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一見、秘跡を拒みながら死んだが、救われた兄弟「地獄(第二の死と云われる永遠の滅び)」『煉獄と地獄』

2023-11-13 19:59:32 | 天国・地獄

マキシム・プイサン神父「地獄(第二の死と云われる永遠の滅び)」『煉獄と地獄』岸和田天主会教会、1925年

36.一見、秘跡を拒みながら死んだが、救われた兄弟

 また、某霊父は自分の父兄が未信者の如く生活するをいたく悲しみ彼等に改心の思恵をこうむらんと修道院に入り、苦業をして天主に祈った。

 幾歳月を経たある日、我が住む町の一病院に瀕死の者があり、その者に善終を勧めるため、他の司祭が幾度も招かれたが患者は勧めを否むばかりであった。次いで霊父が呼ばれて行って見ると意外、罪の赦宥を否む患者は我が兄弟であった。寝た間も忘れ得ぬ兄弟とて霊父にはすぐわかったが、病人は気付ぬ。もし病人が悟ったら驚きのあまり死ぬるかもわからぬ。悔い改めさすには、かえってこのまま、他人を装うがよいと心を定め、最後の準備を励んだが、秘蹟もこぱみ、病人は衰弱の声もかすかに、吾がなめし悲惨な談話中、海底の藻屑と化した。

 さて、霊父は悲しみながら修院に帰り門の敷居を跨ぐや、否や院長は某町の黙想会に往かんとしておったが、我らのある某霊父が急病との電報が来たから、我に代って説教するため、すぐ往ってくれとの事であった。

 従順なる願を立てた霊父はこの煩悶をかえりみず、頭をたれて承諾の意を表し、自己の室に入り、十字架の前に平伏し、主の御足に接吻し、涙と汗に兄弟の改心を祈願し、目前の悲痛を犠牲として捧げ旅に出発した。指定の町に到着して、教会に入ると、直ぐ告解を聴いて下さいという青年が待っていると告げる人があった。

 告解場に行くと、その青年は、謹慎な態度で輝く如き顔面煙々として厳然と

「霊父よ、我が此処へ来ましたのは、主イエズス・キリストにより遣わされて、師に大いなる喜びを知らせる為である。師の兄弟は病院に於て、死に瀕しおるも、かえりみず咳かず、此処へ来た。その犠牲は大いに天主の御旨にかなった。師が室にて十字架の前に平伏し、その足に注いだ熱涙を天主は数え給うた。この悲痛なる時にもよく従順を守った故、その報酬として、危篤迫れる汝の兄弟は特殊なる恩恵をこうむり、立派な覚悟をなして、最後の秘蹟を授かり、その霊魂は今、煉獄にある。汝の父は難破したる際、死したるが、彼が波濤と闘う中、悔痛と信仰とをなした。この貴き覚悟に依り、恩寵を受けしは汝が修道会に入りし、献身的生活を励行せし効果である。父の霊魂、今や、天国に於て汝の占むる座を整えておる」

 かく告げられた霊父は驚きとよろこびに充たされて悦惚としているうち、不思議の青年は消え失せた。

 この教会の人々は誰一人としてその青年を知る者はなく、以後出会った者がない為、霊父は父や兄弟の守護の天使が好報をしたと深く信じたのである。

(管理者 註、決して真似をしたり、油断をしないで下さい。模範にはしないで下さい。)






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