顔は怒りと悲しみに一層歪んでいた。
 さっきまでここに寝ていた赤ちゃんが死んだ、殺された、と訴える姿を、最近、初孫が出来てバカに喜んでいる実家の両親とテレビで観ていた。
 私にとっても姪にあたる、かわいい赤ちゃん。あの子がヤンキーに殺されたら、この人たちは正気ではいられないだろうな。
 そんなことを思いながら両親の横顔を伺った。
 一言、「ひどいね」と言ってほしいと、密かに願いながら。

 両足を失ったイラクの少年がいた。
 ブレアだったかな。彼の足をもぎ取ったその手を彼に差し伸べ、引き取って治療するとか言った。
 人間が、トカゲじゃないことを悲しいと思った。
 しばらく経ったら足がまた生えてくればいいのに。
 二度と元に戻らないものなんだから、こんなことしちゃいけないんだ、トカゲじゃないんだから。
 アイツらの脳みそって、トカゲ並なんじゃないの?
 テレビに向かって意味もなく毒づいた。
 
 テレビは、よどみなくいろんなことを伝えてる。
 命をとりとめました。
 命が助けられました。
 命を失いました。
 命が失われそうです。
 ・・・次のニュースです。
 
 ニュースの流れの中で一喜一憂するだけの自分だけれど、せめて、悲しかったこと、怒ったことを忘れないで蓄積させてゆきたい。
 イマジネーションを麻痺させないで。


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