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マンション管理士日記

地域を守る:マンションと地域の融合

慣れないねぇ

2014年11月26日 | 喜働
OCNブログからgooブログに引っ越して3週間あまり。
操作方法には、まったく慣れませんねぇ。
色んな機能があるようですが、殆ど使いこなせていません。
何も分からないまま年を越してしまいそうで、怖いです
習うより慣れろ、でしょうか
今日も、こわごわ書き込んでいます。

二百十日(落し噺)

2014年11月26日 | 喜働
夏目漱石の『二百十日』。
『恵比寿ビール』の続きの場面を。
「そら恵比寿が来た。この恵比寿がビールでないんだから面白い。さあ一杯飲むかい」と碌さんが相手に洋盃を渡す。
「うん。序に(ついでに)その玉子を二つ貰おうか」と圭さんが云う。
「だって玉子は僕が誂らえたんだぜ」
「然し四つとも食う気かい」
「あしたの饂飩が気になるから、このうち二個は携帯して行こうと思うんだ」
「うん、そんなら、よそう」と圭さんはすぐ断念する。
「よすとなると気の毒だから、まあ上げよう。本来なら剛健党が玉子なんぞを食うのは、ちと贅沢の沙汰だが、可哀想でもあるから、― さあ食うがいい。― 姉さん、この恵比寿はどこで出来るんだね」
「大方熊本で御座りまっしょ」
「ふん、熊本製の恵比寿か、中々旨いや。君どうだ、熊本製の恵比寿は」
「うん。やっぱり東京と同じ様だ。― おい、姉さん、恵比寿はいいが、この玉子は生だぜ」と玉子を割った圭さんは一寸眉をひそめた。
「ねえ」
「生だと云うのに」
「ねえ」
「何だか要領を得ないな。君、半熟を命じたんじゃないか。君のも生か」と圭さんは下女を捨てて。碌さんに向かってくる。
「半熟を命じて不熟を得たりか。僕のを一つ割ってみよう。― おやこれは駄目だ・・・」
「うで玉子か」と圭さんは首を延して相手の膳の上を見る。
「全熟だ。こっちのはどうだ。― うん、これも全熟だ。― 姉さん、これは、うで玉子じゃないか」
と今度は碌さんが下女にむかう。
「ねえ」
「そうなのか」
「ねえ」
「なんだか言葉の通じない国へ来たようだな・― 向こうの御客さんのが生玉子で、おれのは、うで玉子なのかい」
「ねえ」
「なぜ、そんな事をしたのかい」
「半分煮て参じました」
「なある程。こりゃ、よく出来てらあ。ハハハハ、君、半熟のいわれが分ったか」と碌さんが横手を打つ。
「ハハハハ単純なものだ」
「まるで落し噺みた様だ」
 
落語が好きだったという漱石の一面ですね。